櫻貿易株式会社
制度・政策・審議会上級

インバランス料金の“天井”が固まる ― C値300円・累積価格閾値制度は令和8年10月1日施行

資源エネルギー庁は第113回制度検討作業部会(2026年4月3日)の資料9で、電力・ガス取引監視等委員会の建議(令和7年7月10日)を受けたインバランス料金制度改正の対応を整理した。C値300円/kWh・D値50円/kWh、累積価格閾値制度(直前7日30コマ到達で上限100円/kWh)の改正時期が令和8年10月1日に明確化された。

このページの要点

  1. 資源エネルギー庁が第113回制度検討作業部会(2026年4月3日)で、監視委の建議(令和7年7月10日)を受けたインバランス料金制度改正の対応を整理した(資料9)。
  2. kW需給ひっ迫時補正インバランス料金のC値(上限価格)を令和8年度から当面300円/kWh、D値を50円/kWhとし、累積価格閾値制度(直前7日でエリアプライス200円/kWh以上が30コマ到達で翌日上限を100円/kWhに引下げ)を導入する。
  3. 第15回制度設計・監視専門会合(令和7年11月21日)で時間前市場のエリア別情報公表時期が令和8年10月1日となったことを受け、インバランス料金制度の改正時期も同日(令和8年10月1日)からに明確化された。

出典:第113回制度検討作業部会 資料9(2026年4月3日)。

要旨 ― ひと言でいえば

需給ひっ迫時に発生するインバランス料金の上限を「いつから・いくら」にするかを定める改正である。C値300円/kWh・累積価格閾値制度の施行日が令和8年(2026年)10月1日に明確化され、系統用蓄電池が高値局面で得る収益の天井が施行日付きで固まった。

目次

  1. インバランス料金改正の全体像とC値・D値の見直し
  2. 累積価格閾値制度の発動条件と令和8年10月1日施行
  3. 系統用蓄電池の収益とひっ迫時リスクへの影響と対応
  4. よくある質問(Q&A)
  5. 編集部の見立て(独自分析)
  6. 出典(一次情報)

インバランス料金改正の全体像とC値・D値の見直し

監視委の建議を受け、需給ひっ迫時の上限価格(C値)が当面300円/kWhへ引き上げられる。

図1:C値・D値の見直し ― 令和8年度から当面C値300円/kWh・D値50円/kWh

インバランス料金のC値が暫定200円/kWhから令和8年度に当面300円/kWh、D値が45円から50円/kWhへ見直される図

出典:第113回制度検討作業部会 資料9(2026年4月3日)。いずれも「当面の間」の水準。

本資料は、電力・ガス取引監視等委員会が経済産業大臣に対し令和7年7月10日に行った「『2022年度以降のインバランス料金制度について(中間とりまとめ)』を踏まえたインバランス料金制度の改正についての建議」を受けた対応を整理したものである(資料9・全20ページ)。建議事項は次の3点にまとめられる。

一次資料の記載(要旨)

(1) kW需給ひっ迫時補正インバランス料金のC値(上限価格)を令和8年度からは当面の間300円/kWhとし、インバランスの発生やインバランス料金の状況等を監視し必要に応じ更に見直す。(2) D値を令和8年度からは当面の間50円/kWhとする。(3) 閾値以上の価格が一定期間連続発生した場合に一時的に上限価格を引き下げる累積価格閾値制度(cumulative price threshold)を令和8年度から導入する。

— 第113回制度検討作業部会 資料9(2026年4月3日)

C値は2022〜2025年度の暫定200円/kWhから、2026年度(令和8年度)以降は当面300円/kWhへと引き上げられる。D値は2025年度までの45円/kWhから50円/kWhとなる。いずれも「当面の間」の水準であり、インバランスの発生状況等を監視のうえ必要に応じ更に見直すとされている。

あわせて、日本卸電力取引所の時間前市場の情報公表拡充について、エリアを分割した情報公表を行う方向で検討することも整理されている。この時間前市場の情報公表が、後述する施行日の確定と直接連動している。

累積価格閾値制度の発動条件と令和8年10月1日施行

高値が7日30コマ続くと、翌日から上限が100円/kWhに下がる。施行日は令和8年10月1日に明確化された。

図2:累積価格閾値制度の判定・発動・解除と令和8年10月1日施行

累積価格閾値制度で直前7日間30コマ到達なら翌日から上限100円/kWhへ引下げ、令和8年10月1日施行を示す図

出典:第113回制度検討作業部会 資料9(2026年4月3日)。

累積価格閾値制度は、閾値以上の価格が一定期間連続発生した場合に、一時的に上限価格を引き下げる仕組みである。要件は次のとおり整理された。

項目内容
期間設定対象日の直前7日間
閾値設定スポット市場価格(エリアプライス)200円/kWh以上の累積発生コマ数が30コマに到達(沖縄は指標をインバランス料金とする)
閾値超過時の上限価格閾値到達の翌日から、補正インバランス料金の上限を電力使用制限令の措置を参考に100円/kWhとする
解除要件直前7日間の100円以上の累積発生コマ数がゼロになった時点

施行日が「令和8年10月1日」に明確化された経緯

建議段階では「令和8年度から」とされていた改正時期について、本資料で施行日が具体化された。第15回制度設計・監視専門会合(令和7年11月21日)において時間前市場におけるエリア別情報公表の実施時期が令和8年10月1日となったことから、インバランス料金制度の改正時期も同日(令和8年10月1日)からに明確化された。時間前市場のエリア別情報公表とインバランス料金改正が同日施行される連動関係にある。

系統用蓄電池の収益とひっ迫時リスクへの影響と対応

高値局面の収益天井が「施行日付き」で確定に近づいた。入札ロジック・収益モデルの再設計が必要になる。

系統用蓄電池の収益はスポット高値時の充放電とインバランス回避に依存するため、上限価格(C値300円/kWh・累積閾値制度発動時100円/kWh)は高値局面の収益天井とリスクを直接左右する。本資料で改正時期が令和8年(2026年)10月1日に明確化された点は実務上極めて重要であり、事業者は施行日を起点としたひっ迫時の入札ロジック・収益モデルの再設計が必要になる。

特に累積価格閾値制度の発動条件(直前7日間・200円/kWh以上・30コマ)は、ひっ迫局面が長引くほど上限が100円/kWhへ引き下げられる構造であり、「ひっ迫時に高値で売る」戦略の上振れを構造的に制約する。発動・解除の判定を日次で追える運用体制が求められる。

  • 蓄電池事業者・アグリゲーターは、令和8年10月1日施行を起点に、C値300円/kWh・累積価格閾値制度(発動時上限100円/kWh)を織り込んだひっ迫局面の入札ロジック・収益モデルを再設計する。
  • 時間前市場のエリア別情報公表(令和8年10月1日)と連動した運用変更を社内の制度対応計画に組み込む
  • 累積価格閾値制度の発動・解除条件(直前7日30コマ・200円/kWh・解除はゼロコマ)を監視する運用体制を整備する。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)3/5

投資家は収益の前提となる価格上限ルールと施行日を今月中に把握しておきたい。

中級(建設・メーカー・設計)3/5

設計・EMS側はインバランス回避制御の前提パラメータと施行日を今月中に確認すべき。

上級(事業者・アグリゲーター)5/5

収益モデルとひっ迫時入札に直結する改正で、施行日確定を絶対に今押さえるべき。

よくある質問(Q&A)

インバランス料金の改正はいつから施行されますか?

令和8年(2026年)10月1日からです。第15回制度設計・監視専門会合(令和7年11月21日)で時間前市場のエリア別情報公表の実施時期が令和8年10月1日となったことを受け、インバランス料金制度の改正時期も同日からに明確化されました。

C値(上限価格)はいくらになりますか?

令和8年度からは当面の間300円/kWhです(2022〜2025年度は暫定200円/kWh)。インバランスの発生やインバランス料金の状況等を監視し、必要に応じ更に見直すとされています。

D値はいくらになりますか?

令和8年度からは当面の間50円/kWhです(2025年度までは45円/kWh)。

累積価格閾値制度とはどのような仕組みですか?

対象日の直前7日間で、スポット市場価格(エリアプライス)200円/kWh以上の累積発生コマ数が30コマに到達すると、翌日から補正インバランス料金の上限を100円/kWhに引き下げる制度です(沖縄は指標をインバランス料金とする)。解除は直前7日間の100円以上の累積発生コマ数がゼロになった時点です。

なぜ今回の改正が行われるのですか?

電力・ガス取引監視等委員会が令和7年7月10日に経済産業大臣へ行った建議(『2022年度以降のインバランス料金制度について(中間とりまとめ)』を踏まえたインバランス料金制度の改正についての建議)を受けた対応です。

系統用蓄電池の事業にはどのような影響がありますか?

C値300円/kWhと累積価格閾値制度発動時の上限100円/kWhは、高値局面の収益天井とひっ迫時リスクを直接左右します。事業者は令和8年10月1日の施行を起点に、ひっ迫時の入札ロジック・収益モデルの再設計が必要です。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 改正時期が令和8年10月1日に確定した点が最大の実務インパクトで、時間前市場のエリア別情報公表とインバランス料金改正が同日施行される連動関係が明確化された。
  • 累積価格閾値制度は長期間の高値継続時に上限を100円/kWhへ強制的に引き下げるセーフティーネットで、蓄電池の「ひっ迫時に高値で売る」収益モデルの上振れを構造的に抑制する。
  • C値が暫定200円→2026年度から300円に引き上げられる一方、累積閾値制度発動時は100円に下がるという二段構えは、平時の高値容認とひっ迫長期化時の抑制を両立させる設計と読める。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。

この記事のまとめ

監視委の建議(令和7年7月10日)を受け、kW需給ひっ迫時補正インバランス料金のC値は令和8年度から当面300円/kWh、D値は50円/kWhとなり、累積価格閾値制度(直前7日間でエリアプライス200円/kWh以上が30コマ到達で翌日から上限100円/kWh・解除はゼロコマ)が導入される。改正時期は、時間前市場のエリア別情報公表の実施時期に合わせて令和8年(2026年)10月1日からに明確化された。系統用蓄電池の高値局面の収益天井とひっ迫時リスクを規定するパラメータであり、施行日を起点とした入札ロジック・収益モデルの再設計が必要になる。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。

監修

BESS NEWS編集長

系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。

出典(一次情報)

  1. 資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会 第113回制度検討作業部会(2026年4月3日)資料9「電力・ガス取引監視等委員会からの建議を受けた対応について」
    https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/index.html
  2. 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/02_政策・制度(経産省・エネ庁・監視委)/総合資源エネルギー調査会/20260403_総合エネ調_資料9電力・ガス取引監視等委員会からの建議を受けた対応について(PDF形式:3,772KB).pdf

本記事は2026年4月3日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。制度内容は今後の審議で変更される可能性があります。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/proffessional/4611503102001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

お気軽にご相談ください

系統用蓄電池事業についてなど、まずはお気軽にお話しください。

メールでお問い合わせいただいたお問い合わせには、2〜3営業日以内に担当者よりご返信いたします。
些細なことでも、まずはお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら

NEWS

お知らせ