容量市場メインオークション約定結果(2029年度)― 約定総額2兆2,094億円・全エリア指標価格超・蓄電池169万kW
電力広域的運営推進機関(OCCTO)が公表した対象実需給年度2029年度のメインオークション約定結果は、約定総容量1億6,608万kW、経過措置を踏まえた約定総額2兆2,094億円となった。市場分断により約定価格は4ブロックに分かれ、いずれも指標価格(Net CONE 10,075円/kW)を上回った。蓄電池は放電可能時間3時間以上で安定電源として参加でき、応札容量は169万kW(全方式の1.0%)である。
このページの要点
- 対象実需給年度2029年度のメインオークションは、約定総容量1億6,608万kW・約定総額(経過措置を踏まえた額)2兆2,094億円。過去5回(2024〜2028年度向け)と比べ最高水準となった。
- 市場分断によりエリアプライスは4ブロック(北海道14,972円/kW、東北・東京15,111円/kW、中部・北陸・関西・中国・四国12,388円/kW、九州15,112円/kW)。第1回を除き初めて全エリアで指標価格(Net CONE 10,075円/kW)を超過した。
- 発電方式別の応札容量で蓄電池は169万kW(1.0%)。蓄電池は放電可能時間3時間以上であれば安定電源として参加可能とされる。落札率は安定電源96.6%、発動指令電源89.4%、全体96.4%。
出典:電力広域的運営推進機関『容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2029年度)』(2026年1月20日公表・1月23日訂正)。本記事の数値は訂正版による。
4年先の供給力を売り買いする市場で、値段が全エリアで指標価格を超え、総額は2兆円台に乗った。蓄電池は放電3時間以上なら安定電源として参加でき、応札はまだ全体の1.0%にとどまるが、エリア別の約定価格が蓄電池の容量収入を測る物差しとして確定した。
目次
- 約定結果の全体像 ― 総容量・総額と訂正版の位置づけ
- 市場分断と4ブロックのエリアプライス
- 電源等の区分別・発電方式別の応札容量と蓄電池169万kW
- 応札価格分布・容量拠出金と蓄電池の実務対応
- よくある質問(Q&A)
- 編集部の見立て(独自分析)
- 出典(一次情報)
約定結果の全体像 ― 総容量・総額と訂正版の位置づけ
4年先(2029年度)の供給力を確保するオークションの結果が確定した。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)が2025年度に実施した容量市場メインオークション(対象実需給年度:2029年度)の約定結果は、約定総容量1億6,608万kW、経過措置を踏まえた約定総額2兆2,094億円である。過去5回(2024〜2028年度向け)と比べ最高水準とされている。
本記事の数値は訂正版に基づく。訂正版は、事後監視を踏まえ、事前監視価格を超える価格で応札された一部電源について応札価格を是正したうえで約定処理を行った結果を反映したものである。
※ 同じ2029年度オークションをめぐる電力・ガス取引監視等委員会の事後監視結果と、入札ガイドライン改定の建議は、別記事「容量市場2025年度メインオークション(実需給2029年度)事後監視結果及び入札ガイドライン改定の建議」で扱う。本記事は約定結果そのものに絞る。
市場分断と4ブロックのエリアプライス
約定処理の過程で市場分断が生じ、価格はエリアによって分かれた。
図1:市場分断による4ブロックのエリアプライスと指標価格(対象実需給年度2029年度)
出典:OCCTO『容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2029年度)』(訂正版)。
約定処理の過程で市場分断が生じ、中部・北陸・関西・中国・四国が充足ブロック、その他が不足ブロックとなった。追加処理(合計688万kW追加)を行った後も、東北・東京は2年連続で供給信頼度が未達となっている。
第1回を除き初めて全エリアで指標価格(Net CONE=10,075円/kW)を超過した点が、今回の結果の特徴である。エリア間の価格差は最大で2,724円/kW(九州15,112円/kW と 中部以西12,388円/kW の差)に達しており、同じ設備でも立地エリアによって得られる容量収入が変わることを意味する。
電源等の区分別・発電方式別の応札容量と蓄電池169万kW
どの区分・どの電源方式が、どれだけ応札し、どれだけ落札したか。
図2:電源等の区分別の応札容量と蓄電池169万kW(全方式の1.0%)の位置
出典:同約定結果(訂正版)。発動指令電源の応札容量は調整係数反映後の値。
電源等の区分別の応札容量と落札率は次のとおりである。安定電源が全体の9割超を占め、発動指令電源の落札率は他区分より低い。
発電方式別に見ると、蓄電池は169万kW(全方式の1.0%)である。ここでいう蓄電池は「安定電源で蓄電池と登録されたもの」を指し、放電可能時間3時間以上の蓄電池が安定電源として参加できるとされている。同じ蓄電・揚水系では揚水が2,285万kW(13.3%、純揚水+混合揚水)を占める。
あわせて、調整機能あり電源の約定容量は11,937万kW(うちLNG5,798万kW、揚水2,233万kW)と集計されている。落札電源一覧(別紙)には事業者名・電源IDが計2,079件超掲載されている。
応札価格分布・容量拠出金と蓄電池の実務対応
価格の分布と、費用負担側の試算額もあわせて確認する。
応札価格分布では、指標価格(Net CONE)を超える応札が11.2%(1,929万kW)となり、前回比で約1.6倍に増加した。非落札容量は623万kWで、その87.8%を石油・LNGが占め、経年40年以上が60.1%を占めている。
蓄電池は『安定電源で蓄電池と登録されたもの』であり、放電可能時間3時間以上の蓄電池は安定電源として参加可能である。
— 容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2029年度)いま確認すべきこと
- 蓄電池事業者は、安定電源(放電3時間以上)として獲得しうる容量収入をエリア別の約定価格(北海道14,972円/kW、東北・東京15,111円/kW、中部以西12,388円/kW、九州15,112円/kW)で試算し、投資回収モデルに反映する。
- 立地選定にあたり、市場分断によるエリアプライス差(中部以西が相対的に低い)を考慮する。
- 全エリア指標価格超・約定総額2兆2,094億円という水準と、容量拠出金(小売20,851.9億円)の負担が需要家・小売に及ぼす影響および制度見直しの方向を継続してフォローする。
- 落札電源一覧(別紙)で電源規模の分布を確認し、次回オークションの応札準備に活用する。
読者別の緊急度
蓄電池の容量収入の水準(約12,000〜15,000円/kW)を今月中に把握しておきたい。
安定電源要件(放電3時間以上)と落札実績を今月中に確認しておきたい。
約定価格・市場分断・蓄電池の応札比率は投資・応札戦略に直結する確定情報。
よくある質問(Q&A)
2029年度向け容量市場の約定総容量と約定総額はいくらですか?約定総容量は1億6,608万kW(166,079,863kW)、経過措置を踏まえた約定総額は2兆2,094億円(2,209,359,548,463円)です。過去5回(2024〜2028年度向け)と比べ最高水準とされています。
エリアプライスはいくらでしたか?約定処理の過程で市場分断が生じ、4ブロックに分かれました。北海道14,972円/kW、東北・東京15,111円/kW、中部・北陸・関西・中国・四国12,388円/kW、九州15,112円/kWです。
全エリアで指標価格を超えたとはどういうことですか?指標価格はNet CONEで10,075円/kWとされています。今回のオークションでは第1回を除き初めて全エリアの約定価格がこの指標価格を上回りました。応札価格分布でもNet CONE超が11.2%(1,929万kW)と前回比約1.6倍に増加しています。
蓄電池はどのくらい応札しましたか?発電方式別の応札容量で、安定電源として蓄電池と登録されたものは169万kWで全方式の1.0%でした。参考として揚水は2,285万kW(13.3%)、発動指令電源は715万kW(4.2%)です。
蓄電池はどの区分で容量市場に参加できますか?放電可能時間が3時間以上の蓄電池は、安定電源として参加できるとされています。今回の169万kWは安定電源で蓄電池と登録されたものの応札容量です。
落札率はどの程度でしたか?落札率は安定電源96.6%、変動電源(単独・アグリゲート)100%、発動指令電源89.4%、全体で96.4%でした。非落札容量は623万kWで、その87.8%は石油・LNG、経年40年以上が60.1%を占めています。
容量拠出金はいくらと試算されていますか?メインオークションと長期脱炭素電源オークションの2029年度分を合わせた試算として、一般送配電1,850.4億円、小売20,851.9億円と示されています。
訂正版とは何ですか?約定結果は2026年1月20日に公表され、2026年1月23日に訂正されています。訂正版は、事後監視を踏まえ、事前監視価格を超える価格で応札された一部電源について応札価格を是正したうえで約定処理を行った結果を反映したものです。本記事の数値は訂正版に基づいています。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 蓄電池の応札169万kW(1.0%)は、揚水13.3%と比べればまだ小さい。ただし安定電源として登録された分だけを数えた値であり、放電3時間以上という安定電源要件が、長時間放電の設計へ向かうインセンティブを形づくっていると読める。
- エリアプライスの分断幅(九州15,112円/kWと中部以西12,388円/kWで2,724円/kWの差)は、同一仕様の蓄電池でも立地エリアで容量収入が変わることを意味する。立地選定は接続条件だけでなく、容量市場のブロック構造も併せて見る必要がある。
- 全エリアで指標価格を超えた一方、容量拠出金は小売20,851.9億円と試算されている。収入側の追い風と費用負担側の圧力が同時に強まる局面であり、次回以降の制度見直し議論の前提として押さえておきたい。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。特定の事業者の応札・落札に対する評価を意図するものではありません。
この記事のまとめ
対象実需給年度2029年度の容量市場メインオークションは、約定総容量1億6,608万kW、経過措置を踏まえた約定総額2兆2,094億円で確定した。市場分断によりエリアプライスは北海道14,972円/kW、東北・東京15,111円/kW、中部・北陸・関西・中国・四国12,388円/kW、九州15,112円/kWの4ブロックとなり、第1回を除き初めて全エリアで指標価格(Net CONE 10,075円/kW)を上回った。追加処理688万kW後も東北・東京は2年連続で供給信頼度が未達である。電源等の区分別では安定電源15,997万kW(92.8%)が中心で、落札率は安定電源96.6%、発動指令電源89.4%、全体96.4%。発電方式別では蓄電池が169万kW(1.0%)、揚水が2,285万kW(13.3%)を占め、蓄電池は放電可能時間3時間以上で安定電源として参加できるとされる。応札価格分布はNet CONE超が11.2%(1,929万kW)で前回比約1.6倍、非落札容量は623万kW。容量拠出金は一般送配電1,850.4億円、小売20,851.9億円と試算された。数値はいずれも2026年1月20日公表・1月23日訂正の訂正版による。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 電力広域的運営推進機関(OCCTO)容量市場 約定結果(2025年度実施分のお知らせ)
https://www.occto.or.jp/market-board/market/oshirase/2025/index.html - 電力広域的運営推進機関(OCCTO)容量市場に関するお知らせ
https://www.occto.or.jp/market-board/market/index.html - OCCTO『容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2029年度)』訂正版(2026年1月20日公表・1月23日訂正)/保存ファイル名:20260120_OCCTO_容量市場メインオークション約定結果2029年度訂正版.pdf
- 制度検討作業部会(第110回)資料3-1『容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2029年度)』/保存ファイル名:20260102_総合エネ調_資料3-1容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2029年度)(PDF形式:3,721KB).pdf
本記事は上記一次資料に記載された内容のみに基づいています。数値は2026年1月23日訂正の訂正版によります。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/market/proffessional/4602403001001/
本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。