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市場・価格上級

容量市場のNet CONE見直し ― 上限価格が約3.0万円/kWへ、蓄電池の容量収入の天井が動く

資源エネルギー庁は制度検討作業部会 第112回(2026年3月4日)の資料5で、容量市場の指標価格(Net CONE)を最新の発電コスト検証WG値(2.05万円/kW、上限価格約3.0万円/kW)に見直す案と、容量拠出金負担の影響緩和措置(シングルプライス領域に上限を設定する案A-2を推奨)を議論した。目標調達量も諸元見直しで+584万kW増加する。

このページの要点

  1. 容量市場の指標価格(Net CONE)を最新の発電コスト検証WG値の2.05万円/kW(上限価格約3.0〜3.1万円/kW)に見直す案を議論。指標性維持の観点から見直しに賛同が多数(資料5)。
  2. 容量拠出金負担増の影響緩和措置として、指標価格でシングルプライス領域の上限を設定し、指標価格以上を2段階目のシングルプライスとする案A-2を推奨。2026年度メインオークションからの採用を目指す(資料5)。
  3. 目標調達量は諸元見直し(EUE算定の月細分化・計画外停止率・年間計画停止可能量1.9→2.4ヶ月)で、2025年度MA基準で18,997→19,581万kW(+584万kW)に増加(資料5)。

出典:資源エネルギー庁 制度検討作業部会 第112回 資料5(2026年3月4日・全45ページ)。

要旨 ― ひと言でいえば

容量市場で「電源の固定費の値付けの基準(Net CONE)」を物価上昇に合わせて約2倍に引き上げつつ、小売の容量拠出金負担が急増しないよう「安い電源まで高値で買わない仕組み(シングルプライス領域の上限)」を導入する設計変更の議論である。蓄電池の容量収入の天井と約定価格の決まり方に直結する。

目次

  1. Net CONEと上限価格の見直し(2.05万円/kW・上限約3.0万円/kW)
  2. 影響緩和措置(シングルプライス領域上限・案A-2)と約定方式
  3. 目標調達量の増加と蓄電池の容量収入・参入機会への影響
  4. よくある質問(Q&A)
  5. 編集部の見立て(独自分析)
  6. 出典(一次情報)

Net CONEと上限価格の見直し(2.05万円/kW・上限約3.0万円/kW)

容量市場の値付けの基準を最新の発電コストに合わせて更新し、上限価格を約2倍に引き上げる案が示された。

図1:容量市場の価格水準 ― 現行の上限価格 約1.5万円/kW、指標価格(Net CONE)2.05万円/kW、新たな上限価格 約3.0〜3.1万円/kW

容量市場のNet CONE見直し。現行の上限価格約1.5万円/kWから指標価格2.05万円/kW・新上限約3.0万円/kWへ

出典:制度検討作業部会 第112回 資料5(2026年3月4日)。上限価格は約3.0〜3.1万円/kWとなる見込み。

Net CONE(ネットコーン)は、新設電源が容量市場で回収すべき固定費水準を示す指標価格である。資料5は、最新の発電コスト検証WGの値をそのまま用いるとNet CONEは2.05万円/kW、上限価格は約3.0〜3.1万円/kWとなる見込みと整理した。指標性を維持する観点から、この見直しに賛同する意見が多数だったとされる。現行の上限価格(約1.5万円/kW)と比べると、上限価格が約2倍に引き上がる計算になる。

上限価格が約1.5万円/kWから約3.0万円/kWに引き上がるため、応札行動次第で約定総額が急変する可能性があると資料5は指摘する。この点が、次の影響緩和措置の議論につながる。

影響緩和措置(シングルプライス領域上限・案A-2)と約定方式

上限価格の引き上げで小売の負担が急増しないよう、3つの緩和案が比較され、案A-2が推奨された。

容量拠出金負担増の影響を緩和するため、資料5は3つの案を検討した。整理すると次のとおりで、在り方検討会では指標価格で上限を設定する案Aが支持され、足下の供給力確保の必要性を踏まえると案A-2の採用が望ましいとされた。

内容
案①Net CONEを段階的に引き上げ。上限価格を毎年0.5万円/kWずつ、3年かけて引き上げる。
案A-1指標価格以上をマルチプライスとする。
案A-2
(推奨)
指標価格でシングルプライス領域の上限を設定し、指標価格以上を2段階目のシングルプライスとする。
一次資料の記載(要旨)

上限価格が約1.5万円/kWから約3.0万円/kWに引き上がるため、応札行動次第で約定総額が急変する可能性がある。約定処理システムの改修を4月までに決定できれば、2026年度メインオークションから案A-2を採用可能。適用期間は2026年度メインオークションの結果を踏まえ、国の審議会等で判断する。

— 制度検討作業部会 第112回 資料5

案A-2は、指標価格以下の安価な電源の約定価格を指標価格に抑えつつ、高価格帯の電源にも収入機会を残す設計である。蓄電池が低コストで応札する場合、約定価格の決まり方が収益に影響するため、約定方式の変更内容を収益試算に織り込む必要がある。

目標調達量の増加と蓄電池の容量収入・参入機会への影響

諸元の見直しで目標調達量が+584万kW増える。容量市場全体の調達拡大は蓄電池の参入機会に資する。

図2:目標調達量の諸元見直しの内訳(2025年度MA基準)― △265・△87・+850万kWで正味+584万kW

容量市場の目標調達量が諸元見直しで18,997万kWから19,581万kW(+584万kW)へ増える内訳の図

出典:制度検討作業部会 第112回 資料5(2026年3月4日)。上記以外の要素を含む。

第115回調整力等委員会の諸元算定により、目標調達量は2025年度メインオークション基準で18,997万kWから19,581万kW(+584万kW)へ増加する。内訳は次のとおりで、年間計画停止可能量を1.9ヶ月から2.4ヶ月へ見直したことが増加の主因である。2026年度実施(2027年度実需給)の追加オークションから反映される。

なお非効率石炭火力の稼働抑制誘導措置は、次回メインオークション(実需給2030年度)は現在の措置を維持し、次々回以降に改めて検討する方針である。蓄電池事業者にとっては、上限価格の引き上げ(容量収入の天井の上昇)・約定方式の変更・目標調達量の拡大が同時に動くため、容量収入の前提を収益試算に即時反映することが求められる。

  • 蓄電池事業者は、Net CONE(2.05万円/kW)・上限価格(約3.0万円/kW)・シングルプライス領域上限(案A-2)を織り込んで、容量市場の収益試算と応札戦略を再設計する。
  • 2026年度メインオークションからの適用に備え、約定方式(2段階シングルプライス)の変更が蓄電池の約定価格に与える影響を試算する。
  • 目標調達量の増加(+584万kW)と諸元見直しの動向を、参入機会の拡大として把握する。
  • 約定処理システム改修の決定時期(4月まで)と適用期間の判断(国の審議会等)を継続的にモニタリングする。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)2/5

蓄電池の容量収入の前提(指標価格・上限価格)の方向性を今月中に把握しておきたい。

中級(建設・メーカー・設計)3/5

収益試算担当は約定方式変更の影響を今月中に確認すべき。

上級(事業者・アグリゲーター)4/5

容量収入・応札戦略に直結するため、2026年度メインオークション前に押さえるべき。

よくある質問(Q&A)

Net CONEはどの水準に見直されますか?

最新の発電コスト検証WGの値をそのまま用いると2.05万円/kW(上限価格:約3.0〜3.1万円/kW)となる見込みです。指標性を維持する観点から、この見直しに賛同する意見が多数でした。

上限価格はどう変わりますか?

現行の約1.5万円/kWから約3.0万円/kWへ引き上がります。上限価格が引き上がるため、応札行動次第で約定総額が急変する可能性があると整理されています。

影響緩和措置の案A-2とは何ですか?

指標価格でシングルプライス領域の上限を設定し、指標価格以上を2段階目のシングルプライスとする案です。在り方検討会では指標価格で上限を設定する案Aが支持され、足下の供給力確保の必要性を踏まえると案A-2の採用が望ましいとされました。

いつから適用されますか?

約定処理システムの改修を4月までに決定できれば、2026年度メインオークションから採用が可能とされています。適用期間は2026年度メインオークションの結果を踏まえ、国の審議会等で判断されます。

目標調達量はどう変わりますか?

諸元の見直しにより、2025年度メインオークション基準で18,997万kWから19,581万kWへ+584万kW増加します。EUE算定の月前後半細分化(△265万kW)、計画外停止率の見直し(△87万kW)、年間計画停止可能量1.9→2.4ヶ月(+850万kW)等の合算で、2026年度実施(2027年度実需給)の追加オークションから反映されます。

非効率石炭火力の稼働抑制措置はどうなりますか?

次回メインオークション(実需給2030年度)は現在の措置を維持し、次々回以降に改めて検討する方針です。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • Net CONEの2.05万円/kWへの引き上げと上限価格約3.0万円/kWは、蓄電池の容量収入の天井を引き上げ、これまで上限で非落札だった高コスト電源の取り込みを可能にする方向に働く。
  • 案A-2(シングルプライス領域の上限=指標価格、それ以上は2段階目シングルプライス)は、安価に応札する蓄電池の約定価格を指標価格に抑えつつ高価格帯電源にも収入機会を残す設計で、約定価格の決まり方が蓄電池の収益に直結する。
  • 目標調達量の+584万kW増加(年間計画停止可能量1.9→2.4ヶ月への見直しが主因)は、容量市場の調達拡大を通じて蓄電池の参入機会を広げる方向と読める。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。

この記事のまとめ

資源エネルギー庁は制度検討作業部会 第112回(2026年3月4日)資料5で、容量市場のNet CONEを最新の発電コスト検証WG値の2.05万円/kW(上限価格約3.0〜3.1万円/kW)に見直す案を議論した。上限価格が約1.5万円/kWから約2倍に引き上がるため、容量拠出金負担の影響緩和措置として、指標価格でシングルプライス領域の上限を設定し指標価格以上を2段階目のシングルプライスとする案A-2を推奨し、2026年度メインオークションからの採用を目指す。目標調達量は諸元見直しで2025年度MA基準の18,997万kWから19,581万kW(+584万kW)へ増加する。蓄電池事業者は、容量収入の天井の上昇・約定方式の変更・調達量の拡大を収益試算と応札戦略に即時反映する必要がある。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。

監修

BESS NEWS編集長

系統用蓄電池の制度・電力市場を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。

出典(一次情報)

  1. 資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会 第112回(2026年3月4日)資料5「容量市場について」(全45ページ)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/
  2. 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/02_政策・制度(経産省・エネ庁・監視委)/エネ庁/20260304_エネ庁_容量市場について第112回.pdf

本記事は2026年3月4日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。Net CONE・上限価格・約定方式・適用時期は今後の審議会・約定処理システム改修の決定により変更される可能性があります。確定値は一次資料を参照してください。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/market/proffessional/4608503001001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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