関西送配電の託送供給等約款変更 ― 低圧小規模リソースの需給調整市場参画と機器個別計測の導入
関西電力送配電が託送供給等約款・再生可能エネルギー電気卸供給約款の変更を経済産業大臣に届け出た。家庭に設置された蓄電池やEV充電器等の低圧小規模リソースを需給調整市場へ参画可能とすること、蓄電池等の出力もしくは消費電力を直接計測する機器個別計測を導入することを供給条件に反映する内容で、実施日は2026年4月1日。あわせて託送料金の口座振替も導入される。分散リソースを束ねるVPP・アグリゲーションの土台となる制度変更である。
このページの要点
- 関西電力送配電が電気事業法および再エネ特措法に基づき、託送供給等約款ならびに再生可能エネルギー電気卸供給約款の変更届出を経済産業大臣に実施した(2026年4月1日実施)。
- 主な変更は、需給調整市場における家庭設置の蓄電池・EV充電器等の低圧小規模リソースの参画を可能とし、蓄電池等の出力もしくは消費電力を直接計測する機器個別計測を導入する供給条件の反映。
- 国の審議会(電力・ガス基本政策小委員会等)での整理を受けたもので、託送料金の口座振替導入も併せて反映されている。
出典:関西電力送配電「託送供給等約款等の変更届出について」(公表日:2026年2月13日)。
家庭の蓄電池やEV充電器を調整力として電力市場に参加させ、その充放電を直接計測するためのルールを送配電約款に書き込んだ改定である。系統用蓄電池だけでなく分散リソースを束ねるVPP・アグリゲーションの土台となる制度変更で、実施は2026年4月1日。
目次
- 託送約款変更の全体像 ― 2点の変更と実施日
- 低圧小規模リソースの需給調整市場参画と機器個別計測
- 制度整理の経緯 ― 基本政策小委員会と料金制度専門会合
- VPP・アグリゲーション事業への影響と確認すべき計量要件
- よくある質問(Q&A)
- 編集部の見立て(独自分析)
- 出典(一次情報)
託送約款変更の全体像 ― 2点の変更と実施日
送配電事業者の供給条件そのものに、分散リソースの市場参画が書き込まれた。
図1:託送供給等約款等の変更届出の2点の変更と実施日
出典:関西電力送配電「託送供給等約款等の変更届出について」(公表日:2026年2月13日)。
関西電力送配電が公表した「託送供給等約款等の変更届出について」(公表日:2026年2月13日)は、電気事業法(第18条第5項)および再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(第18条第1項)に基づき、託送供給等約款ならびに再生可能エネルギー電気卸供給約款の変更届出を経済産業大臣に実施したことを知らせるものである。実施日は2026年4月1日。
届け出られた主な変更内容は次の2点である。
変更の対象となるのは、次の2つの約款である。いずれも送配電事業者が定める供給条件であり、市場参画の可否と計量方法がここに規定される点に意味がある。
低圧小規模リソースの需給調整市場参画と機器個別計測
「参画できるようにする」ことと「直接測る」ことが、セットで導入される。
図2:低圧小規模リソースの市場参画(措置A)と機器個別計測(措置B)
出典:関西電力送配電「託送供給等約款等の変更届出について」。第60回・第65回 電力・ガス基本政策小委員会の整理を反映。
変更1の中身は、需給調整市場における調整力確保に向けた2つの措置を供給条件に落とし込んだものである。第一に、家庭に設置された蓄電池やEV充電器等の低圧小規模リソースを需給調整市場へ参画可能とすること。第二に、蓄電池等の出力もしくは消費電力を直接計測する機器個別計測を導入することである。
需給調整市場における調整力確保に向けて、家庭に設置された蓄電池やEV充電器等の低圧小規模リソースを同市場へ参画可能とすること、また蓄電池等の出力もしくは消費電力を直接計測する機器個別計測を導入することが整理されたことに伴い、託送供給等約款の供給条件に反映した。
— 関西電力送配電「託送供給等約款等の変更届出について」機器個別計測は、低圧リソースを需給調整市場の調整力として精緻に計量・精算するための前提であり、アグリゲーションの計量設計の核心にあたる。参画の可否だけを定めても、実際に発揮された調整力を測る手段がなければ精算が成り立たないためである。
制度整理の経緯 ― 基本政策小委員会と料金制度専門会合
今回の約款変更は、国の審議会での整理を送配電事業者が反映したもの。
今回の変更は関西電力送配電の独自判断ではなく、国の審議会での整理を受けたものである。低圧小規模リソースの活用と機器個別計測は総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会の第60回・第65回での整理に、口座振替の導入は料金制度専門会合の第59回での整理に、それぞれ基づく。
口座振替の導入については、第59回料金制度専門会合での整理を受けて託送料金および再エネ電気特定卸供給に係る料金等について口座振替による支払いの導入準備が整ったことから、両約款の供給条件に反映されている。
VPP・アグリゲーション事業への影響と確認すべき計量要件
2026年4月1日の実施までに確認すべき論点を整理する。
家庭用蓄電池・EV充電器等の低圧小規模リソースを需給調整市場へ参画可能とし、その充放電を機器個別計測で直接計量する枠組みが約款レベルで確立される点は、VPP・アグリゲーションビジネスの基盤に直結する。系統用蓄電池に限らず分散リソースを束ねる事業者にとって、調整力としての低圧リソース活用の前提条件(計量・供給条件)が整うことを意味し、関西エリアでのアグリゲーション事業の設計・収益機会に直接影響する。
- アグリゲーター・VPP事業者は、関西エリアでの低圧小規模リソースの需給調整市場参画の供給条件・機器個別計測の計量要件を2026年4月1日実施前に確認する。
- 家庭用蓄電池・EV充電器を調整力として束ねる事業設計に、機器個別計測の計量・精算スキームを織り込む。
- 改定後の託送供給等約款の該当条項(供給条件)を精読し、参画手続き・計量責任分界を整理する。
読者別の緊急度
投資家は分散リソース市場参画の制度進展として今月中に把握しておきたい。
EMS・計量設計者は機器個別計測の要件を今週中に確認すべき。
アグリゲーター・VPP事業者は低圧リソース参画の供給条件に直結する改定で絶対に今押さえるべき。
よくある質問(Q&A)
今回の約款変更はいつから実施されますか?実施日は2026年4月1日です。関西電力送配電は、電気事業法第18条第5項および再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法第18条第1項に基づき、託送供給等約款ならびに再生可能エネルギー電気卸供給約款の変更届出を経済産業大臣に実施しています。
変更届出の主な内容は何ですか?主な変更届出内容は2点です。第一に、需給調整市場における低圧小規模リソースの活用および機器個別計測の導入を供給条件に反映すること。第二に、託送料金および再エネ電気特定卸供給に係る料金等について口座振替による支払いを導入することです。
低圧小規模リソースには何が含まれますか?一次資料では、家庭に設置された蓄電池やEV充電器等が低圧小規模リソースとして挙げられています。これらを需給調整市場へ参画可能とすることが、今回の供給条件への反映の対象です。
機器個別計測とは何ですか?蓄電池等の出力もしくは消費電力を直接計測する計測方法です。需給調整市場における調整力確保に向けた整理を受けて導入されるもので、低圧小規模リソースを調整力として計量・精算するための前提となります。
この変更の根拠となった国の審議会はどれですか?低圧小規模リソースの活用と機器個別計測の導入は、第60回(2023年3月29日)および第65回(2023年9月27日)の総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会での整理に基づきます。口座振替の導入は、第59回料金制度専門会合(2024年8月20日)での整理を受けたものです。
VPP・アグリゲーション事業者は何を確認すべきですか?関西エリアでの低圧小規模リソースの需給調整市場参画の供給条件と、機器個別計測の計量要件を2026年4月1日の実施前に確認することが必要です。あわせて、家庭用蓄電池・EV充電器を調整力として束ねる事業設計に機器個別計測の計量・精算スキームを織り込み、改定後の託送供給等約款の該当条項を精読して参画手続きと計量責任分界を整理することが推奨されます。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 機器個別計測の導入は、低圧リソースを需給調整市場の調整力として精緻に計量・精算する前提であり、アグリゲーションの計量設計の核心となる。参画可否のルールよりも、実務上はこちらの要件が事業設計を左右しうる。
- 低圧小規模リソースの市場参画は、国の電力・ガス基本政策小委員会での整理を約款に落とし込んだもので、全国の送配電事業者に共通する制度方向を関西が反映した形と読める。他エリアの約款動向も併せて追う価値がある。
- 系統用の大型蓄電池だけでなく家庭用蓄電池・EVを調整力プールに取り込む流れであり、DR・VPPの裾野拡大が制度的に裏付けられた。2026年4月1日実施のため、対象事業者は計量要件・参画手続きの確認を急ぐ必要がある。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。
この記事のまとめ
関西電力送配電は、電気事業法第18条第5項および再エネ特措法第18条第1項に基づき、託送供給等約款ならびに再生可能エネルギー電気卸供給約款の変更届出を経済産業大臣に実施した(公表日:2026年2月13日、実施日:2026年4月1日)。主な変更は2点で、第一に需給調整市場における家庭設置の蓄電池・EV充電器等の低圧小規模リソースの参画を可能とし、蓄電池等の出力もしくは消費電力を直接計測する機器個別計測を導入する供給条件の反映(第60回・第65回 電力・ガス基本政策小委員会での整理に基づく)、第二に託送料金・再エネ電気特定卸供給料金等の口座振替支払いの導入(第59回 料金制度専門会合・2024年8月20日の整理に基づく)である。低圧リソースの調整力活用の前提条件が約款レベルで整うことを意味し、関西エリアのVPP・アグリゲーション事業者は実施前に供給条件と計量要件を確認する必要がある。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 関西電力送配電「託送供給等約款等の変更届出について」(公表日:2026年2月13日/実施日:2026年4月1日)
文書:20260201_関西送配電_託送供給等約款等の変更届出について.pdf - 関西電力送配電 お知らせ
https://www.kansai-td.co.jp/
本記事は関西電力送配電が公表した変更届出のお知らせ(一次資料)に基づいています。約款条文の詳細は改定後の託送供給等約款本文をご確認ください。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/proffessional/4605403102001/
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