櫻貿易株式会社
技術・仕様・EMS中級

グリッドコード改定 ― 蓄電池の充電側力率設定を要件化、JC-STAR★1は2027年4月から系統連系の必須要件に

資源エネルギー庁は2026年2月9日の第7回 次世代電力系統ワーキンググループで、グリッドコード(新規連系電源が遵守すべき技術要件)の検討状況を報告した。フェーズ2'として高低圧の蓄電池を対象とした電圧変動対策(充電側力率設定)の要件化が決定。さらに分散型電源のサイバーセキュリティ対策として、太陽光・蓄電池にJC-STAR★1取得製品の使用を2027年4月(低圧50kW未満は経過措置で2027年10月)から系統連系の必須要件とする。

このページの要点

  1. 太陽光・蓄電池はJC-STAR★1取得製品の使用が2027年4月の系統連系技術要件改定で必須要件となる。低圧(50kW未満)は流通在庫を考慮した半年程度の経過措置を経て2027年10月から適用。第20回グリッドコード検討会(2025年12月16日)で決定済み。
  2. 要件改定以降に連系契約申込みを行う案件は、要件に適合しない発電等設備を基本的に系統接続できなくなる。設置から申込みまでのリードタイムを踏まえ、適合製品の早期利用が望まれる。
  3. フェーズ2'(2027年度要件化が目標)として、高低圧の蓄電池を対象とした電圧変動対策(充電側力率設定)の要件化が決定。FRT(事故時運転継続)要件の見直しに向けた検討等も進む。

出典:第7回 次世代電力系統ワーキンググループ(2026年2月9日)配布資料「グリッドコードについて」(資源エネルギー庁 資料2)および議事要旨。

要旨 ― ひと言でいえば

蓄電池を系統につなぐための機器要件が二方向で強化される。ひとつは電圧変動対策としての充電側力率設定、もうひとつはサイバーセキュリティの国の認証(JC-STAR★1)である。後者は2027年4月(低圧は10月)以降、認証がなければ基本的に系統に接続できないという、調達の前提を変える要件になる。

目次

  1. JC-STAR★1が2027年4月から系統連系の必須要件に
  2. フェーズ2'|蓄電池の充電側力率設定の要件化とFRT要件の見直し
  3. 今後の拡張|風力・燃料電池への適用と分散型電源独自のJC-STAR★2
  4. メーカー・EPC・事業者が今から備えるべきこと
  5. よくある質問(Q&A)
  6. 編集部の見立て(独自分析)
  7. 出典(一次情報)

JC-STAR★1が2027年4月から系統連系の必須要件に

認証のない機器は、要件改定後の申込みでは基本的に系統につながらなくなる。

図1:JC-STAR★1必須要件化 ― 決定の場・適用の開始時期・接続の可否

JC-STAR★1取得製品が2027年4月から蓄電池の系統連系必須要件になる決定と適用時期、接続可否を示した図

出典:資源エネルギー庁「グリッドコードについて」資料2(第7回 次世代電力系統WG・2026年2月9日)および同WG議事要旨。

諸外国で分散型電源へのセキュリティ対策の検討が進み、国内でも早期の対策強化が求められていることを背景に、第20回グリッドコード検討会(2025年12月16日)で、分散型電源を対象にJC-STAR制度の★1を取得した製品を用いることを要件化することが決定された。JC-STARは、IPAがIoT製品のサイバーセキュリティ水準を認証する制度である。

とりわけ太陽光・蓄電池は今後も多数の連系が見込まれるため、2027年4月の系統連系技術要件改定でJC-STAR★1取得製品の使用を必須要件とする。低圧(50kW未満)で連系する太陽光・蓄電池については、メーカーがJC-STAR★1取得製品を導入した後も一定期間は流通網に旧製品の在庫が発生するため、半年程度の経過措置期間を置き、適用開始を2027年10月とする。

一次資料の記載(要旨)

2027年10月の低圧電源向け系統連系技術要件改定以降に連系契約申込みを行う案件は、要件不適合の発電等設備を基本的に系統接続できなくなる。電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン(資源エネルギー庁)の改定等を通じて、関係団体の協力を得ながら周知を図る。

— 第7回 次世代電力系統WG 資料2「グリッドコードについて」

つまり、JC-STAR★1の取得は「推奨」ではなく、接続の可否を左右する要件になる。設備の設置から申込みまでのリードタイムを考えると、2027年を待たずに最新の連系要件に適合した製品を利用することが望まれる、というのが資料の立場である。

※ 同じ第7回ワーキンググループの主議題である「系統用蓄電池をはじめとする発電等設備の迅速な系統連系に向けた対応」(接続検討の早期化・空押さえ対策の2026年4月開始、順潮流ノンファーム型接続の計画値制御)は、別記事「順潮流ノンファームは計画値制御へ|蓄電池の空押さえ対策26年4月開始」で扱う。本記事はグリッドコードの技術要件とサイバーセキュリティに絞る。

フェーズ2'|蓄電池の充電側力率設定の要件化とFRT要件の見直し

2030年前後のフェーズ3を待たず、2027年度の要件化を目標に前倒しで検討が進む。

図2:フェーズ2’ ― 充電側力率設定の要件化(決定済み)とFRT要件の見直し(検討中)

グリッドコードのフェーズ2’で決定した蓄電池の充電側力率設定の要件化と検討中のFRT要件見直しを示す図

出典:資源エネルギー庁「グリッドコードについて」資料2(第7回 次世代電力系統WG・2026年2月9日)。フェーズ2’は2027年度の要件化が目標。

グリッドコードは、新規に系統へ接続する電源が遵守すべき技術要件である。再エネ導入比率に応じてフェーズ1〜フェーズ4以降に分類され、広域機関のグリッドコード検討会で検討されてきた。ここに、蓄電池の導入状況と最新知見を踏まえて追加されたのがフェーズ2'(ダッシュ)である。

そのフェーズ2'において、現時点で高低圧の蓄電池を対象とした電圧変動対策(充電側力率設定)の要件化が決定している。これは蓄電池特有の電力品質課題への対応であり、PCSの無効電力制御の仕様に直結する。

これを受けて、FRT(Fault Ride Through:事故時運転継続)要件の見直しに向けた検討等も進められている。今後も早期の要件化が必要な項目が精査され、電力品質の確保に必要な蓄電池・需要設備等の技術要件の検討が継続される。

今後の拡張|風力・燃料電池への適用と分散型電源独自のJC-STAR★2

要求水準は段階的に引き上げられる方向にある。

JC-STAR★1の要件化は、太陽光・蓄電池で終わりではない。風力・燃料電池等についても、★1要件化の適用範囲と開始時期を官民で調整するとされている。

さらに、分散型電源固有の脅威・特性やPCS等に必要な機能を考慮した、分散型電源独自のJC-STAR★2以上の適合基準の整備・導入を、国の審議会等で議論する予定である。JC-STAR★1がIoT製品一般を対象とした基準であるのに対し、★2以上は制御機器に特化した要件になることが見込まれる。

※ 風力・燃料電池等への適用範囲・開始時期、および分散型電源独自のJC-STAR★2以上の適合基準は、いずれも今後の調整・議論の対象であり、具体的な内容・時期は確定していない。

メーカー・EPC・事業者が今から備えるべきこと

2027年の適用に間に合わせるには、調達リードタイムから逆算する必要がある。

この改定が効くのは、機器の選定と調達である。2027年4月(低圧は2027年10月)以降、JC-STAR★1未取得のPCS等を用いた太陽光・蓄電池は、新規の系統連系が基本的にできなくなる。メーカー・EPC・事業者はサプライチェーン全体で適合製品への切替えを前倒しする必要がある。設備の設置から申込みまでのリードタイムを考えると、2027年改定を見越して今から適合製品を選定しなければ、調達・在庫が要件不適合となり連系不可・事業遅延のリスクが生じる。

  • 蓄電池メーカー・PCSベンダーは、JC-STAR★1の取得と充電側力率設定への対応を製品ロードマップに織り込み、2027年4月/10月の適用に間に合うよう前倒しする。
  • EPC・開発事業者は、2027年改定以降に契約申込みする案件で要件適合製品を確実に調達できるよう、設置から申込みまでのリードタイムを逆算して機器選定を行う。
  • 機器調達担当は、調達予定製品のJC-STAR★1認証取得状況を確認し、要件適合製品の早期選定・利用を進める。
  • 低圧蓄電池を扱う事業者は、経過措置(2027年10月)と旧製品在庫の取扱いを確認し、グリッドコード検討会および系統連系技術要件ガイドライン改定の周知をフォローする。
  • 設計側は、フェーズ2'の充電側力率設定要件とFRT要件見直しの検討動向を追い、PCSの無効電力制御仕様に反映する準備を進める。
  • 中長期の技術・調達戦略には、分散型電源独自のJC-STAR★2以上の登場を織り込む。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)3/5

機器調達リスク・コスト要因として今月中に方向性を把握したい。

中級(建設・メーカー・設計)5/5

製品ロードマップに直結。JC-STAR★1認証取得と充電側力率対応に今すぐ着手すべき。

上級(事業者・調達担当)4/5

調達リードタイムを踏まえ今月中に機器選定方針を確認すべき。

よくある質問(Q&A)

グリッドコードで蓄電池について何が決まりましたか?

フェーズ2'として、高低圧の蓄電池を対象とした電圧変動対策(充電側力率設定)の要件化が決定しました。あわせて、FRT(Fault Ride Through:事故時運転継続)要件の見直しに向けた検討等が進められています。フェーズ2'は、蓄電池の導入状況や最新知見を踏まえ、フェーズ3の目標期限(2030年前後)を待たずに必要な技術要件を抽出したもので、2027年度の要件化を目標に検討が進んでいます。

JC-STAR★1はいつから系統連系の必須要件になりますか?

太陽光・蓄電池については、2027年4月の系統連系技術要件改定でJC-STAR★1取得製品の使用が必須要件となります。ただし低圧(50kW未満)で連系する太陽光・蓄電池は、メーカーがJC-STAR★1取得製品を導入した後も一定期間は流通網に旧製品の在庫が発生するため、半年程度の経過措置期間を置き、適用開始は2027年10月となります。

JC-STAR★1を取得していない機器は系統に接続できなくなりますか?

系統連系技術要件の改定以降に連系契約申込みを行う案件は、JC-STAR★1未取得など要件に適合しない発電等設備を基本的に系統接続できなくなります。低圧電源向けの改定は2027年10月です。設備の設置から申込みまでのリードタイムを考えると、2027年を待たず最新の連系要件に適合した製品を早期に利用することが望まれます。

この要件化はどこで決定されましたか?

分散型電源を対象にJC-STAR制度の★1を取得した製品を用いることの要件化は、第20回グリッドコード検討会(2025年12月16日)で決定されました。その検討状況が、2026年2月9日の第7回次世代電力系統ワーキンググループに事務局から報告されています。本議題について委員・オブザーバーからのコメントはありませんでした。

充電側力率設定の要件化は機器にどのような影響がありますか?

充電側力率設定は蓄電池特有の電圧変動対策であり、PCSの無効電力制御の仕様に直結します。高低圧の系統用蓄電池は、電圧変動対策に対応したPCS設定が求められることになります。あわせて検討が進むFRT要件の見直しと一体で、グリッドコード対応がPCS設計の前提条件になります。

今後さらに要件が追加される見込みはありますか?

風力・燃料電池等についても、JC-STAR★1要件化の適用範囲と開始時期を官民で調整するとされています。また、分散型電源固有の脅威・特性やPCS等に必要な機能を考慮した、分散型電源独自のJC-STAR★2以上の適合基準の整備・導入を国の審議会等で議論する予定です。セキュリティ要求は段階的に高まる方向にあります。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • JC-STAR★1の取得が系統連系の必須要件に組み込まれる点が画期的である。機器のサイバーセキュリティが、任意の推奨から接続可否を左右する強制要件へ格上げされた。認証取得がメーカーにとって事業の前提条件になる。
  • 低圧50kW未満に半年の経過措置(2027年10月)を置いたのは流通在庫への配慮だが、設置から申込みまでのリードタイムを踏まえると実質的な前倒し対応が必要になる。家庭用・小規模蓄電池の市場では、旧製品在庫の取扱いとメーカー切替えのタイミングが実務上の論点になる。
  • 充電側力率設定の要件化(フェーズ2')は蓄電池特有の電圧変動対策で、PCSの無効電力制御仕様に直結する。FRT要件の見直しとあわせ、グリッドコード対応がPCS設計の前提条件になる。フェーズ3(2030年前後)を待たず前倒しする背景には、蓄電池の急速な導入がある。
  • 分散型電源独自のJC-STAR★2以上の検討は、PCS等の制御機器に特化したセキュリティ要件の登場を予告するものであり、技術・調達戦略に中長期の影響を持つ。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。要件の詳細・適用範囲は今後の検討で変更され得ます。

この記事のまとめ

第7回 次世代電力系統ワーキンググループ(2026年2月9日)で報告されたグリッドコードの検討状況は、蓄電池の機器要件を二方向で強化するものである。第一に、サイバーセキュリティ対策として、第20回グリッドコード検討会(2025年12月16日)で分散型電源にJC-STAR★1取得製品の使用を要件化することが決定され、太陽光・蓄電池は2027年4月の系統連系技術要件改定で必須要件となる。低圧(50kW未満)は流通在庫を考慮した半年程度の経過措置を経て2027年10月から適用される。要件改定以降に連系契約申込みを行う案件は、要件不適合の発電等設備を基本的に系統接続できなくなる。第二に、フェーズ2'(2027年度の要件化が目標)として、高低圧の蓄電池を対象とした電圧変動対策(充電側力率設定)の要件化が決定し、FRT要件の見直しに向けた検討等が進む。今後は風力・燃料電池等への★1適用範囲・開始時期の官民調整と、分散型電源独自のJC-STAR★2以上の適合基準の整備・導入が議論される予定である。周知は、電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドラインの改定等を通じて図られる。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。

監修

BESS NEWS編集長

系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。

出典(一次情報)

  1. 資源エネルギー庁「グリッドコードについて」資料2(第7回 次世代電力系統ワーキンググループ・2026年2月9日)/保存ファイル名:20260209_エネ庁_グリッドコードJCStar必須化_資料2.pdf
    https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/grid_code/
  2. 電力広域的運営推進機関 グリッドコード検討会(第20回・2025年12月16日にJC-STAR★1の要件化を決定)
    https://www.occto.or.jp/iinkai/gridcode/index.html
  3. 総合資源エネルギー調査会 次世代電力系統ワーキンググループ(第7回・2026年2月9日)議事要旨/保存ファイル名:20260209_総合エネ調_議事要旨(PDF形式:237KB).pdf

本記事は第7回 次世代電力系統ワーキンググループ(2026年2月9日)の配布資料・議事要旨に基づいています。要件の詳細および風力・燃料電池等への適用範囲は今後の検討・調整で変更され得ます。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/technology/standard/4606202405001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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