東京電力PG『系統連系技術要件【託送供給等約款別冊】』2026年4月1日実施版 ― 蓄電池を発電設備等とする連系の技術要件
東京電力パワーグリッドの託送供給等約款別冊『系統連系技術要件』の令和8年4月1日実施版。総則で「発電設備および蓄電池」を発電設備等と定義し、低圧・高圧・特別高圧それぞれに電気方式・運転可能周波数・力率・不要解列防止・電圧変動対策・出力変動対策・サイバーセキュリティ対策等を規定する、BESS連系の技術基準そのものである。
このページの要点
- 東京電力パワーグリッドが、託送供給等約款の別冊『系統連系技術要件』を令和8年(2026年)4月1日実施で改定・公表(全102ページ)。
- 総則で本要件が「発電者の発電設備および蓄電池(発電設備等)」ならびに需要設備の系統連系に適用されると明記し、低圧・高圧・特別高圧の電圧階級別に技術要件を詳細規定。
- 運転可能周波数(連続48.5Hz超〜50.5Hz以下等)、力率、不要解列防止、電圧変動・出力変動対策、保護装置、サイバーセキュリティ対策(各階級に章立て)等を網羅し、リプレース・PCS切替時にも適用される。
出典:東京電力パワーグリッド『系統連系技術要件【託送供給等約款別冊】』(令和8年4月1日実施版・全102ページ)。本記事は同社が公表した一次資料の記載範囲での整理である。
蓄電池を電力系統に「つないでよい」ための工事・設備の合格基準を網羅した公式仕様書の最新版。周波数の運転範囲、電圧の暴れを抑える対策、事故時に切り離す保護、サイバー防御まで、連系設計の必須チェックリストが電圧階級ごとに並ぶ。
目次
- 系統連系技術要件とは|蓄電池を発電設備等とする適用範囲(2026年4月版)
- 電圧階級別の主要要件(周波数・力率・不要解列・電圧/出力変動・保護)
- BESS設計に効くサイバーセキュリティ対策とFRT要件
- 実務対応|PCS・保護協調・EMS設計への反映
- よくある質問(Q&A)
- 編集部の見立て(独自分析)
- 出典(一次情報)
系統連系技術要件とは|蓄電池を発電設備等とする適用範囲(2026年4月版)
託送供給等約款の別冊として、系統に連系する設備が満たすべき技術条件を定めた文書である。
図1:総則が定める適用対象と、既設に適用される場面
出典:東京電力パワーグリッド『系統連系技術要件【託送供給等約款別冊】』(令和8年4月1日実施版・全102ページ)総則。
本文書は、東京電力パワーグリッドが令和8年(2026年)4月1日実施として改定した託送供給等約款別冊『系統連系技術要件』(全102ページ)である。総則において、本要件が「発電者の発電設備および蓄電池(以下、発電設備等)ならびに需要設備または需要者の需要設備を系統に連系する場合」に適用されると明記されており、系統用蓄電池(BESS)の系統連系を直接規律する技術基準にあたる。
本要件は、発電者の発電設備および蓄電池(以下、発電設備等)ならびに需要設備または需要者の需要設備を系統に連系する場合に適用する。既設の発電設備等であっても、リプレース時やパワーコンディショナー等の装置切替時、リレー整定値の設定変更が必要となる場合等には本要件が適用される。
— 系統連系技術要件【託送供給等約款別冊】(令和8年4月1日実施)総則※ 本記事は東京電力パワーグリッドが公表した一次資料の記載範囲を整理したものであり、他の一般送配電事業者の要件との比較・優劣の評価は行っていない。連系エリアが異なる場合は、当該エリアの一次資料を各自で確認されたい。
電圧階級別の主要要件(周波数・力率・不要解列・電圧/出力変動・保護)
構成は発電者設備と需要者設備に分かれ、それぞれ低圧・高圧・特別高圧ごとに章立てされている。
本要件の構成は、発電者設備(低圧/高圧/特別高圧)と需要者設備(低圧/高圧/特別高圧)に分かれ、各階級ごとに技術要件が章立てされている。規定項目は、電気方式、運転可能周波数・並列時許容周波数、力率、高調波、需給バランス制約・送電容量制約による出力抑制、不要解列の防止、保護装置の設置・設置場所・解列箇所・保護リレー相数、発電機運転制御装置の付加、接地方式、直流流出防止変圧器、電圧変動対策、出力変動対策、短絡・地絡電流対策、発電機定数・諸元、昇圧用変圧器、連絡体制、サイバーセキュリティ対策、電力品質に関する対策等に及ぶ。
周波数については、低圧の連続運転可能周波数が48.5Hz超〜50.5Hz以下、運転可能周波数が47.5Hz以上等と規定されている。これはFRT(事故時運転継続)・運転継続に関わる要件を含み、蓄電池のPCS制御パラメータに直接反映される数値である。
BESS設計に効くサイバーセキュリティ対策とFRT要件
蓄電池は本文中に26箇所の言及があり、逆変換装置・出力変動・保護の各所で設計に効く。
図2:連系要件がBESSのPCS・保護・EMS設計に落ちる箇所
出典:同要件の規定項目。詳細は電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドラインおよび『系統連系に係る設備設計について』等によるとされ、個別協議事項も存在する。
本要件の本文中には蓄電池への言及が26箇所あり、逆変換装置を用いた連系の取扱い、出力変動対策、保護・解列等がBESSのPCS設計・運用に直結する。加えてサイバーセキュリティ対策が低圧・高圧・特別高圧および需要者設備の各章に独立して規定されており、電力品質に関する対策も各階級に規定されている。
運転可能周波数・FRT・出力変動対策は、BESSのPCS制御パラメータ(周波数応答・電圧応答)の設計値を規定するものであり、需給調整市場での応動性能とも整合させる必要がある。サイバーセキュリティ対策が各階級に独立規定されていることは、BESSのEMS・通信のセキュリティ要件が連系条件そのものに組み込まれていることを意味する。
なお、本要件のみで設計が完結するわけではない。詳細は電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドラインおよび『系統連系に係る設備設計について』等によるとされ、個別協議事項も存在する。
実務対応|PCS・保護協調・EMS設計への反映
2026年4月1日以降の連系・契約変更は本版に準拠する。新設も改修も適合確認が要る。
系統用蓄電池を東京PGエリアに連系する事業者にとって、本要件は連系設計の合否を決める一次基準そのものである。電圧変動対策・出力変動対策・不要解列防止・保護リレー・サイバーセキュリティ対策の各要件は、PCS仕様・保護協調・EMS設計に直接反映する必要がある。総則で蓄電池が明示的に適用対象とされ、リプレースやPCS切替時にも最新要件が適用されるため、既設BESSの改修時にも本版への適合確認が求められる。
- 東京PGエリアでBESS連系を計画する事業者は、本2026年4月実施版で自社PCS・保護・EMS設計の適合性を再確認する。
- 既設BESSのリプレース・PCS切替・リレー整定変更を予定する場合は、本版への適合が新たに求められる点を改修計画に織り込む。
- 詳細要件は系統連系技術要件ガイドラインおよび『系統連系に係る設備設計について』を併読し、個別協議事項を東京PG窓口と確認する。
読者別の緊急度
直接の判断材料は薄いが、連系に技術ハードルが存在することは把握しておきたい。
設計・EMS・PCS担当はPCS仕様と保護協調に直結するため、今すぐ押さえるべき。
市場参加者も応動性能・FRT要件が運用に関わるため今月中に確認したい。
よくある質問(Q&A)
この『系統連系技術要件』とは何で、いつから実施されますか?東京電力パワーグリッドの託送供給等約款の別冊として定められた技術要件で、全102ページの文書です。実施日は令和8年(2026年)4月1日で、同日以降の連系・契約変更は本版に準拠します。
系統用蓄電池は適用対象に含まれますか?含まれます。総則で、本要件が発電者の発電設備および蓄電池(以下、発電設備等)ならびに需要設備または需要者の需要設備を系統に連系する場合に適用されると明記されており、系統用蓄電池(BESS)の系統連系を直接規律する技術基準です。
既設の蓄電池設備にも適用されますか?既設の発電設備等であっても、リプレース時やパワーコンディショナー等の装置切替時、リレー整定値の設定変更が必要となる場合等には本要件が適用されます。したがって既設BESSの改修時にも本版への適合確認が求められます。
運転可能周波数はどのように規定されていますか?低圧では、連続運転可能周波数が48.5Hz超〜50.5Hz以下、運転可能周波数が47.5Hz以上等と規定されています。FRT(事故時運転継続)・運転継続に関わる要件を含み、蓄電池のPCS制御パラメータの設計値に直結します。
サイバーセキュリティ対策も連系要件に入っているのですか?入っています。サイバーセキュリティ対策は低圧・高圧・特別高圧および需要者設備の各章に独立して規定されており、蓄電池のEMS・通信のセキュリティ要件が連系条件に組み込まれている形です。電力品質に関する対策も各階級に規定されています。
本要件だけを読めば連系設計は完結しますか?完結しません。詳細は電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドラインおよび『系統連系に係る設備設計について』等によるとされており、個別協議事項も存在します。これらを併読したうえで、個別協議事項を東京PGの窓口と確認する必要があります。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 総則で「発電設備および蓄電池(発電設備等)」と定義し、BESSを発電設備等として一律に技術要件の適用対象に取り込んでいる点が、連系設計の前提となる。特例的な扱いではなく通常の連系設備として読む必要がある。
- 運転可能周波数・FRT・出力変動対策は、BESSのPCS制御パラメータ(周波数応答・電圧応答)の設計値を規定するものであり、需給調整市場での応動性能とも整合させる必要がある。
- サイバーセキュリティ対策が低圧から特別高圧・需要者設備まで各章に独立して規定され、BESSのEMS・通信のセキュリティ要件が連系条件に組み込まれている。調達仕様の段階から織り込むのが安全側である。
※本ブロックは東京電力パワーグリッドが公表した一次資料の記載に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。他の一般送配電事業者の要件との比較や優劣の評価は行っていません。
この記事のまとめ
東京電力パワーグリッドは、託送供給等約款別冊『系統連系技術要件』を令和8年(2026年)4月1日実施として改定・公表した(全102ページ)。総則で本要件が発電者の発電設備および蓄電池(発電設備等)ならびに需要設備の系統連系に適用されると明記されており、系統用蓄電池の連系を直接規律する技術基準にあたる。構成は発電者設備・需要者設備それぞれの低圧/高圧/特別高圧に分かれ、電気方式、運転可能周波数(低圧の連続運転可能周波数48.5Hz超〜50.5Hz以下、運転可能周波数47.5Hz以上等)、力率、高調波、出力抑制、不要解列の防止、保護装置、接地方式、電圧変動対策、出力変動対策、短絡・地絡電流対策、昇圧用変圧器、連絡体制、サイバーセキュリティ対策、電力品質に関する対策等を規定する。本文中の蓄電池への言及は26箇所で、逆変換装置を用いた連系の取扱い・出力変動対策・保護・解列がPCS設計と運用に直結する。既設設備でもリプレース・PCS切替・リレー整定値の設定変更時には本要件が適用されるため、新設だけでなく改修計画にも適合確認を織り込む必要がある。詳細は系統連系技術要件ガイドラインおよび『系統連系に係る設備設計について』等によるとされ、個別協議事項も存在する。なお本記事は同社公表の一次資料の記載範囲の整理であり、他エリアの要件との比較は行っていない。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の技術記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 東京電力パワーグリッド 託送供給等約款・系統連系
https://www.tepco.co.jp/pg/ - 東京電力パワーグリッド『系統連系技術要件【託送供給等約款別冊】』(PDF・891KB/令和8年4月1日実施版・2026年2月13日確認)
ファイル名:20260213_東京PG_系統連系技術要件【託送供給等約款別冊】(PDF:891KB).pdf
本記事の記述はすべて上記一次資料の記載に基づいており、東京電力パワーグリッドが公表した範囲を整理したものです。他の一般送配電事業者の取扱いについては言及していません。詳細要件は系統連系技術要件ガイドラインおよび『系統連系に係る設備設計について』等によるとされ、個別協議事項も存在します。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/technology/proffessional/4606603405001/
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