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将来の電力需給シナリオに関する検討会 報告書概要版 ― 2050年に系統蓄電池1,000~1,300万kWを想定

OCCTOの検討会が、2040年・2050年の全国需給バランス(kW・kWh)を複数のモデルシナリオで提示した報告書概要版の差替版を公表した。供給力モデルケースでは系統蓄電池が2040年800万kW、2050年に需要規模に応じ1,000~1,300万kW、需要地併設蓄電池は2050年1,100万kWとされ、揚水2,000万kWと合わせて脱炭素需給の調整力に位置づけられている。長期脱炭素電源オークションの募集枠検討にも参照される一次資料である。

このページの要点

  1. OCCTOの将来の電力需給シナリオに関する検討会が2025年7月に策定した報告書概要版の2026年2月25日差替版。需要・供給力を一定の幅で想定し、2040年4つ・2050年16のモデルシナリオで全国需給バランス(kW・kWh)を提示。
  2. 供給力モデルケースで系統蓄電池は2040年800万kW、2050年に需要規模に応じ1,000~1,300万kW需要地併設蓄電池は2050年1,100万kWを想定し、揚水2,000万kWと合わせ脱炭素電源の調整力として組み込んだ。
  3. 本シナリオは長期脱炭素電源オークションの募集枠・長期的な調整力確保・連系線整備等の検討に参照される位置づけで、概ね3~5年毎に見直す。

出典:OCCTO「将来の電力需給シナリオに関する検討会 報告書概要版」(2025年7月9日初版/2026年2月25日差替版)。

要旨 ― ひと言でいえば

2040年・2050年の日本の電力需給を複数シナリオで描いた国の検討会の報告書であり、蓄電池がどれだけ必要になるかの目安が示されている。長期脱炭素電源オークションの募集枠検討にも参照されるため、蓄電池の長期市場規模を語る際の公式な参照値となる。

目次

  1. 将来の電力需給シナリオ検討会とは ― 目的と20のモデルシナリオ
  2. 2050年に蓄電池はどれだけ必要か ― 系統蓄電池・併設蓄電池の想定量
  3. 火力リプレース不調時の供給力不足と蓄電池の調整力価値
  4. シナリオの使われ方 ― 長期脱炭素電源オークションへの参照
  5. よくある質問(Q&A)
  6. 編集部の見立て(独自分析)
  7. 出典(一次情報)

将来の電力需給シナリオ検討会とは ― 目的と20のモデルシナリオ

単一の見通しではなく、幅をもった複数シナリオとして示されている点が特徴である。

本報告書概要版は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)の「将来の電力需給シナリオに関する検討会」が策定したもので、2025年7月9日初版、2026年2月25日差替版である。GX実行会議(2022年8月)を契機に設置された検討会が、需要・供給力をそれぞれ一定の幅で想定し、その組み合わせによる2040年・2050年の全国ベース需給バランス(kW・kWh)を複数シナリオとして提示している。

客観性の担保として、電力中央研究所・RITE・デロイトトーマツの3社にHigh/Middle/Lowの想定を依頼し、業界団体・実務者合計30社の意見を聴取したうえで、需要・供給力それぞれにモデルケースを設定し、2040年4つ・2050年16のモデルシナリオを構築したとされる。

需要側では、DX(データセンター)・GX(自動車電動化・電炉化)に起因する需要増が総需要の約30%を占めるケースもあるとされている。

2050年に蓄電池はどれだけ必要か ― 系統蓄電池・併設蓄電池の想定量

需要規模が大きいシナリオほど、系統蓄電池の想定量も積み増される構造になっている。

図1:供給力モデルケースにおける系統蓄電池・需要地併設蓄電池・揚水の想定量

系統蓄電池2040年800万kW・2050年1,000〜1,300万kWと需要地併設蓄電池1,100万kW、揚水2,000万kWの想定図

出典:OCCTO「将来の電力需給シナリオに関する検討会 報告書概要版」(2026年2月25日差替版)供給力モデルケース。

供給力モデルケースにおいて、系統蓄電池は2040年に800万kW、2050年は需要規模に応じて1,000万kWから1,300万kWが想定されている。需要9,500億kWhで1,000万kW、10,500億kWhで1,100万kW、11,500億kWhで1,200万kW、12,500億kWhで1,300万kWという対応関係である。

需要地併設蓄電池と揚水を含めた調整力全体の想定は次のとおりである。系統蓄電池だけでなく、併設蓄電池・揚水と合わせて脱炭素電源の調整力として組み込まれている点が読み取れる。

一次資料の記載(要旨)

供給力モデルケースにおいて、系統蓄電池は2040年800万kW、2050年は需要規模に応じ1,000万kW(9,500億kWh)から1,300万kW(12,500億kWh)を想定し、需要地併設蓄電池は2040年800万kW・2050年1,100万kW、揚水は両年とも2,000万kWを想定する。

— 将来の電力需給シナリオに関する検討会 報告書概要版

火力リプレース不調時の供給力不足と蓄電池の調整力価値

kWバランス評価が、調整力確保の必要性を裏づけている。

図2:kWバランス評価の前提と結果、蓄電池・揚水の調整力としての役割

火力が経年リプレースされない場合に2050年夏季夜間で最大▲8,900万kWの供給力不足が生じうる図

出典:同報告書概要版(2026年2月25日差替版)。確定値ではなく生じうるとされる想定値。

kWバランス評価では、火力がすべて経年リプレースされない場合に大幅な供給力不足が生じうるとされ、2050年で最大▲8,900万kW(夏季夜間)という数値が示されている。火力のリプレースと並んで、蓄電池・揚水等の調整力確保が脱炭素需給の鍵となることが示唆されている。

変動再生可能エネルギーの拡大(再エネ設備容量は2050年で最大22,250万kW)を前提とすると、供給力不足が生じうる時間帯を埋める調整力として、蓄電池・揚水の役割が相対的に大きくなる構図である。

シナリオの使われ方 ― 長期脱炭素電源オークションへの参照

本シナリオは、蓄電池の応札枠や調整力確保の議論に間接的に波及する。

本シナリオは、次の検討に必要に応じて参照される位置づけである。見直しは概ね3~5年毎とされ、次回定期観測は2026年度・2029年度等とされている。

  • 蓄電池事業者・投資家は、2050年の系統蓄電池1,000~1,300万kW想定を長期市場規模の参照値として事業計画・投資判断に織り込む。
  • 長期脱炭素電源オークションへの蓄電池応札を検討する事業者は、本シナリオが募集枠検討に参照される点を踏まえ、将来の枠拡大シナリオを想定する。
  • 概ね3~5年毎の見直し(次回定期観測)と、調整力等委員会・広域系統整備委員会での本シナリオの活用動向を継続フォローする。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)4/5

投資家は蓄電池の長期市場規模の公式想定を今月中に把握し、中長期の投資仮説を立てるべき。

中級(建設・メーカー・設計)2/5

設計・メーカーには長期トレンドとして参考になるが、直近の実務影響は薄い。

上級(事業者・アグリゲーター)3/5

事業者は長期脱炭素オークションの募集枠に参照される点を今月中に押さえるべき。

よくある質問(Q&A)

2050年に系統蓄電池はどれだけ必要と想定されていますか?

供給力モデルケースでは、系統蓄電池は2040年に800万kW、2050年は需要規模に応じて1,000万kWから1,300万kWと想定されています。内訳は、需要9,500億kWhで1,000万kW、10,500億kWhで1,100万kW、11,500億kWhで1,200万kW、12,500億kWhで1,300万kWです。

需要地併設蓄電池や揚水の想定量はどうなっていますか?

需要地併設蓄電池は2040年に800万kW、2050年に1,100万kWを想定しています。揚水は2040年・2050年とも2,000万kWの想定です。系統蓄電池と併設蓄電池、揚水を合わせて脱炭素電源の調整力として組み込まれています。

モデルシナリオはいくつ設定されていますか?

需要と再エネ・原子力・火力の組み合わせにより、2040年に4つ、2050年に16のモデルシナリオが設定されています。需要は2040年が0.9から1.1兆kWhの2ケース、2050年が0.95から1.25兆kWhの4ケースです。再エネ設備容量は2050年で最大22,250万kWとされています。

需要が増える要因は何とされていますか?

DX(データセンター)およびGX(自動車電動化・電炉化)に起因する需要増が挙げられており、これらが総需要の約30%を占めるケースもあるとされています。

火力がリプレースされない場合はどうなりますか?

kWバランス評価では、火力がすべて経年リプレースされない場合に大幅な供給力不足が生じうるとされ、2050年で最大マイナス8,900万kW(夏季夜間)と示されています。火力のリプレースと並んで、蓄電池・揚水等の調整力確保が脱炭素需給の鍵となることが示唆されています。

このシナリオは何に使われ、どのくらいの頻度で見直されますか?

長期脱炭素電源オークションの募集枠検討、長期的な調整力確保(調整力等委員会)、連系線整備(広域系統整備委員会)、供給力管理の高度化等に必要に応じて参照される位置づけです。見直しは概ね3から5年毎とされています。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 系統蓄電池2050年1,000~1,300万kW・併設1,100万kWという数値は、国の公式検討会が示す長期市場規模の目安として、投資・政策の議論で引用価値が高い。単一の見通しではなく需要規模に応じた幅として示されている点も、シナリオ分析に使いやすい。
  • 本シナリオは長期脱炭素電源オークションの募集枠や調整力確保の検討に参照されるため、蓄電池の応札枠・容量収入の前提に間接的に波及しうる。制度側の入力データとして追う価値がある。
  • 火力の経年リプレースがない場合に2050年で最大▲8,900万kWの供給力不足という試算は、変動再エネ拡大下での蓄電池・揚水等の調整力確保の必要性を裏づけるものと読める。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。報告書のシナリオは想定であり、実績を予測するものではありません。

この記事のまとめ

OCCTOの「将来の電力需給シナリオに関する検討会」が策定した報告書概要版(2025年7月9日初版、2026年2月25日差替版)は、需要・供給力をそれぞれ一定の幅で想定し、2040年4つ・2050年16のモデルシナリオで全国ベースの需給バランス(kW・kWh)を提示している。需要は2040年0.9~1.1兆kWh、2050年0.95~1.25兆kWhで、DX・GXに起因する需要増が総需要の約30%を占めるケースもある。供給力モデルケースでは系統蓄電池が2040年800万kW、2050年に需要規模に応じ1,000~1,300万kW、需要地併設蓄電池が2040年800万kW・2050年1,100万kW、揚水が両年2,000万kW。kWバランス評価では火力がすべて経年リプレースされない場合に2050年で最大▲8,900万kW(夏季夜間)の供給力不足が生じうるとされる。本シナリオは長期脱炭素電源オークションの募集枠検討や長期的な調整力確保、連系線整備等に参照され、概ね3~5年毎に見直される。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。

監修

BESS NEWS編集長

系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。

出典(一次情報)

  1. 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「将来の電力需給シナリオに関する検討会 報告書概要版」(2025年7月9日初版/2026年2月25日差替版)
    文書:20260202_OCCTO_報告書概要版(1411KB).pdf
  2. 電力広域的運営推進機関(OCCTO)将来の電力需給シナリオに関する検討会
    https://www.occto.or.jp/

本記事は報告書概要版(一次資料)に基づいています。示されている数値はモデルシナリオ上の想定であり、将来の実績を予測するものではありません。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/proffessional/4605503102001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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