2026年度の揚水随契を5エリアで継続 ― 蓄電池事業者の意見と需給調整市場への影響
電力・ガス取引監視等委員会は第19回制度設計・監視専門会合(2026年3月30日)で、2026年度の揚水随意契約(揚水随契)の調達量をエリア別に整理した。蓄電池事業者のヒアリング意見を踏まえつつ、中部・東北・関西・東京・北海道の5エリアでポートフォリオ調達の一部として継続する。
このページの要点
- 第19回会合で2026年度の揚水随契の調達量をエリア別に整理。中部・東北・関西・東京・北海道の5エリアでポートフォリオ調達の一部として継続する(資料4・資料5-1〜5-5)。
- 第17回(一般送配電の継続意向)・第18回(蓄電池事業者ヒアリング=透明性・投資予見性への懸念、スモールスタート)を踏まえた整理である。
- あわせて資料6で、中部エリアのブラックスタート機能公募の調達未達を契機に、特定地域立地電源(BS機能等)の調達方法(単年度公募か随意契約か)が議論された。
出典:監視委 第19回制度設計・監視専門会合 資料4・5-1〜5-5・6(2026年3月30日)。
一般送配電会社が2026年度も揚水発電と相対契約で調整力を確保する「量」を、蓄電池側の意見も踏まえて各エリアごとに決めた回である。揚水随契の規模は需給調整市場の募集量と表裏の関係にあり、蓄電池の市場参加余地を左右する。
目次
2026年度揚水随契の整理 ― 5エリアで継続
揚水随契は、一般送配電事業者が揚水発電と相対(随意契約)で調整力を確保する仕組みで、ポートフォリオ調達の一部に位置づけられる。
図1:2026年度に揚水随契を継続する5エリアと対応資料
出典:監視委 第19回制度設計・監視専門会合 資料4・資料5-1〜5-5(2026年3月30日)。
電力・ガス取引監視等委員会は第19回制度設計・監視専門会合(2026年3月30日)で、2026年度の揚水随契の調達量を整理した(資料4)。エリア別の資料として、中部・東北・関西・東京・北海道の5エリアで揚水随契を継続する内容が示された。
この整理は、第17回(一般送配電事業者の継続意向)・第18回(蓄電池事業者・揚水供給事業者のヒアリング)の議論を踏まえたものである。
蓄電池事業者の意見と委員会の判断
蓄電池事業者は透明性・投資予見性への懸念を示し、委員会は随契規模をエリアの競争状況から検討する方向を示した。
図2:蓄電池事業者の意見と委員意見の方向、特定地域立地電源の論点
出典:監視委 第19回制度設計・監視専門会合 資料4・資料6(2026年3月30日)。
蓄電池事業者の意見
揚水随契が市場の透明性・投資予見性を損なう懸念。導入はスモールスタートを求める。
委員意見の方向
ポートフォリオ調達を強く否定する意見はない。蓄電池が将来重要な調整力である点から、随契の妥当な規模をエリアの競争状況・参加機会から検討。
揚水随契のポートフォリオ調達を強く否定する意見はないが、蓄電池が将来重要な調整力であることから、随契の妥当な規模をエリアごとの競争状況・参加機会から検討すべき。揚水以外の電源にも随契の門戸を開く論点もある。
— 監視委 第19回制度設計・監視専門会合 資料4特定地域立地電源(資料6)
あわせて資料6では、中部エリアのブラックスタート(BS)機能公募で調達未達が生じた事案を契機に、特定地域立地電源(BS機能・電圧調整機能・系統安定対策機能等)の調達方法(単年度公募か随意契約か)が議論された。投資回収の予見性を理由とした未達リスクへの対応が論点である。
需給調整市場と蓄電池への影響
揚水随契の調達量は、需給調整市場の募集量=蓄電池の市場参加機会と実質的にトレードオフの関係にある。
蓄電池を調整力として需給調整市場へ供出するアグリゲーター・事業者にとって、2026年度のエリア別の揚水随契の調達量は需給調整市場の募集量を直接左右する。特に、蓄電池事業者が慎重な検討を求めた北海道エリアの扱いや、各エリアの随契規模が収益予見の前提になる。前日取引化後の揚水・蓄電池の市場参加構造とあわせ、入札戦略の重要な前提である。
- アグリゲーター・蓄電池事業者は、2026年度のエリア別揚水随契規模と需給調整市場募集量の関係を確認し、特に北海道エリアの方針を注視する。
- 特定地域立地電源(BS機能等)の調達方法の議論を、蓄電池の調整力提供機会の観点で継続追跡する。
読者別の緊急度
調整力市場の構造の方向性を把握する程度でよい。
調整力市場の募集量動向として今月中に把握しておきたい。
需給調整市場の募集量・収益に直結する論点で、エリア別の随契規模を必ず押さえるべき。
よくある質問(Q&A)
揚水随契(揚水随意契約)とは何ですか?一般送配電事業者が揚水発電と相対(随意契約)で調整力を確保する契約で、ポートフォリオ調達の一部として位置づけられます。第19回制度設計・監視専門会合では、2026年度の揚水随契の調達量が整理されました。
2026年度はどのエリアで揚水随契が継続されますか?中部・東北・関西・東京・北海道の5エリアです。エリア別に資料5-1(中部)・5-2(東北)・5-3(関西)・5-4(東京)・5-5(北海道)として示されました。
蓄電池事業者はどのような意見を出しましたか?第18回会合のヒアリングで、揚水随契が市場の透明性・投資予見性を損なう懸念や、スモールスタートを求める意見が示されました。
委員会の判断の方向はどうでしたか?揚水随契のポートフォリオ調達を強く否定する意見はないものの、蓄電池が将来重要な調整力であることから、随契の妥当な規模をエリアの競争状況・参加機会から検討すべきとの意見が出ました。揚水以外の電源にも随契の門戸を開く論点も示されています。
特定地域立地電源の議論とは何ですか?資料6で議論されたもので、中部エリアのブラックスタート(BS)機能公募で調達未達が生じた事案を契機に、特定地域立地電源(BS機能・電圧調整機能・系統安定対策機能等)の調達方法(単年度公募か随意契約か)が検討されました。
この整理は蓄電池にどう影響しますか?揚水随契の調達量は需給調整市場の募集量と実質的にトレードオフの関係にあり、エリア別の随契規模が蓄電池の市場参加機会を左右します。特に蓄電池事業者が慎重な検討を求めた北海道エリアの扱いや各エリアの随契規模が、収益予見の前提になります。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 揚水随契の調達量は需給調整市場の募集量と実質的にトレードオフであり、エリア別の随契規模が蓄電池の市場参加機会を規定する。
- 第18回の蓄電池事業者ヒアリング(透明性・投資予見性・スモールスタート)が2026年度の整理にどこまで反映されたかが評価のポイントになる。
- 資料6の特定地域立地電源(BS機能等)の随意契約論は、将来的に蓄電池が随契対象の調整力となりうるかという「随契の門戸」論につながる。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。
この記事のまとめ
監視委は第19回制度設計・監視専門会合(2026年3月30日)で、2026年度の揚水随契の調達量をエリア別に整理し、中部・東北・関西・東京・北海道の5エリアでポートフォリオ調達の一部として継続する内容を示した。第17回(一般送配電の継続意向)・第18回(蓄電池事業者ヒアリング=透明性・投資予見性への懸念、スモールスタート)を踏まえた整理で、委員からは蓄電池が将来重要な調整力であることから随契の妥当な規模をエリアの競争状況・参加機会から検討すべきとの意見が出た。あわせて資料6で、中部エリアのBS機能公募の調達未達を契機に特定地域立地電源の調達方法が議論された。揚水随契の規模は需給調整市場の募集量=蓄電池の市場参加機会と表裏の関係にあり、特に北海道エリアの扱いが注目される。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・電力市場を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 電力・ガス取引監視等委員会 第19回制度設計・監視専門会合(2026年3月30日)資料4「2026年度における揚水随契について」・資料5-1〜5-5(エリア別揚水随意契約)・資料6(特定地域立地電源の調達方法)
https://www.egc.meti.go.jp/activity/index_system.html - 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/02_政策・制度(経産省・エネ庁・監視委)/監視委/20260330_監視委_制度設計監視専門会合第19回_資料42026年度揚水随契について.pdf
本記事は2026年3月30日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。各エリアの調達量の詳細は一次資料を参照してください。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/proffessional/4611203102001/
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