長期脱炭素電源オークション(2025年度応札)約定結果 ― 蓄電池は応札125.1万kW・落札率46%、次回検討へ
資源エネルギー庁と電力広域的運営推進機関(OCCTO)の共同事務局は、第73回容量市場の在り方等に関する検討会の資料3で、長期脱炭素電源オークション(応札年度:2025年度・第3回)の約定結果を報告した。脱炭素電源は約定総容量426.1万kW・約定総額4,748億円/年(過去3年平均)。蓄電池は応札125.1万kW・落札率46%だった。
このページの要点
- 脱炭素電源は約定総容量426.1万kW・約定総額4,748億円/年(過去3年平均・募集量500万kW)、LNG専焼火力は303.8万kW・1,444億円/年。全国応札1,085.6万kWのうち落札729.9万kW(67%)だった。
- 蓄電池は応札容量125.1万kW・落札率46%。落札の内訳枠は、リチウムイオン蓄電池・揚水(新設除く)81.9万kW、リチウムイオン以外の蓄電池・揚水(新設)・LDES 88.6万kW。セル製造国・地域1国当たり30%未満の経済安全保障要件が課される。
- 次回オークションに向けた検討は制度検討作業部会および電力安定供給WGで進行中で、第3回結果を踏まえ引き続き検討を進める方針が示された。
出典:第73回容量市場の在り方等に関する検討会 資料3(約定結果公表:2026年5月13日)。
脱炭素電源に20年固定収入を約束する国の大型入札の「第3回コンペ結果発表+次回の出題方針」である。蓄電池がどれだけ落札できたか、次回はルールがどう変わるかを示す資料といえる。
目次
- 第3回オークションの約定結果(総容量・総額・控除後)
- 蓄電池の落札状況と電源種別募集上限・セル製造国30%制限
- 次回オークションに向けた制度検討の方向性
- よくある質問(Q&A)
- 編集部の見立て(独自分析)
- 出典(一次情報)
第3回長期脱炭素電源オークションの約定結果 ― 総容量・総額
2026年1月に応札が行われ、約定結果は2026年5月13日に公表された。
図1:第3回長期脱炭素電源オークションの約定結果
出典:第73回容量市場の在り方等に関する検討会 資料3(約定結果公表:2026年5月13日)。
長期脱炭素電源オークション(応札年度:2025年度・第3回)の約定結果は、脱炭素電源(募集量500万kW)が約定総容量426.1万kW・約定総額4,748億円/年(過去3年平均)、他市場収益推定還付後の控除後約定総額は2,098〜3,503億円/年である。LNG専焼火力(募集量約292.9万kW)は303.8万kW・1,444億円/年で、控除後は△754〜870億円/年(還付額が容量確保契約金額を超過する場合は△表記)となった。
脱炭素電源の約定内訳は、リチウムイオン蓄電池・揚水(新設除く)81.9万kW、リチウムイオン以外の蓄電池・揚水(新設)・LDES 88.6万kW、脱炭素火力51.7万kW、既設原子力の安全対策投資55.8万kW、その他脱炭素電源148.2万kWである。約定はマルチプライス方式で、電源種を問わない同一オークションで応札価格の低い順に約定する。
蓄電池の落札状況 ― 電源種別募集上限とセル製造国30%制限
蓄電池は応札125.1万kWに対し落札率46%。電源種別の募集上限が競争を規定した。
図2:蓄電池の落札率46%と電源種別募集上限・セル製造国30%制限
出典:第73回容量市場の在り方等に関する検討会 資料3。
発電方式別の応札・落札状況を見ると、蓄電池は応札容量125.1万kW・落札率46%、揚水は45.3万kW・55%だった。一方、アンモニア混焼改修26.4万kW・水素専焼25.3万kW・バイオマス専焼10.1万kW・原子力(新設・リプレース)138.1万kW・原子力(安全対策)55.8万kWはいずれも落札率100%、LNG専焼は303.8万kW・64%である。落札の約97%を新設・リプレース等が占めた。
蓄電池・揚水・LDES等には電源種ごとの募集上限が設定されており、蓄電池の落札はリチウムイオン81.9万kW枠と非リチウム・揚水(新設)・LDES 88.6万kW枠の範囲で決まった。加えて、蓄電池にはリチウムイオン/非リチウムそれぞれで日本を除くセル製造国・地域1国当たりの落札容量が総落札容量の30%未満に制限される経済安全保障要件が課される。
蓄電池はリチウムイオン/リチウムイオン以外のそれぞれについて、日本を除くセル製造国・地域1国当たりの落札容量が総落札容量の30%未満となるよう制限される。
— 第73回容量市場の在り方等に関する検討会 資料3(要旨)次回オークションに向けた制度検討の方向性
制度検討作業部会と電力安定供給WGで、次回に向けた検討が進行している。
資料3は、現在、制度検討作業部会および電力安定供給ワーキンググループで次回オークションに向けた検討が進行中であり、第3回結果を踏まえ引き続き検討を進める方針を示した。長期脱炭素電源オークションは、系統用蓄電池が20年固定の容量収入を得る最有力の投資回収手段であり、電源種別募集上限・セル製造国要件・上限価格等のルール動向は次回応札の前提となる。
なお、蓄電池・揚水・LDESの他市場収益還付額は、可変費・設備利用率が未公表のため試算に含まれておらず、控除後約定総額には反映されていない。収益評価にあたっては留意が必要である。
実務チェックリスト
- 蓄電池事業者は、第3回の落札容量・落札率・セル製造国30%制限を分析し、次回応札の電源計画・セル調達戦略に反映する。
- 制度検討作業部会・電力安定供給WGの次回オークション制度見直し議論を継続フォローする。
- リチウム/非リチウム蓄電池・揚水・LDESの電源種別募集上限の動向を把握し、応札区分を見極める。
読者別の緊急度
蓄電池の容量収入確保状況を示す最新結果として今週中に把握すべき。
電源種別枠・セル制約を今週中に確認しておきたい。
応札を狙う事業者は次回応札の前提となる結果であり、直ちに押さえるべき。
よくある質問(Q&A)
第3回長期脱炭素電源オークションの約定結果は?脱炭素電源(募集量500万kW)が約定総容量426.1万kW・約定総額4,748億円/年(過去3年平均)、LNG専焼火力(募集量約292.9万kW)が303.8万kW・1,444億円/年です。全国応札容量1,085.6万kWのうち落札は729.9万kW(67%)でした。
蓄電池はどれだけ落札しましたか?蓄電池の応札容量は125.1万kWで落札率は46%です。約定内訳の枠としては、リチウムイオン蓄電池・揚水(新設除く)81.9万kW、リチウムイオン以外の蓄電池・揚水(新設)・LDES 88.6万kWが落札しています。
セル製造国30%制限とは何ですか?蓄電池はリチウムイオン/リチウムイオン以外のそれぞれについて、日本を除くセル製造国・地域1国当たりの落札容量が総落札容量の30%未満に制限される経済安全保障要件です。セル調達計画に直接影響します。
約定方式はどのようなものですか?マルチプライス方式で、電源種を問わない同一オークションで応札価格の低い順に約定します。ただし蓄電池・揚水・LDES等には電源種ごとの募集上限が設定されます。
控除後約定総額とは何ですか?他市場収益の推定還付額を差し引いた金額です。脱炭素電源は2,098〜3,503億円/年、LNG専焼は△754〜870億円/年(還付額が容量確保契約金額を超過する場合は△表記)です。なお蓄電池・揚水・LDESの還付額は可変費・設備利用率が未公表のため試算に含まれていません。
次回オークションはどうなりますか?制度検討作業部会および電力安定供給WGで次回オークションに向けた検討が進行中で、第3回結果を踏まえ引き続き検討を進める方針です。具体的なルールは一次資料参照。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 蓄電池の落札率46%は、応札125.1万kWに対し落札が枠(リチウム81.9万kW+非リチウム・揚水(新設)・LDES 88.6万kW)の募集上限で絞られたことを示し、競争が激化している。
- セル製造国・地域1国当たり総落札容量30%未満という経済安全保障要件は、特定国製セルへの依存を抑制する設計で、蓄電池の調達計画に直接影響する。
- 蓄電池・揚水・LDESの他市場収益還付額は可変費・設備利用率が未公表のため試算に含まれておらず、控除後約定総額を収益比較に使う際は留意が必要である。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。
この記事のまとめ
第73回容量市場の在り方等に関する検討会 資料3は、長期脱炭素電源オークション(2025年度応札・第3回)の約定結果を報告した。脱炭素電源は426.1万kW・4,748億円/年、LNG専焼は303.8万kW・1,444億円/年で、蓄電池は応札125.1万kW・落札率46%。リチウムイオン81.9万kW・非リチウム等88.6万kWの電源種別枠とセル製造国30%未満制限が競争環境を規定した。次回オークションのルールは制度検討作業部会・電力安定供給WGで検討が続く。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 資源エネルギー庁・電力広域的運営推進機関 共同事務局 第73回容量市場の在り方等に関する検討会 資料3「長期脱炭素電源オークション約定結果(応札年度:2025年度)および次回オークションに向けて」
https://www.occto.or.jp/ - 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/01_市場制度(OCCTO・EPRX・JEPX)/(2026-05-02 第73回検討会 資料3)
本記事は2026年5月2日(第73回検討会 資料3)公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。制度内容は今後の審議等で変更される可能性があります。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/market/proffessional/4614403001001/
本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。