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市場・価格上級

容量市場のNet CONE・上限価格見直し ― 影響緩和は「二段階シングルプライス」案3が有力に

資源エネルギー庁は第113回制度検討作業部会(2026年4月3日)の資料5『容量市場について』で、指標価格Net CONEと上限価格の見直しに伴う影響緩和策として案2(Net CONE超はマルチプライス併用)と案3(二段階シングルプライス)を比較し、確実な供給力確保の観点から案3が望ましいと整理した。2027年度実需給向け追加オークションの開催判断、非効率石炭火力の稼働抑制誘導措置もあわせて議論された。

このページの要点

  1. エネ庁の第113回制度検討作業部会(2026年4月3日)が、容量市場の指標価格Net CONEと上限価格の見直し、影響緩和策(案2・案3)の比較、2027年度実需給向け追加オークションの開催判断、非効率石炭火力の稼働抑制誘導措置を議論(資料5)。
  2. 影響緩和策は、案2(Net CONE以上はマルチプライス併用)と案3(Net CONEをベンチマークに二段階シングルプライス)を比較し、確実な供給力確保の観点から案3が望ましいと事務局が整理。
  3. 案3の応札行動の歪み懸念には入札ガイドラインと監視委による監視で対応可能とし、ベンチマーク価格を事前に示すことで予見可能性が高まる利点も指摘した。

出典:第113回制度検討作業部会 資料5『容量市場について』(2026年4月3日・全27ページ)。

要旨 ― ひと言でいえば

発電設備の維持費を支える容量市場の「値決めルール」を作り直す設計議論である。価格の天井(上限価格)と基準値(Net CONE)を引き上げれば小売電気事業者の負担が増えるため、その影響を緩和する約定方式を2案で比較しており、蓄電池を含む電源の容量収入の決まり方を左右する。

目次

  1. 容量市場のNet CONE・上限価格見直しの全体像
  2. 影響緩和策・案2と案3の違いと事務局が案3を推す理由
  3. 蓄電池の容量収入・マルチマーケット入札への影響
  4. よくある質問(Q&A)
  5. 編集部の見立て(独自分析)
  6. 出典(一次情報)

容量市場のNet CONE・上限価格見直しの全体像

結論:Net CONEの水準見直しには前回すでに一定のコンセンサスがあり、今回は「負担増の痛みをどう緩和するか」の約定方式選択に論点が移った。

資源エネルギー庁が2026年4月3日に開催した総合資源エネルギー調査会 制度検討作業部会(第113回)の事務局資料『容量市場について』(資料5・全27ページ)は、次の3つの論点で構成される。

論点内容
論点1指標価格Net CONE(Cost of New Entry)および上限価格の見直しと影響緩和策(案1〜案3)の比較
論点22027年度実需給向け追加オークションの開催判断(目標調達量・供給力確保状況を整理)
論点3非効率石炭火力における稼働抑制誘導措置の2026年度対応の確認

前回(2026年3月4日)の作業部会では、最新のコスト検証を元にNet CONEの水準を見直すことに一定のコンセンサスが得られた。一方で、負担増を受ける小売電気事業者への配慮や、長期脱炭素電源オークションの整備により容量市場が事実上「既設電源の維持の仕組み」として機能している実態を踏まえ、設定方法自体の見直しを求める意見もあった。

Net CONEは容量市場の指標価格で、上限価格の基準となる。委員からは影響緩和策として案2・案3のいずれかが適当とされており、本資料はその比較を深掘りしたものである。

影響緩和策・案2と案3の違いと事務局が案3を推す理由

結論:定量分析では両案に大差がなかったが、応札価格規律を踏まえた「供給力確保の確実性」で案3(二段階シングルプライス)に軍配が上がった。

図1:影響緩和策3案の比較と、事務局が案3(二段階シングルプライス)を推す理由

容量市場Net CONE見直しの影響緩和策 案1段階的引上げ・案2マルチプライス併用・案3二段階シングルプライスの比較図

出典:第113回制度検討作業部会 資料5『容量市場について』(2026年4月3日・全27ページ)。各案の詳細な約定曲線は一次資料参照。

Net CONE・上限価格の引上げに伴う小売電気事業者の負担増を緩和する方策として、3つの案が検討された。案1(段階的引上げ)は供給力確保に課題があるとされ、委員からは案2・案3のいずれかが適当との意見が示されていた。

一次資料の記載(要旨)

第72回在り方検討会(2026年3月27日)の定量分析では、仮定の下で案2・案3にほぼ違いがなかった。しかし応札価格規律(事業報酬・減価償却費の織込み不可、他市場収益の控除)を踏まえると供給力確保の効果が異なる可能性があり、確実な供給力確保の観点から案3が望ましい。

— 第113回制度検討作業部会 資料5『容量市場について』

案3の「応札行動の歪み」懸念への回答

案3には、Net CONE近傍の電源がNet CONE超で応札するインセンティブが生じうるという懸念がある。これに対し事務局は、容量市場の入札ガイドラインと電力・ガス取引監視等委員会による監視で対応可能であり、ベンチマーク価格を事前に示さないといった措置までは不要と整理した。むしろベンチマーク価格を事前に示すことで、事業者の予見可能性が高まる利点も指摘されている。

蓄電池の容量収入・マルチマーケット入札への影響

結論:Net CONE・上限価格の水準と約定方式の選択は、蓄電池の容量収入の「上限」と「確実性」を直接左右する。

図2:応札価格規律と、蓄電池の容量収入・マルチマーケット入札への影響

容量市場の応札価格規律で他市場収益が控除され蓄電池の容量収入とマルチマーケット入札戦略に影響する図

出典:第113回制度検討作業部会 資料5『容量市場について』(2026年4月3日)。非効率石炭火力の稼働抑制誘導措置もあわせて議論。

容量市場は系統用蓄電池の主要な容量収入源である。Net CONE・上限価格の水準と、案2/案3いずれの約定方式が採用されるかは、蓄電池の容量収入の上限・確実性を直接左右する

特に重要なのが応札価格規律である。応札価格には事業報酬・減価償却費を織り込めず、他市場収益の控除が求められる。これは、蓄電池がスポット市場・需給調整市場で得る収益が容量市場の応札価格から差し引かれる構造を意味し、需給調整市場・スポット等の他市場収益とのトレードオフを意識したマルチマーケット入札戦略の前提となる。

また、論点2の2027年度実需給向け追加オークションの開催可否は、短期の容量収入機会に影響する。目標調達量・供給力確保状況の整理に基づく開催判断の行方を注視したい。

  • 蓄電池事業者・アグリゲーターは、Net CONE・上限価格の見直し方向と案2・案3の約定方式が容量収入に与える影響を試算し、応札価格規律(他市場収益控除)を織り込んだマルチマーケット入札戦略を再検討する。
  • 2027年度実需給向け追加オークションの開催判断の動向を注視し、短期の容量収入機会を計画に反映する。
  • 後続の作業部会・在り方検討会での案2・案3の最終決定をフォローする。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)3/5

投資家は容量収入の決まり方の方向性を今月中に把握しておきたい。

中級(建設・メーカー・設計)3/5

設計・EMS側は容量市場収益の前提変更を今月中に確認すべき。

上級(事業者・アグリゲーター)5/5

容量収入とマルチマーケット入札に直結する見直しで、絶対に今押さえるべき。

よくある質問(Q&A)

容量市場のNet CONEとは何ですか?

Net CONE(Cost of New Entry)は容量市場の指標価格です。前回(2026年3月4日)の制度検討作業部会では、最新のコスト検証を元にNet CONEの水準を見直すことに一定のコンセンサスが得られています。

影響緩和策の案2と案3の違いは何ですか?

案2はNet CONEをベンチマークにシングルプライスとマルチプライスを併用する方式、案3はNet CONEをベンチマークに二段階でシングルプライスとする方式です。このほか案1(段階的引上げ)も検討されましたが、供給力確保に課題があるとされています。

事務局はどちらの案が望ましいと整理しましたか?

確実な供給力確保の観点から案3(二段階シングルプライス)が望ましいと整理しました。応札価格規律(事業報酬・減価償却費の織込み不可、他市場収益の控除)を踏まえると、両案で供給力確保の効果が異なる可能性があるためです。

案3の応札行動の歪みへの懸念はどう扱われましたか?

Net CONE近傍の電源がNet CONE超で応札するインセンティブが生じうるとの懸念に対し、容量市場の入札ガイドラインと電力・ガス取引監視等委員会による監視で対応可能とし、ベンチマーク価格を事前に示さない措置までは不要と整理されました。

蓄電池の容量収入にはどう影響しますか?

容量市場は系統用蓄電池の主要な容量収入源であり、Net CONE・上限価格の水準と約定方式(案2・案3)の選択は容量収入の上限・確実性を直接左右します。応札価格規律では他市場収益の控除が求められるため、需給調整市場・スポット等の収益とのトレードオフを意識した入札戦略が前提になります。

2027年度実需給向け追加オークションは開催されますか?

第113回では目標調達量・供給力確保状況を整理したうえで開催判断が論点として議論されました。開催可否の結論は一次資料および後続の審議を参照してください。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 案3(二段階シングルプライス)が望ましいとの整理は、Net CONE近傍電源にNet CONE超応札のインセンティブを生じうるものの、入札ガイドラインと監視委の監視で歪みを抑止できるとの判断に基づく。
  • 容量市場が長期脱炭素電源オークション整備後に「既設電源維持の仕組み」化しているとの認識は、新設電源(蓄電池含む)の収益源としての位置づけを再考させる論点である。
  • 応札価格規律で他市場収益の控除が求められる点は、蓄電池がスポット・需給調整市場で得る収益が容量市場応札価格から差し引かれる構造を意味し、マルチマーケット最適化が入札戦略の前提となる。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。

この記事のまとめ

エネ庁の第113回制度検討作業部会(2026年4月3日)は、容量市場の指標価格Net CONEと上限価格の見直しに伴う影響緩和策として、案2(Net CONE以上はマルチプライス併用)と案3(Net CONEをベンチマークに二段階シングルプライス)を比較し、応札価格規律(事業報酬・減価償却費の織込み不可、他市場収益の控除)を踏まえ、確実な供給力確保の観点から案3が望ましいと整理した。応札行動の歪み懸念には入札ガイドラインと監視委の監視で対応可能とする。2027年度実需給向け追加オークションの開催判断、非効率石炭火力の稼働抑制誘導措置もあわせて議論されており、蓄電池の容量収入とマルチマーケット入札戦略に直結する一次資料である。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。

監修

BESS NEWS編集長

系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。

出典(一次情報)

  1. 資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会 制度検討作業部会 第113回(2026年4月3日)資料5「容量市場について」(全27ページ)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/
  2. 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/02_政策・制度(経産省・エネ庁・監視委)/エネ庁/20260403_エネ庁_容量市場について第113回.pdf

本記事は2026年4月3日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。制度内容は今後の審議で変更される可能性があります。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/market/proffessional/4611503001001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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