容量市場のNet CONE見直し ― 最新の発電コスト検証WG反映で2.05万円/kW、上限価格3.1万円/kWに上昇する見込み
資源エネルギー庁は2026年1月23日の制度検討作業部会 第110回(資料3-3・全33ページ)で、容量市場の指標価格(Net CONE)の見直し方向を示した。発電コスト検証WGの算定方法を維持しつつ最新(2025年2月)のLNG発電コスト上昇を反映すると、Net CONEは現行の10,075円/kWから2.05万円/kW、上限価格は3.1万円/kWになる見込みとされた。蓄電池は放電3時間以上で安定電源として参加する位置づけであり、容量収入の上限水準を左右する論点である。
このページの要点
- 発電コスト検証WGの算定方法を維持しつつ最新(2025年2月)のLNG発電コスト上昇を反映すると、Net CONEは2.05万円/kW、上限価格は3.1万円/kWになる見込み。現行のNet CONEは10,075円/kWで、上限価格は指標価格の1.5倍という関係にある。
- 見直しの選択肢は①指標価格の水準見直し ②現状維持 ③上限価格のみ1.5倍以上に見直しの3案。小売電気事業者の容量拠出金負担の激変緩和策(Net CONEの段階的引上げ、シングルプライス約定領域への上限設定)は次回以降検討とされた。
- 背景は2029年度向けメインオークションの結果で、約定総額は過去最高、全エリアで指標価格超、東北・東京は2年連続で供給信頼度未達。供給力確保策として募集量拡大・最低応札容量引下げ・複数年約定・ペナルティ強化・追加オークション時期見直しが整理された。蓄電池は放電3時間以上で安定電源として参加する位置づけ。
出典:資源エネルギー庁『容量市場について』(制度検討作業部会 第110回・2026年1月23日 資料3-3、全33ページ)。
容量市場の「ものさし」であるNet CONEを、最新の発電コストで引き直すと約2倍になる。指標価格が上がれば上限価格も連動して上がり、安定電源として参加する蓄電池の容量収入の天井が上がる。一方で小売の容量拠出金負担は膨らむため、激変緩和策とセットで議論される構図である。
目次
- 2029年度約定結果の総括と供給力確保の課題
- Net CONE・上限価格見直し(2.05万円/kW・3.1万円案)
- 見直し3案と容量拠出金の激変緩和策
- 蓄電池の容量収入への影響と実務対応
- よくある質問(Q&A)
- 編集部の見立て(独自分析)
- 出典(一次情報)
2029年度約定結果の総括と供給力確保の課題
全エリアで指標価格を超え、東北・東京は2年連続で供給信頼度が未達となった。
資料3-3はまず、2029年度向けメインオークションの約定結果を総括している。電力システム改革の検証を踏まえた制度設計WGの問題意識として、電源移行の過渡期にあり2030年代初頭まで高需要期の需給が厳しいという認識が示されている。
これを踏まえ、資料は現行制度を前提に供給力確保量を向上させる方策案を整理した。
Net CONE・上限価格見直し(2.05万円/kW・3.1万円案)
算定方法は維持し、コストの最新値を入れ替えると水準が大きく変わる。
図1:Net CONE・上限価格の見直し水準 ― 2.05万円/kWと3.1万円/kW
出典:資源エネルギー庁『容量市場について』(制度検討作業部会 第110回・2026年1月23日 資料3-3)。見込みとして示された試算であり確定値ではない。
指標価格(Net CONE)の見直しでは、モデルプラントは引き続きCCGTを採用する整理が示された。採用条件は、経済的に選択される燃料であること、他市場収益が少ないこと、Gross CONEの算定が可能であることの3点である。新設電源が参入できる水準を維持する方向とされ、長期脱炭素電源オークションは10万kW以上、容量市場は1,000kW以上という棲み分けが前提に置かれている。
そのうえで、発電コスト検証WGの算定方法を維持しつつ、最新(2025年2月)のLNG発電コスト上昇を反映して試算すると、Net CONEは2.05万円/kW、上限価格は3.1万円/kWになる見込みと示された。
モデルプラントは、経済的に選択される燃料であること・他市場収益が少ないこと・Gross CONEの算定が可能であることの条件を満たすCCGTを引き続き採用し、新設電源が参入できる水準を維持する。発電コスト検証WGの算定方法を維持しつつ、最新(2025年2月)のLNG発電コスト上昇を反映すると、Net CONEは2.05万円/kW(上限価格3.1万円/kW)になる見込みである。
— 制度検討作業部会 第110回 資料3-3見直し3案と容量拠出金の激変緩和策
水準を上げるのか、上限だけ上げるのか、動かさないのか。
図2:指標価格・上限価格の見直し3案と容量拠出金の激変緩和策
出典:同資料(制度検討作業部会 第110回 資料3-3)。3案は選択肢として提示されたもの。
見直しの選択肢は3案が併記された。①を採る場合、上限価格は指標価格に連動して上昇する。
指標価格の引上げは小売電気事業者の容量拠出金負担の増加に直結するため、資料は激変緩和策を次回以降の検討事項として掲げている。
激変緩和策1
Net CONEの段階的引上げ。
激変緩和策2
シングルプライス約定領域への上限設定。
あわせて、非効率石炭火力の稼働抑制誘導措置(設計効率42%未満・設備利用率50%超の容量確保契約金額を20%減額)の在り方についても、GX-ETS等の他制度と整合させたうえで詳細を検討するとして論点提示されている。
蓄電池の容量収入への影響と実務対応
蓄電池は放電3時間以上で安定電源として参加する位置づけである。
Net CONEを2.05万円/kW(上限価格3.1万円/kW)へ引き上げる案は、蓄電池を含む安定電源の容量収入の上限を大きく引き上げうる論点である。蓄電池は放電3時間以上で安定電源として参加するため、指標価格・上限価格の引上げは蓄電池の容量収入の期待値とプロジェクト採算を直接押し上げる方向に働く。
また、複数年約定の導入検討は、単年度収入しか見込めない現行容量市場の弱点を補い、蓄電池の長期投資の予見性を高める効果が期待される論点である。容量拠出金の負担増(激変緩和策)と非効率石炭火力の稼働抑制は、蓄電池を含む脱炭素・調整リソースの相対的価値を高める方向に働く。
- Net CONE 2.05万円/kW・上限価格3.1万円/kW案を容量収入のアップサイドシナリオとして投資判断に織り込み、見直しの確定時期を注視する。
- 複数年約定・最低応札容量引下げの検討動向を、蓄電池の長期投資の予見性向上策としてフォローする。
- 容量拠出金の激変緩和策(シングルプライス領域上限等)が蓄電池の約定価格に与える影響を試算し、次回以降の議論に備える。
読者別の緊急度
容量収入の上限が引き上がる方向性を今月中に把握しておきたい。
事業計画担当はNet CONE見直し・複数年約定の動向を今月中に確認したい。
容量収入のアップサイドと制度確定時期に直結。今週中に押さえたい。
よくある質問(Q&A)
Net CONEはいくらに見直される見込みですか?発電コスト検証WGの算定方法を維持しつつ、最新(2025年2月)のLNG発電コスト上昇を反映して試算すると、Net CONEは2.05万円/kWになる見込みと示されました。現行は10,075円/kWです。なおこれは制度検討作業部会第110回(2026年1月23日)資料3-3で示された試算であり、確定した数値ではありません。
上限価格はどうなりますか?Net CONEを2.05万円/kWとした場合、上限価格は3.1万円/kWになる見込みと示されています。上限価格は指標価格の1.5倍という関係にあります。
見直しの選択肢は何案が示されましたか?3案が示されました。①指標価格の水準を見直す(上限価格も連動して上昇する)、②現状維持、③上限価格のみ1.5倍以上に見直す、の3つです。あわせて、小売電気事業者の容量拠出金負担の激変緩和策として、Net CONEの段階的引上げやシングルプライス約定領域への上限設定を次回以降検討するとされています。
2029年度向けメインオークションの約定結果はどのような状況でしたか?約定総額が過去最高となり、全エリアで指標価格を超えました。東北・東京は2年連続で供給信頼度が未達となっています。またNet CONEを超える応札は2023年度から2025年度で6.7倍(1,644万kW増)となり、非落札容量は623万kWでした。
モデルプラントはどのように整理されましたか?経済的に選択される燃料であること、他市場収益が少ないこと、Gross CONEの算定が可能であることという条件を満たすCCGTを引き続き採用し、新設電源が参入できる水準を維持する方向で整理されました。長期脱炭素電源オークションは10万kW以上、容量市場は1,000kW以上という棲み分けが前提とされています。
系統用蓄電池は容量市場にどのように参加しますか?資料では、蓄電池は放電3時間以上で安定電源として参加する位置づけとされています。したがって指標価格・上限価格の引上げは、蓄電池の容量収入の期待値とプロジェクト採算を直接押し上げる方向に働きます。
供給力確保のためにどのような方策が示されましたか?現行制度を前提に供給力確保量を向上させる方策案として、募集量(目標調達量)の拡大(需要最適化、追加オークション見込み控除2%の見直し、容量市場外見込み供給力120万kWの見直し)、最低応札容量の引下げ・複数年約定、Net CONE・上限価格の見直し、ペナルティ強化・追加オークション約定価格の下限設定、追加オークション開催時期の見直しが整理されました。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 算定方法を変えずに最新コストを入れるだけで水準が10,075円/kWから2.05万円/kWへ動くという点が重い。制度の設計思想ではなく入力値の更新で天井が動くため、確定時期の見通しが立てば投資判断へ即座に反映できる論点である。
- 3案の並記は、「水準を上げる」と「上限だけ上げる」を分けて議論できる構造になっている。蓄電池側から見れば①は期待値と天井の両方、③は天井のみが動くため、収益シミュレーションの感度は案ごとに大きく異なる。
- 複数年約定と最低応札容量の引下げは、価格論点の陰に置かれがちだが、単年度収入という現行容量市場の構造的な弱点に直接効く。蓄電池の長期投資の予見性という観点では、価格水準と並ぶ重要度がある。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません。資料に示された数値は試算・案の段階であり、今後の審議により変更され得ます。
この記事のまとめ
資源エネルギー庁は2026年1月23日の制度検討作業部会 第110回で、資料3-3『容量市場について』(全33ページ)を示した。2029年度向けメインオークションは約定総額が過去最高、全エリアで指標価格超、東北・東京が2年連続で供給信頼度未達、Net CONE超応札は2023年度から2025年度で6.7倍(1,644万kW増)、非落札容量623万kWという結果であった。これを踏まえ、募集量(目標調達量)の拡大、最低応札容量引下げ・複数年約定、Net CONE・上限価格の見直し、ペナルティ強化・追加オークション約定価格の下限設定、追加オークション開催時期の見直しが方策案として整理された。指標価格の見直しではモデルプラントにCCGTを引き続き採用し、発電コスト検証WGの算定方法を維持しつつ最新(2025年2月)のLNG発電コスト上昇を反映すると、Net CONEは2.05万円/kW、上限価格は3.1万円/kWになる見込みとされた(現行Net CONEは10,075円/kW、上限価格は指標価格の1.5倍)。見直しの選択肢は①指標価格の水準見直し②現状維持③上限価格のみ1.5倍以上に見直しの3案で、小売の容量拠出金負担の激変緩和策(段階的引上げ・シングルプライス約定領域への上限設定)は次回以降検討とされた。蓄電池は放電3時間以上で安定電源として参加する位置づけであり、指標価格・上限価格の引上げは容量収入の期待値と採算を押し上げる方向に働く。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 資源エネルギー庁 制度検討作業部会
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/system_review/index.html - 制度検討作業部会 第110回(2026年1月23日)資料3-3『容量市場について』(全33ページ)
保存ファイル:20260123_エネ庁_容量市場について第110回.pdf
本記事は2026年1月23日付の一次資料に基づいています。示された数値・選択肢は試算および案の段階であり、以後の審議により変更される可能性があります。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/proffessional/4604503102001/
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