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需給調整市場5商品のスペックと時刻表 ― 全商品前日取引化・入札開始30分前倒しへ(第6版)

電力需給調整力取引所(EPRX)が2026年3月13日に公表した『需給調整市場の商品要件と取引スケジュール』第6版を解説する。一次〜三次調整力②の応動時間・継続時間・回線・最低入札量などの技術要件と、全商品前日取引化・入札開始30分前倒しに伴う取引スケジュールの改定点を、系統用蓄電池の応札商品選定の観点で整理した。

このページの要点

  1. 需給調整市場の5商品(一次FCR・二次①S-FRR・二次②FRR・三次①RR・三次②RR-FIT)の応動時間・継続時間・回線・最低入札量等を一覧化した第6版を公表(2026年3月13日)。
  2. 応動時間は一次10秒〜三次②60分、継続時間は一次5分以上・その他30分。全商品共通で最低入札量1MW・刻み幅1kW・入札単位30分、上げ下げ区分は現行上げのみ調達。
  3. 第6版は全商品前日取引化・入札開始30分前倒しに伴う改定。複合市場商品・三次調整力②の入札受付は実需給前日11時30分〜14時、約定は前日15時まで。

出典:EPRX『需給調整市場の商品要件と取引スケジュール』第6版(2026年3月13日)。商品要件の出所=第59回需給調整市場検討小委員会(2026年1月20日)参考資料1。

要旨 ― ひと言でいえば

需給調整市場の各商品の「スペックシートと時刻表」である。蓄電池がどの商品(FCR/S-FRR/FRR/RR/RR-FIT)に応札できるかは応動速度・継続時間・回線で決まり、全商品前日化・入札30分前倒しは入札オペレーションとSOC計画のタイミングを変える。

目次

  1. 需給調整市場5商品の要件(応動時間・継続時間・回線)
  2. 全商品前日取引化・入札30分前倒しの取引スケジュール
  3. 蓄電池の応札商品選定と入札オペレーション設計
  4. よくある質問(Q&A)
  5. 編集部の見立て(独自分析)
  6. 出典(一次情報)

需給調整市場5商品の要件 ― 応動時間・継続時間・回線

応動時間は一次10秒から三次②60分まで、回線要件は商品ごとに異なる。

図1:需給調整市場5商品の応動時間・継続時間・回線要件と、全商品共通の入札条件

需給調整市場5商品の応動時間と回線要件を整理した図。一次10秒以内・専用線のみ、三次②60分以内・簡易指令可、最低入札量1MW

出典:EPRX『需給調整市場の商品要件と取引スケジュール』第6版。商品要件の出所=第59回需給調整市場検討小委員会(2026年1月20日)参考資料1。

需給調整市場は、応答の速さと継続時間の異なる5つの商品で構成される。一次調整力(FCR)はオフライン自端制御で応動10秒以内・継続5分以上・専用線のみ、二次調整力①(S-FRR)はオンラインLFC信号で応動5分以内・継続30分・専用線のみ、二次調整力②(FRR)はオンラインEDC信号で応動5分以内・継続30分・専用線または簡易指令システム、三次調整力①(RR)はオンラインEDC信号で応動15分以内・継続30分、三次調整力②(RR-FIT)はオンラインで応動60分以内・継続30分である。

並列要否は一次・二次①が必須、二次②は任意。全商品に共通する入札条件は次のとおりで、最低入札量は全商品1MW、刻み幅(入札単位)は全商品1kW、入札の時間単位は30分である。上げ下げ区分は現行では上げのみ調達となっている。

一次資料の記載(要旨)

一次調整力(FCR)は応動10秒以内・継続5分以上・専用線のみ・並列必須、二次調整力①(S-FRR)は応動5分以内・継続30分・専用線のみ、二次調整力②(FRR)は応動5分以内・継続30分・専用線または簡易指令システム、三次調整力①(RR)は応動15分以内・継続30分、三次調整力②(RR-FIT)は応動60分以内・継続30分。全商品で入札時間単位30分、最低入札量1MW、刻み幅1kW。

— EPRX『需給調整市場の商品要件と取引スケジュール』第6版

全商品前日取引化・入札30分前倒しの取引スケジュール

第6版の主な改定は取引スケジュールの前倒しである。

図2:全商品前日取引化・入札開始30分前倒し後の取引スケジュールと第6版の改廃履歴

全商品前日取引化後の需給調整市場の取引スケジュール図。入札受付は実需給前日11時30分〜14時、約定処理は前日15時まで

出典:EPRX『需給調整市場の商品要件と取引スケジュール』第6版(2026年3月13日)。取引スケジュールの出所=需給調整市場検討小委員会。

第6版は、全商品前日化および入札開始時間の30分前倒しに伴う取引スケジュールの修正を反映している。複合市場商品(一次〜三次調整力①)および三次調整力②の入札受付期間は実需給断面の前日11時30分〜14時、約定処理は前日15時までと規定される。

第6版の改廃履歴

改廃履歴によれば、第6版(2026年3月13日付)は、①全商品前日化に伴う商品要件の見直し、②全商品前日化および入札開始時間の30分前倒しに伴う取引スケジュールの修正、③全商品前日取引化に伴う週間商品と三次調整力②の説明統合に伴うスライド削除を反映している。

一次資料の記載(要旨)

複合市場商品(一次〜三次調整力①)および三次調整力②の入札受付期間を実需給断面の前日11時30分〜14時、約定処理を前日15時までと規定。第6版は全商品前日化に伴う商品要件の見直し、全商品前日化および入札開始時間の30分前倒しに伴う取引スケジュールの修正、週間商品と三次調整力②の説明統合に伴うスライド削除を反映。

— EPRX『需給調整市場の商品要件と取引スケジュール』第6版

蓄電池の応札商品選定と入札オペレーション設計

応答性能・回線・SOC計画を商品要件と照合して応札可能な組合せを決める。

系統用蓄電池がどの商品に応札可能かは、応動時間・継続時間・回線要件・並列要否によって決まる。応動時間(一次10秒/二次5分/三次①15分/三次②60分)と継続時間(一次5分以上/その他30分)は、蓄電池の応答速度・出力維持・SOC設計に対する商品別の要求仕様を規定する。回線要件(一次・二次①は専用線のみ、二次②・三次①②は簡易指令システムも利用可)は、参入リードタイム・通信コストと応札可能商品の組合せを左右する。

また、全商品前日取引化・入札開始30分前倒し(前日11時30分〜14時受付・15時約定)への移行は、前日のSOC計画・自動入札ロジック・スポット市場との同時最適化のタイミング設計に直結する。上げ下げ区分が現行で上げのみ調達である点は、下げ調整力(充電方向)の市場機会が限定されるため、蓄電池の双方向性活用の制約となる。

  • 自社リソースの応動時間・継続時間・回線構成を5商品の要件と照合し、応札可能な商品の組合せを選定する。
  • 全商品前日取引化・入札開始30分前倒し(前日11時30分〜14時受付・15時約定)に合わせ、SOC計画・自動入札ロジック・スポット同時最適化のスケジュールを再設計する。
  • 最低入札量1MW・刻み幅1kWを前提に入札ロット・アグリゲーション構成を設計する。
  • 上げのみ調達の現行制約を踏まえ、充電方向の運用は市場外用途・自家最適化との組合せで検討する。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)2/5

各商品の違いを概観する程度でよい。

中級(建設・メーカー・設計)4/5

設計・EMS担当は応動時間・回線要件を今月中に確認すべき。

上級(事業者・市場参加者)5/5

前日化後の入札スケジュール・商品要件を今すぐ運用設計に反映すべき。

よくある質問(Q&A)

需給調整市場にはどのような商品がありますか?

一次調整力(FCR)、二次調整力①(S-FRR)、二次調整力②(FRR)、三次調整力①(RR)、三次調整力②(RR-FIT)の5商品です。応動時間は一次が10秒以内、二次①②が5分以内、三次①が15分以内、三次②が60分以内です。

各商品の回線要件は?

一次調整力と二次調整力①は専用線のみ、二次調整力②は専用線または簡易指令システム、三次調整力②は簡易指令システムも利用可能です。回線要件が応札可能な商品の組合せを左右します。

最低入札量と刻み幅は?

全商品共通で、入札の時間単位は30分、最低入札量は1MW、刻み幅(入札単位)は1kWです。上げ下げ区分は現行では上げのみ調達です。

全商品前日取引化とは何が変わりますか?

第6版では全商品前日化および入札開始時間の30分前倒しに伴い取引スケジュールが改定されました。複合市場商品(一次〜三次調整力①)および三次調整力②の入札受付は実需給前日の11時30分〜14時、約定処理は前日15時までとされます。

各商品の継続時間は?

一次調整力は5分以上、二次調整力①②・三次調整力①②はいずれも継続30分です。応動時間は一次10秒以内・二次①②5分以内・三次①15分以内・三次②60分以内です。

この商品要件の出所はどこですか?

商品要件の一覧は第59回需給調整市場検討小委員会(2026年1月20日)参考資料1、取引スケジュールは需給調整市場検討小委員会の資料を出所としています。第6版は全商品前日化・入札開始30分前倒しに伴う改定です。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 応動時間と継続時間の階層(一次10秒/5分以上〜三次②60分/30分)は、蓄電池のどの性能を市場価値に変換できるかの見取り図であり、応答速度の速い商品ほど専用線が要件となる傾向は参入コストとのトレードオフを生む。
  • 全商品前日化・入札開始30分前倒しは、前日時点でのSOC計画とスポット市場の同時最適化を一段と重要にし、自動入札ロジックの巧拙が収益差に直結する構造を強める。
  • 上げのみ調達の現行制約は、蓄電池の充電方向(下げ)の市場機会を限定するため、双方向性という蓄電池固有の強みが市場設計上まだ十分に活かされていないことを示す論点である。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。

この記事のまとめ

EPRX『需給調整市場の商品要件と取引スケジュール』第6版は、一次〜三次調整力②の5商品の応動時間(一次10秒〜三次②60分)・継続時間・回線要件・並列要否と、全商品共通の入札条件(時間単位30分・最低入札量1MW・刻み幅1kW・上げのみ調達)を一覧化する。第6版は全商品前日取引化・入札開始30分前倒しに伴う改定で、複合市場商品・三次調整力②の入札受付は実需給前日11時30分〜14時、約定は前日15時まで。蓄電池は応答性能・回線を商品要件と照合して応札商品を選び、前日化に合わせてSOC計画・自動入札ロジックを再設計する必要がある。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。

監修

BESS NEWS編集長

系統用蓄電池の電力市場・需給調整を専門とする社内専門家。本記事の商品要件・数値記述を確認。

出典(一次情報)

  1. 一般社団法人 電力需給調整力取引所(EPRX)『需給調整市場の商品要件と取引スケジュール』第6版(2026年3月13日)。商品要件の出所=第59回需給調整市場検討小委員会(2026年1月20日)参考資料1
    https://www.eprx.or.jp/
  2. 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/01_市場制度(OCCTO・EPRX・JEPX)/EPRX/20260313_EPRX_商品要件と取引スケジュール第6版.pdf

本記事は2026年3月13日公表の第6版の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。商品要件・取引スケジュールは今後の改定で変更される可能性があります。最新版の確認はEPRXの案内によります。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/market/proffessional/4609403001002/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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