櫻貿易株式会社
設計・施工・運用上級

関西送配電が発電制約取扱要綱指針を第5次改正 ― 蓄電池は放電だけでなく充電も制約対象に

関西電力送配電の『154kV以下の電力設備停止における発電制約取扱要綱指針』(2022年9月30日制定)が第5次改正(最終改正日2026年3月19日)された。流通設備の作業に伴う放電制約・充電制約の算定・通知ルールを定め、充電制約は蓄電池のみを制約対象と明記。関西エリアの系統用蓄電池運用に直結する。

このページの要点

  1. 関西電力送配電の『154kV以下の電力設備停止における発電制約取扱要綱指針』(2022年系運要綱指針第1号)が第5次改正された。最終改正日は2026年3月19日(一次資料)。
  2. 流通設備の作業に伴う放電制約を含む発電等制約量、または充電制約の算定・通知の取扱いを定める。適用は配電設備・広域連系系統を除く154kV以下の対象系統
  3. 充電制約は蓄電池のみを制約対象と明記。制約量は定格容量比率按分方式で算定し、発電等制約量売買方式で発電者間の調整が可能(一次資料)。

出典:関西電力送配電『154kV以下の電力設備停止における発電制約取扱要綱指針』第5次改正(最終改正日2026年3月19日)。

要旨 ― ひと言でいえば

送電設備の工事で電気を流しきれないときに、どの発電機・蓄電池をどれだけ抑えるかを決める関西エリアの地域ルールの最新版である。蓄電池は放電だけでなく充電も制約対象になりうる点が明記され、按分と発電者間売買のルールが運用に直結する。

目次

  1. 発電制約取扱要綱指針とは|対象系統と発電等制約の定義
  2. 蓄電池の放電制約・充電制約(蓄電池のみ対象)と按分
  3. 発電等制約量売買方式・通知スケジュールと蓄電池運用への影響
  4. よくある質問(Q&A)
  5. 編集部の見立て(独自分析)
  6. 出典(一次情報)

発電制約取扱要綱指針とは|対象系統と発電等制約の定義

送配電設備の工事のたびに「どの電源をどれだけ抑えるか」を算定・通知するための地域ルールである。

関西電力送配電の『154kV以下の電力設備停止における発電制約取扱要綱指針』(2022年系運要綱指針第1号)は、2022年9月30日に制定され、今回第5次改正(最終改正日2026年3月19日)された。同社の『給電運用・運転業務要綱』に基づき、電力設備の作業に伴う発電制約量(放電制約を含む)または充電制約(合わせて「発電等制約」)の算定・通知運用の取扱いの具体的事項を定め、作業の安全かつ合理的な実施と系統の安定運用を図るものである。

適用範囲は、広域機関の定める広域連系系統を除く同社エリアの電力設備(配電設備を除く154kV以下の対象系統)の作業のうち、発電者の発電等制約を伴う流通設備作業における発電等制約量の取扱いである。

一次資料の記載(要旨)

本要綱指針は『給電運用・運転業務要綱』に基づき、電力設備の作業に伴う発電制約量(放電制約を含む)または充電制約の算定・通知運用の取扱いの具体的事項を定める。適用は広域連系系統を除く154kV以下の対象系統(配電設備を除く)の流通設備作業に係る発電等制約量とする。

— 関西送配電 発電制約取扱要綱指針 第5次改正

用語では、原子力・水力(揚水を除く)・地熱を「長期固定電源」と定義している。発電等制約の対象外設備(出力制御に制約のある長期固定電源等)は抑制対象外とし、扱いは広域機関に確認する。

蓄電池の放電制約・充電制約(蓄電池のみ対象)と按分

蓄電池は「電力貯蔵装置」として発電設備等に含まれ、放電制約に加えて充電制約の対象にもなる。

図1:放電制約と充電制約の対象範囲、定格容量比率按分方式

関西送配電 発電制約取扱要綱指針 第5次改正の放電制約と充電制約の対象範囲、充電制約は蓄電池のみ、定格容量比率按分方式を示す図

出典:関西電力送配電『154kV以下の電力設備停止における発電制約取扱要綱指針』第5次改正(最終改正日2026年3月19日)。

本要綱指針の実務上もっとも重要な点は、充電制約は蓄電池のみを制約対象とすると明記されたことである。蓄電池は放電(発電)側で放電制約の対象となるだけでなく、充電(需要)側でも制約を受けうる。他の電源にはない蓄電池固有の位置づけが制度的に整理された。

定格容量比率按分方式による算定

発電等制約量は定格容量比率按分方式で算定される。作業停止計画で必要となる制約量の合計を、調整対象となる発電設備等の定格容量比率(=契約受電電力)で按分する仕組みである。経済合理性に基づく発電者間の売買を促すため、最低出力等は考慮しない設計となっている。

再生可能エネルギー等の変動電源が対象となった場合は、想定値を定格容量とみなして容量比率で按分する。蓄電池は契約受電電力(定格容量)をベースに按分される点が、按分計算を理解するうえでの要である。

一次資料の記載(要旨)

充電制約は蓄電池のみを制約対象とする。発電等制約量は定格容量比率按分方式で算定し、経済合理性に基づく発電者間の売買を促すため最低出力等は考慮しない。再エネ等の変動電源が対象となる場合は、想定値を定格容量とみなして容量比率で按分する。

— 関西送配電 発電制約取扱要綱指針 第5次改正

発電等制約量売買方式・通知スケジュールと蓄電池運用への影響

按分で決まった制約量は、発電者間の売買で調整できる。通知は年間計画・月間計画の決まった時期に行われる。

図2:発電等制約量売買方式と年間計画・月間計画の通知スケジュール

発電等制約量売買方式と通知スケジュール、年間計画は9月末・1月末、月間計画は前々月10日・20日頃を示す蓄電池運用の図

出典:関西電力送配電『154kV以下の電力設備停止における発電制約取扱要綱指針』第5次改正(最終改正日2026年3月19日)。

按分により通知された制約量は、発電等制約量売買方式によって発電者間の協議で調整できる。経済合理的な取引を通じて、制約量を回避・移転する余地がある。FIT特例制度③を利用する特定契約者は、自ら発電等制約量売買方式を実施し、一般送配電事業者は中立性・公平性の観点から直接関与しない。

通知スケジュール

この通知スケジュールに沿って、蓄電池事業者は作業停止計画・充放電計画を調整する必要がある。154kV以下の地内系統に接続する蓄電池の運用可用性・収益に直結するため、関西エリアで系統用蓄電池を保有・計画する事業者は改正内容を精査すべきである。

実務チェックリスト

  • 関西エリアで154kV以下に接続する系統用蓄電池を保有・計画する事業者は、第5次改正の発電等制約(放電・充電)の算定・按分・売買ルールを精査し、作業停止時の充放電可用性への影響を評価する。
  • 年間計画(9月末・1月末)・月間計画(前々月10日・20日頃)の通知スケジュールに沿って、発電等制約量売買方式による制約回避・コスト最適化の運用体制を整える。
  • 充電制約が蓄電池のみを対象とする点を踏まえ、充電タイミングの計画調整と制約量売買の判断ロジックをEMS・運用に組み込む
  • 再エネ変動電源は想定値を定格容量とみなす一方、蓄電池は契約受電電力(定格容量)で按分される点を、按分計算の前提として確認する。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)2/5

関西エリアの蓄電池運用可用性の前提として概要を把握しておくとよい。

中級(建設・メーカー・設計)4/5

設計・EMS側は充放電制約の按分・売買ルールを今週中に確認すべき。

上級(事業者・アグリゲーター)5/5

関西エリアで蓄電池を運用する事業者は可用性・収益に直結する改正で今押さえるべき。

よくある質問(Q&A)

発電制約取扱要綱指針とは何ですか?

関西電力送配電が定める『154kV以下の電力設備停止における発電制約取扱要綱指針』(2022年系運要綱指針第1号)です。2022年9月30日制定で、最終改正(第5次改正)は2026年3月19日です。流通設備の作業に伴う発電等制約量(放電制約を含む)または充電制約の算定・通知の取扱いを定めています。

蓄電池は発電制約の対象になりますか?

なります。蓄電池は「電力貯蔵装置」として発電設備等に含まれ、放電制約の対象となります。加えて、充電制約は蓄電池のみを制約対象とすると本要綱指針に明記されています。

充電制約とは何ですか?

流通設備の作業に伴い、蓄電池の充電(需要)側を制約するものです。本要綱指針では、充電制約は蓄電池のみを制約対象とすると明記されています。

発電等制約量はどのように算定されますか?

定格容量比率按分方式で算定します。作業停止計画で必要な制約量の合計を、調整対象の発電設備等の定格容量比率(契約受電電力)で按分します。経済合理性に基づく発電者間の売買を促すため、最低出力等は考慮しません。再エネ等の変動電源が対象となる場合は、想定値を定格容量とみなして按分します。

発電等制約量売買方式とは何ですか?

発電者間の協議により、通知された制約量を調整する方式です。FIT特例制度③を利用する特定契約者は自ら発電等制約量売買方式を実施し、一般送配電事業者は中立性・公平性の観点から直接関与しません。

制約の通知はいつ行われますか?

年間計画(翌年度・翌々年度分)は9月末を基本に1月末までに決定通知され、月間計画は前々月10日を基本に翌月分を20日頃に見直し・決定通知されます。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 「充電制約は蓄電池のみ制約対象」との明記は、蓄電池が放電(発電)側だけでなく充電(需要)側でも系統作業時の制約対象となる特殊性を制度的に位置づけた重要な規定と読める。
  • 定格容量比率按分で最低出力を考慮しない設計は、発電等制約量売買方式による経済合理的な制約量取引を促す狙いであり、蓄電池は売買により制約を回避・移転できる余地を持つ。
  • 再エネ変動電源は想定値を定格容量とみなす一方、蓄電池は契約受電電力ベースで按分されるため、按分計算における蓄電池の位置づけの理解が運用上の要になる。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。

この記事のまとめ

関西電力送配電の『154kV以下の電力設備停止における発電制約取扱要綱指針』が第5次改正(最終改正日2026年3月19日)された。流通設備の作業に伴う放電制約を含む発電等制約量・充電制約の算定・通知の取扱いを定め、充電制約は蓄電池のみを制約対象と明記。制約量は定格容量比率按分方式で算定し、発電等制約量売買方式で発電者間の調整が可能で、通知は年間計画(9月末・1月末)・月間計画(前々月10日・20日頃)のスケジュールで行われる。関西エリアで154kV以下に接続する系統用蓄電池の運用可用性・収益に直結する要対応文書である。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。

監修

BESS NEWS編集長

系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。

出典(一次情報)

  1. 関西電力送配電株式会社『154kV以下の電力設備停止における発電制約取扱要綱指針』(2022年系運要綱指針第1号、2022年9月30日制定、第5次改正・最終改正日2026年3月19日)
    https://www.kansai-td.co.jp/
  2. 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/04_系統・接続(送配電・系統増強)/関西電力送配電/20260301_関西送配電_154kV以下の電力設備停止における発電制約取扱要綱指針(最終改正日:2026年3月19日).pdf

本記事は2026年3月1日時点で確認した一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。制度内容は今後の改正で変更される可能性があります。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/engineering/proffessional/4608203506001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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