NITE「公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン」第1版 ― 耐地震・耐類焼・耐水没の要件と試験手法
製品評価技術基盤機構(NITE)は2026年5月14日、「公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン」第1版を公表した。2025年12月23日の暫定版を改訂した確定版で、本文・補足説明・別紙(試験手法及び判定基準)・仕様書作成例(使い方ガイド)・解説を併せて公表。重要インフラ15分野を対象に、耐地震波衝撃・耐類焼性・耐水没性等の安全要件をClass1〜4で段階整理した。
このページの要点
- 対象は情報通信・金融・航空・空港・鉄道・電力・ガス・政府/行政サービス・医療・水道・物流・化学・クレジット・石油・港湾の重要インフラ15分野で使用される全ての蓄電池システム(蓄電池(BMU・遮断器含む)・PCS等を含む。リチウムイオンに限定しない。屋内外配線・設置建屋は対象外)。
- 要件は(1)設置時と保守管理時(サイバー攻撃を想定した保守管理を含む)、(2)非常時・災害時等(耐地震波衝撃・耐類焼性・耐雨水/塩水没性・耐低温/高温性等)、(3)継続使用可能性に区分し、Class1〜4・別添(1〜21等)で段階整理。別紙に試験手法・判定基準を明記した。
- 経産省の蓄電池産業戦略推進会議がNITEに令和8年目処での作成を求めたもので、地方公共団体等の調達仕様書・補助金交付要綱への活用により不安全製品の排除と国土強靱化を狙う。
出典:NITE『公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン』第1版(2026年5月14日公表)。
重要インフラ(病院・空港・自治体庁舎等)に置く蓄電池に対する「非常時・災害時の耐久試験の合格証チェックリスト」である。地震・火災・水没に耐えて使い続けられるかを要件化し、調達仕様書や補助金の足切り基準に使えるようにした公式の物差しといえる。
目次
- ガイドライン第1版の全体像と対象範囲(重要インフラ15分野)
- 安全要件とClass1〜4の段階整理
- 試験手法・判定基準と調達仕様書・補助金要綱への活用
- よくある質問(Q&A)
- 編集部の見立て(独自分析)
- 出典(一次情報)
NITE安全ガイドライン第1版の全体像と対象範囲
暫定版(2025年12月)を改訂した確定版。本文・別紙・使い方ガイドの一式が揃った。
本ガイドラインは、2025年12月23日公表の暫定版を改訂した第1版(確定版)で、本文のほか、補足説明、別紙(試験手法及び判定基準に関する技術資料)、別記(仕様書作成例=使い方ガイド)、解説が併せて公表された。政府・自治体の重要な建物、空港、駅、病院、避難場所等への設置を想定する。
対象は重要インフラ15分野(情報通信・金融・航空・空港・鉄道・電力・ガス・政府/行政サービス・医療・水道・物流・化学・クレジット・石油・港湾)で使用される全ての蓄電池システムである。リチウムイオン蓄電池に限定せず、蓄電池(BMU・遮断器含む)・PCS等を含み電力システム等と電力授受できるものを対象とし、屋内外配線・設置建屋は対象外である。防災の国際規格ISO37179:2024を参考とし、要件を満たしても全ての発火・破裂を保証するものではなくリスク低減にとどまる旨も明記されている。
安全要件とClass1〜4の段階整理 ― 耐地震波衝撃・耐類焼性・耐水没性
設置場所と想定災害に応じて、ユーザーが要件を絞り込む設計である。
図1:安全要件の3区分とClass1〜4の段階整理
出典:NITE『公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン』第1版(2026年5月14日公表)。
要件は3区分で構成される。
(1) 設置時と保守管理時
設置時/通常時の保守管理/異常検知・記録機能/サイバー攻撃を想定した保守管理。
(2) 非常時・災害時等
耐地震波衝撃・耐走行振動性・耐交通振動性・耐類焼性・耐火性・耐雨水水没性・耐塩水没性・耐雨水性・耐塩水性・耐低温性・耐高温性・耐微粒子性・耐腐食性・耐圧性・耐転倒衝撃性・耐衝突性・耐落下性。
(3) 継続使用可能性
非常時・災害時等の後も継続して使用できるかの要件。
段階整理
要件はClass1〜4に分け、別添1〜21等で対応。設置環境に応じた選択適用が前提となる。
要件はClass1〜4と別添で段階整理され、設置場所と想定災害に応じて要件を絞り込んで適用する。要件を満たしても全ての発火・破裂を保証するものではなく、リスク低減にとどまる。
— NITE安全ガイドライン第1版(要旨)試験手法・判定基準と、調達仕様書・補助金要綱への活用方法
災害事象の再現・模擬を基本方針とした試験手法が、別紙に明示された。
図2:別紙の試験手法・判定基準と調達仕様書への活用
出典:NITE『公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン』第1版 別紙(試験手法及び判定基準)。
別紙(技術資料)には各Class/Gradeごとの試験手法・判定基準が記載される。たとえば耐地震波衝撃は平成28年国交省告示第794号の応答スペクトルから作成した地震波形を用いる振動試験、耐類焼性は起爆セルを加熱し熱暴走を模擬する試験である。試験結果の信頼性確保には、ISO/IEC17025適合試験所・ISO/IEC17065適合認証機関・公的機関の受入れ等が推奨されている。耐走行振動性・耐火性等、現時点で試験手法が未確定の要件は第2版以降で追加予定である。
本ガイドラインは、地方公共団体等の調達仕様書・補助金交付要綱への活用を想定しており、不安全製品の排除と国土強靱化を狙う。系統用蓄電池を含むBESSのメーカー・システムインテグレータにとっては、製品仕様と試験対応コストに直接波及する。
実務チェックリスト
- メーカー・システムインテグレータは、本文・別紙の要件とClass1〜4の試験手法・判定基準に対する自社製品のギャップを整理し、ISO/IEC17025/17065ベースの試験・認証対応を計画する。
- 自治体・重要インフラ事業者の調達担当は、使い方ガイドのチェックシートで設置場所・想定災害に応じた要件を絞り込み、調達仕様書・補助金交付要綱に反映する。
- 第三者認証サービスの開始動向と、第2版以降の未確定要件(耐走行振動性・耐火性等)の進捗を継続フォローする。
読者別の緊急度
安全な蓄電池選定の新基準として方向性を今月中に把握しておきたい。
製品仕様と試験対応に直結するため、要件・試験手法を直ちに精読すべき。
調達・補助金の足切り基準化が進むため、直ちに押さえるべき。
よくある質問(Q&A)
ガイドラインの対象は何ですか?重要インフラ15分野(情報通信・金融・航空・空港・鉄道・電力・ガス・政府/行政サービス・医療・水道・物流・化学・クレジット・石油・港湾)で使用される全ての蓄電池システムです。蓄電池(BMU・遮断器含む)・PCS等を含み、リチウムイオンに限定しません。屋内外配線・設置建屋は対象外です。
どのような安全要件が定められていますか?(1)設置時と保守管理時(異常検知・記録機能、サイバー攻撃を想定した保守管理を含む)、(2)非常時・災害時等(耐地震波衝撃・耐類焼性・耐火性・耐雨水/塩水没性・耐低温/高温性・耐転倒衝撃性等)、(3)継続使用可能性の3区分です。
Class1〜4とは何ですか?要件の段階整理で、設置場所と想定災害に応じてユーザーが要件を絞り込んで適用する設計です。別添1〜21等で各要件に対応します。調達仕様書では全要件一律ではなく設置環境に応じた選択適用が前提です。
試験手法はどのようなものですか?別紙(技術資料)に各Class/Gradeの試験手法・判定基準が記載されています。耐地震波衝撃は平成28年国交省告示第794号の応答スペクトルから作成した地震波形による振動試験、耐類焼性は起爆セルを加熱して熱暴走を模擬する試験です。信頼性確保にはISO/IEC17025適合試験所等が推奨されます。
誰がどう活用するのですか?地方公共団体等の調達仕様書や補助金交付要綱への活用が想定されています。経産省の蓄電池産業戦略推進会議がNITEに令和8年目処での作成を求めたもので、不安全製品の排除と国土強靱化が狙いです。
今後の改訂予定は?耐走行振動性・耐火性等、現時点で試験手法が未確定の要件は第2版以降で追加予定です。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- Class1〜4の段階設計は設置環境に応じた選択適用を前提としており、調達仕様書では要件の絞り込みが実務の起点になる。
- ISO/IEC17025試験所・ISO/IEC17065認証機関の推奨は、本ガイドライン対応の第三者認証サービスが立ち上がれば事実上の認証要件化が進む可能性を示す。
- 耐地震波衝撃(告示794号由来の地震波形)・耐類焼性(起爆セルによる熱暴走模擬)など日本の災害環境を前提とした独自基準であり、海外製を含む不安全製品の排除に働く。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。
この記事のまとめ
NITEの蓄電池システム安全ガイドライン第1版は、重要インフラ15分野で使用される全ての蓄電池システムを対象に、設置時・保守管理時、非常時・災害時等(耐地震波衝撃・耐類焼性・耐水没性等)、継続使用可能性の要件をClass1〜4で段階整理し、別紙に試験手法・判定基準を明記した確定版である。調達仕様書・補助金交付要綱への活用が想定され、メーカーの試験対応と自治体の仕様書作成の双方に直結する。未確定要件は第2版以降で追加予定であり、第三者認証の動向とあわせ継続フォローが必要である。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)『公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン』第1版(本文・補足説明・別紙・別記・解説、2026年5月14日公表)
https://www.nite.go.jp/gcet/nlab/infra-guideline.html - 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/03_安全・消防・規格(消防庁・IEC・JIS)/NITE/(2026-05-14 安全ガイドライン第1版一式)
本記事は2026年5月14日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。制度内容は今後の審議等で変更される可能性があります。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/regulations/proffessional/4615603203001/
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