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市場・価格上級

ルールブック改定、402ページ ― 取引規程(需給調整市場)Ver17の新旧対照表を読み解く

電力需給調整力取引所(EPRX)は、取引規程(需給調整市場)の2026年4月1日改定(Ver17)の新旧対照表(全402ページ・本則+全6商品別冊)を公表した。第2条(定義)に起動供出機・持ち下げ供出機・起動費単価分・返還区分等を追加し、第36条(差替え)・第44条(返還情報の登録)を改定。起動費等の事後精算ルールと一体で機能する規程整備であり、需給調整市場入札の根幹規程の改定である。

このページの要点

  1. EPRXが取引規程(需給調整市場)の2026年4月1日改定(Ver17)の新旧対照表を公表(全402ページ、本則・三次②・三次①・二次②・二次①・一次・複合の全商品別冊を含む)。
  2. 第2条(定義)に起動供出機・持ち下げ供出機・持ち下げ単価分・起動費単価分・持ち下げ返還区分・起動費返還区分・返還分控除後単価・EDC/LFC/AR等を追加し、起動費等の事後精算ルールと整合させた。
  3. 第36条(約定した単独発電機または各リスト・パターンの差替え)、第44条(返還情報の登録)等を改定し、持ち下げ返還区分・起動費返還区分を翌月第1営業日までに需給調整市場システムへ登録する手続を規定した。

出典:EPRX『取引規程(需給調整市場)Ver17 新旧対照表』(2026年4月1日改定)。

要旨 ― ひと言でいえば

需給調整市場の「取引ルールブック」改訂版の変更箇所を、旧版と並べて一覧できる対照表である。起動費の入札・返還に関する新しい用語と条文が、規程のどこにどう加わったかを条文レベルで確認できる。

目次

  1. 取引規程Ver17改定の全体像と起動費事後精算との関係
  2. 新設された定義(起動供出機・持ち下げ供出機・起動費単価分)
  3. 返還情報の登録(第44条)と差替え(第36条)の手続変更
  4. よくある質問(Q&A)
  5. 編集部の見立て(独自分析)
  6. 出典(一次情報)

取引規程Ver17改定の全体像と起動費事後精算との関係

Ver16(2026年3月14日実施)からVer17(2026年4月1日実施)へ。事後精算ルールを取引規程本体に整合させる一体改定である。

新旧対照表は、本則および別冊(三次調整力②・三次調整力①・二次調整力②・二次調整力①・一次調整力・複合約定)の改定箇所を変更前・変更後・備考の3列で示す全402ページの資料である。対象はVer16実施(2026年3月14日)からVer17実施(2026年4月1日)への改定だ。

今回の改定の性格は、起動費等の事後精算(説明資料・覚書)と取引規程本体を一体で機能させる規程整備にある。需給調整市場に入札する全リソース(系統用蓄電池含む)の入札・返還・差替えの基本ルールを規定する根幹規程の改定であり、市場参加者は規程・覚書・説明資料を横断して理解する必要がある。

新設された定義(起動供出機・持ち下げ供出機・起動費単価分)

起動費を伴う入札を規程上で正式に位置づける用語群が、第2条に加わった。

図1:Ver17の第2条に追加された定義(起動供出機・持ち下げ供出機・起動費単価分)

需給調整市場の取引規程Ver17第2条に追加された起動供出機・持ち下げ供出機・起動費単価分の定義を整理した図

出典:EPRX『取引規程(需給調整市場)Ver17 新旧対照表』(2026年4月1日改定・全402ページ)第2条。

用語解説(Ver17で追加された主要定義)

用語定義(要旨)
起動供出機入札時点でΔkWを供出するため、実需給において起動を計画していた単独発電機または各リスト・パターン。
持ち下げ供出機起動供出機の最低出力を維持するため、出力を下げることを計画していたリソース。
起動費単価分提供期間にΔkWを提供するためのリソースの起動に係る費用の30分あたり単価。銭単位まで登録(円/kW)。差替えに伴うΔkW約定単価変更後の起動費分も含む。
持ち下げ単価分持ち下げ供出機に係る単価分(起動費単価分と併せて約定単価の内訳を構成)。
持ち下げ返還区分・起動費返還区分約定ブロック単位で需給調整市場システムに登録する返還情報の区分。
返還分控除後単価返還分を控除した後の単価。
EDC/LFC/地域要求量(AR)等EDC(経済負荷配分制御)・LFC(負荷周波数制御)・地域要求量(AR)・EDC演算周期/指令周期等の制御・指令に関する技術的概念。
一次資料の記載(要旨)

第2条(定義)に、起動供出機(入札時点でΔkWを供出するため実需給において起動を計画していた単独発電機または各リスト・パターン)、持ち下げ供出機(起動供出機の最低出力を維持するため出力を下げることを計画していたリソース)、起動費単価分(提供期間にΔkWを提供するためのリソースの起動に係る費用の30分あたり単価)等を新設した。

— EPRX『取引規程(需給調整市場)Ver17 新旧対照表』(要旨)

これらの定義は、起動費を伴う火力・揚水の入札に直結する概念だが、蓄電池も複合市場商品・三次調整力②への入札や電源差替えで返還区分の登録義務を負う点に注意が必要である。

返還情報の登録(第44条)と差替え(第36条)の手続変更

返還情報の登録期限は「提供期間翌月の第1営業日」。精算実務のスケジュール制約となる。

図2:返還情報の登録期限(第44条)と差替え(第36条)の手続変更

需給調整市場の取引規程Ver17で返還情報の登録を翌月第1営業日までとし、第36条の差替えを改定したことを示す図

出典:EPRX『取引規程(需給調整市場)Ver17 新旧対照表』第44条(返還情報の登録)・第36条(差替え)。

第44条:返還情報の登録

第44条(返還情報の登録)の改定により、持ち下げ単価分・起動費単価分を含めて約定したブロックについて、提供期間が属する月の翌月第1営業日(属地TSO営業日)までに、約定ブロック単位で持ち下げ返還区分・起動費返還区分(返還情報)を需給調整市場システムに登録する手続が規定された。登録漏れは収益・精算に影響する。

第36条:差替えの改定

第36条(約定した単独発電機または各リスト・パターンの差替え)も改定され、差替えに伴うΔkW約定単価の変更・起動費単価分の扱いが整理された。電源差替えを行う事業者は、実務手順への組み込みが求められる。

  • 需給調整市場に入札する蓄電池・調整力事業者は、Ver17で追加された起動供出機・持ち下げ供出機・起動費単価分・返還区分の定義を入札・精算システムに反映する。
  • 第44条に基づき、持ち下げ返還区分・起動費返還区分を提供期間翌月第1営業日までに需給調整市場システムへ登録する業務フローを整備する。
  • 第36条の差替えに伴うΔkW約定単価変更・起動費単価分の扱いを、電源差替えの実務手順に組み込む。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)1/5

投資家には条文レベルの改定は関係が薄い。

中級(建設・メーカー・設計)3/5

システム・精算実装側は定義・手続変更を今月中に確認すべき。

上級(事業者・アグリゲーター)5/5

需給調整市場参加者は入札・返還の根幹規程改定で、絶対に押さえるべき。

よくある質問(Q&A)

取引規程Ver17はいつから実施されていますか?

2026年4月1日実施です。前版のVer16は2026年3月14日実施で、Ver16からVer17への改定内容を新旧対照表が示しています。

新旧対照表の対象範囲はどこまでですか?

本則および全6商品別冊(三次調整力②・三次調整力①・二次調整力②・二次調整力①・一次調整力・複合約定)を含む全402ページで、改定箇所を変更前・変更後・備考の3列で示しています。

起動供出機・持ち下げ供出機とは何ですか?

起動供出機は、入札時点でΔkWを供出するため実需給において起動を計画していた単独発電機または各リスト・パターンです。持ち下げ供出機は、起動供出機の最低出力を維持するため出力を下げることを計画していたリソースです。いずれもVer17で第2条(定義)に追加されました。

起動費単価分とは何ですか?

提供期間にΔkWを提供するためのリソースの起動に係る費用の30分あたり単価です。銭単位まで登録(円/kW)し、差替えに伴うΔkW約定単価変更後の起動費分も含みます。

返還情報の登録期限はいつですか?

第44条の改定により、持ち下げ単価分・起動費単価分を含めて約定したブロックについて、提供期間が属する月の翌月第1営業日(属地TSO営業日)までに、約定ブロック単位で持ち下げ返還区分・起動費返還区分(返還情報)を需給調整市場システムに登録します。

蓄電池にもこの改定は関係しますか?

関係します。起動供出機等の概念は起動費を伴う火力・揚水の入札に直結しますが、蓄電池も複合市場商品・三次調整力②への入札や電源差替えで返還区分の登録義務を負います。登録漏れは収益・精算に影響します。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 起動供出機・持ち下げ供出機という概念の導入は、複数電源を組み合わせて起動費を最適配分する加重平均入札を取引規程上で正式に位置づけるものと読める。
  • 返還区分(持ち下げ・起動費)の需給調整市場システム登録を翌月第1営業日までと明確化したことで、返還・精算の手続期限が制度化された。
  • EDC・LFC・地域要求量(AR)等の定義追加は、調整力の制御・指令の技術的概念を取引規程に取り込み、商品要件と制御実務の整合を図る動きといえる。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。

この記事のまとめ

EPRXの『取引規程(需給調整市場)Ver17 新旧対照表』(2026年4月1日改定・全402ページ)は、本則と全6商品別冊の改定箇所を変更前・変更後・備考の3列で示す一次資料である。第2条(定義)に起動供出機・持ち下げ供出機・持ち下げ単価分・起動費単価分(30分あたり単価・銭単位まで登録)・返還区分・返還分控除後単価・EDC/LFC/AR等を追加し、第36条(差替え)で差替えに伴うΔkW約定単価変更・起動費単価分の扱いを、第44条(返還情報の登録)で提供期間翌月第1営業日までの返還区分登録手続を規定した。起動費等の事後精算(説明資料・覚書)と一体で機能する規程整備であり、需給調整市場参加者は規程・覚書・説明資料を横断して理解する必要がある。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。

監修

BESS NEWS編集長

系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。

出典(一次情報)

  1. 電力需給調整力取引所(EPRX)『取引規程(需給調整市場)Ver17 新旧対照表』(2026年4月1日改定・全402ページ)
    https://www.eprx.or.jp/
  2. 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/01_市場制度(OCCTO・EPRX・JEPX)/EPRX/20260401_EPRX_取引規程Ver17新旧対照表.pdf

本記事は2026年4月1日改定の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。条文の正確な文言は必ず一次資料を参照してください。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/market/proffessional/4611303001001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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