東京電力PG管内で初の再エネ出力制御を指示 ― 揚水619万kWでも余る昼、蓄電池に追い風
東京電力パワーグリッドは2026年3月1日、優先給電ルール(送配電等業務指針第174条)に基づき、管内で初めてとなる再生可能エネルギーの出力制御を指示した。好天で太陽光が高出力・需要が低い見通しとなり、火力抑制・揚水運転・域外送電でも供給過剰と判断。出力制御は同日11時から16時に実施された。
このページの要点
- 東京電力パワーグリッドが2026年3月1日、管内初の再エネ出力制御を指示した。出力制御期間は同日11時00分〜16時00分、最大余剰は12時00分〜12時30分(一次資料)。
- 根拠は送配電等業務指針第174条・優先給電ルール。火力抑制、揚水運転(619万kW)による需要創出、域外送電を実施してもなお供給力が需要を上回ると判断された。
- 最大需要地で昼間の太陽光余剰が構造的に生じ始めたことを示し、昼充電・夜放電のアービトラージや充電による余剰吸収の価値が高まる方向に働く(編集部見立て)。
出典:東京電力パワーグリッド『再生可能エネルギー出力制御の実施について』(2026年3月1日・訂正版)。
電気が余りすぎて「太陽光をいったん止めてください」という指示が、日本最大の需要地・東京電力PG管内で初めて出された日である。揚水や域外送電を尽くしても昼の電気が余る局面は、余った昼の電気を貯めて夜に使う・売る蓄電池ビジネスの追い風となる象徴的なイベントである。
目次
- 東京電力PG管内初の再エネ出力制御の概要
- 3月1日の需給見通しと優先給電ルールの先行措置
- 昼間余剰の構造化と系統用蓄電池への追い風
- よくある質問(Q&A)
- 編集部の見立て(独自分析)
- 出典(一次情報)
東京電力PG管内初の再エネ出力制御の概要
日本最大の需要地で、初めて再エネの出力制御が指示された。
東京電力パワーグリッドは2026年3月1日、同社サービスエリア内の電力需給見通しを精査した結果、昼間時間帯に好天で太陽光発電が高出力となる一方で電力需要が低くなる見通しとなり、電力需給バランスを維持するため、再生可能エネルギー発電事業者に対して出力制御を指示した。これは東京電力PG管内で初の再エネ出力制御とみられる。
再エネ出力制御期間は3月1日(日)11時00分〜16時00分で、最大余剰電力が発生する時刻は12時00分〜12時30分とされた。なお本資料は訂正版であり、当日の再エネ出力数値と記載URLに一部の誤りがあったため訂正されている。
同社サービスエリア内における3月1日の電力需給見通しを精査した結果、昼間時間帯に好天で太陽光発電が高出力となる一方、電力需要が低くなる見通しとなった。電力需給バランスを維持するため、再生可能エネルギー発電事業者に対して出力制御の指示を実施した。
— 東京電力PG『再生可能エネルギー出力制御の実施について』(訂正版)本記事は同日公表の「出力制御の実施について」(指示・見通し)を扱う。実際に何万kWを制御したかの実績速報値は別記事で解説する。
3月1日の需給見通しと優先給電ルールの先行措置
出力制御は最後の手段である。その前に、優先給電ルールが定める順序で先行措置が講じられた。
図1:出力制御の前に尽くした「先行措置」の順序 ― 火力抑制・揚水619万kW・域外送電と3月1日の需給見通し
出典:東京電力パワーグリッド『再生可能エネルギー出力制御の実施について』(2026年3月1日・訂正版)。需給見通しの値。
出力制御の根拠は、電力広域的運営推進機関の送配電等業務指針第174条に定められた優先給電ルールである。同ルールに基づき、東京電力PGは①サービスエリアに接続する火力発電所の運転抑制、②揚水式水力発電所の上部調整池に水を汲み上げる揚水運転(619万kW)による需要創出、③地域間連系線を活用した域外送電、といった対策を講じた。これらを実施してもなお供給力が需要を上回ると判断されたため、最終手段として再エネ出力制御に至った。
需要を押し上げるための揚水運転や域外送電を織り込んでもなお供給力(3,365万kW)が需要側(小計3,246万kW)を上回る見通しであった点が、出力制御の指示に至った直接の背景である。
昼間余剰の構造化と系統用蓄電池への追い風
最大需要地でも昼間に電気が余る局面が現れたことは、蓄電池の役割を後押しする。
図2:最大需要地でも「昼に余る」局面が現れた ― アービトラージと余剰吸収の価値
出典:東京電力パワーグリッド『再生可能エネルギー出力制御の実施について』(2026年3月1日・訂正版)。蓄電池への含意は編集部の見立て。
九州・東北などで先行していた供給過剰局面が、日本最大の需要地である東京電力PG管内にも到来したことを、今回の管内初の出力制御は示している。火力抑制・揚水・域外送電という優先給電ルールの先行措置を尽くしてなお余剰が生じており、昼間の太陽光余剰電力が構造的に発生し始めたことを意味する。
この局面は、系統用蓄電池の事業性にとって追い風となる。昼に安く充電し夜に高く放電するアービトラージや、出力制御回避のための蓄電(充電による需要創出)の価値が高まるためである。揚水(619万kW)に加え、蓄電池が需要創出・余剰吸収の調整リソースとして機能する余地が広がる。
実務チェックリスト
- 蓄電池事業者・アグリゲーターは東京電力PG管内の出力制御の発生頻度・時間帯を継続モニタリングし、昼充電・夕方放電の運用最適化に反映する。
- 「でんき予報」の再生可能エネルギー出力制御の見通しを、入札・充放電計画の前提データとして取り込む。
- 余剰吸収(充電)による出力制御回避への貢献を、将来の調整力商品・ローカル系統サービスのビジネス機会として検討する。
読者別の緊急度
東京エリアの余剰発生=蓄電池機会の拡大の兆候として今月中に把握したい。
設計・EMS側は出力制御の頻度を充放電制御設計の前提として確認すべき。
昼間余剰・価格差拡大に直結するため運用最適化に今押さえるべき。
よくある質問(Q&A)
東京電力PGはいつ再エネ出力制御を指示しましたか?2026年3月1日(日)です。再エネ出力制御期間は同日11時00分から16時00分で、最大余剰電力の発生時刻は12時00分から12時30分です。これは東京電力PG管内で初の再エネ出力制御とみられます。
なぜ出力制御が必要になったのですか?3月1日は好天で太陽光発電が高出力となる一方、電力需要が低くなる見通しでした。火力発電の運転抑制、揚水運転(619万kW)による需要創出、地域間連系線を活用した域外送電などの対策を実施してもなお供給力が需要を上回ると判断されたためです。
出力制御の根拠は何ですか?送配電等業務指針第174条に基づく優先給電ルールです。供給力が需要を上回ると判断された場合に、電力需給バランスを維持するため再生可能エネルギー発電事業者に対して出力制御を指示します。
出力制御の前にどのような対策が講じられましたか?火力発電所の運転抑制、揚水式水力発電所の上部調整池に水を汲み上げる揚水運転(619万kW)による需要創出、地域間連系線を活用した域外送電などです。これらを実施してもなお供給過剰と判断され、再エネ出力制御に至りました。
3月1日の需給見通しはどうなっていましたか?需給見通し(万kW)は、エリア需要2,628、揚水運転619、域外送電0、小計3,246、供給力3,365、(再掲)再エネ出力1,529でした。なお本資料は訂正版で、当日の再エネ出力数値と記載URLに一部の誤りがあったため訂正されています。
この出力制御は系統用蓄電池にどう影響しますか?最大需要地である東京電力PG管内で初の再エネ出力制御が発生したことは、昼間の太陽光余剰電力が構造的に発生し始めたことを示します。昼に安く充電し夜に高く放電するアービトラージや、出力制御回避のための充電(需要創出)の価値が高まる方向に働きます。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 東京電力PG管内初の再エネ出力制御は、九州・東北等で先行していた供給過剰局面が日本最大の需要地にも到来した節目と読める。
- 火力抑制・揚水・域外送電という優先給電ルールの先行措置を尽くしてなお余剰が生じており、蓄電池による余剰吸収(充電)の追加調整リソースとしての価値を裏付ける。
- 昼間余剰の常態化はスポット昼間価格の低下・夕方ピーク価格との価格差拡大につながり、蓄電池アービトラージの収益性を高める方向に働く。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。
この記事のまとめ
東京電力パワーグリッドは2026年3月1日、優先給電ルール(送配電等業務指針第174条)に基づき管内初の再エネ出力制御を指示した。好天で太陽光が高出力・需要が低い見通しとなり、火力抑制・揚水運転619万kW・域外送電でもなお供給力(3,365万kW)が需要側を上回ると判断されたためである。出力制御は同日11時〜16時に実施された。最大需要地で昼間の太陽光余剰が構造的に生じ始めたことは、昼充電・夜放電のアービトラージや充電による余剰吸収など、系統用蓄電池の役割を後押しする象徴的なイベントである。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の需給数値・制度記述を確認。
出典(一次情報)
- 東京電力パワーグリッド株式会社『再生可能エネルギー出力制御の実施について』(2026年3月1日・訂正版)/でんき予報「再生可能エネルギー出力制御の見通し」
https://www.tepco.co.jp/forecast/output-control.html - 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/04_系統・接続(送配電・系統増強)/東京電力PG/20260301_東京PG_再生可能エネルギー出力制御の実施について.pdf
本記事は2026年3月1日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。需給見通しの数値は速報・訂正版であり、確報で更新される可能性があります。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/market/standard/4608202001002/
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