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市場・価格上級

容量市場の外側で休止火力を維持する「予備電源」― 募集量は東100万・西68万kW、目安単価14,860円/kW

電力広域的運営推進機関(OCCTO)は2026年6月17日、「予備電源募集に係る基本要件(2027年度・2028年度制度適用開始向け)」を公表した。募集量は50Hz東エリア100万kW・60Hz西エリア68万kW、応札単価の目安は直近3回の容量市場メインオークション上限価格の平均14,860円/kWで、2026年8月頃に募集要綱公表・応札が始まる。対象は送電端10万kW以上の安定電源(火力)に限定され、蓄電池は対象外である。

このページの要点

  1. OCCTOが予備電源(容量市場の外数として休止火力を維持し、供給力不足時に立ち上げる「準供給力」)の募集に係る基本要件を公表した(2027年度・2028年度制度適用開始向け)。
  2. 募集量は50Hz東エリア(北海道・東北・東京)100万kW、60Hz西エリア(中部・北陸・関西・中国・四国・九州)68万kW。対象は送電端10万kW以上で応札可能な安定電源(火力)に限定され、最低入札容量は10万kW。
  3. 調達は事業者提案に基づく総合評価方式(マルチプライス)で、応札単価の目安は直近過去3回(第4〜6回)の容量市場メインオークション上限価格(指標価格の1.5倍)平均の14,860円/kW2026年8月頃に募集要綱・約款公表と応札、冬頃に落札電源決定。

出典:OCCTO「予備電源募集に係る基本要件(2027年度・2028年度制度適用開始向け)」(2026年6月17日公表)。

要旨 ― ひと言でいえば

容量市場という平時の供給力確保とは別に、大規模災害や想定外の電源脱落に備えて休止中の火力発電所を「すぐ動かせる状態」で温存し、その維持費を補填する制度である。蓄電池は対象外(火力限定)だが、火力に支払われる維持費の水準14,860円/kWは容量価値の物差しとなる。

目次

  1. 予備電源制度とは ― 容量市場の外数で休止火力を維持する「準供給力」
  2. 募集量(東100万・西68万kW)・対象電源・応札単価14,860円/kWの要点
  3. 蓄電池・容量市場への含意 ― 火力延命枠組みと供給力の棲み分け
  4. 実務対応 ― 容量価値のベンチマークとして押さえる
  5. よくある質問(Q&A)
  6. 編集部の見立て(独自分析)
  7. 出典(一次情報)

予備電源制度とは ― 容量市場の外数で休止火力を維持する「準供給力」

2022年3月の東京エリア需給ひっ迫を契機に設けられた、容量市場が想定しない「外れ値」事象への保険である。

予備電源制度は、大規模災害・大規模電源脱落・想定外の市場退出など容量市場が想定しない「外れ値」事象や、必要供給力と容量市場調達量の差分への保険として、一定期間内に稼働可能な休止電源を維持する枠組みである。予備電源それ自体は供給力とならないが、供給力不足時に開催されるオークション・公募で落札・稼働して供給力の内数となる「準供給力」と位置付けられる

一次資料の記載(要旨)

予備電源は立ち上げ期間に応じ、落札から実需給まで3か月程度の公募等で立ち上げる(1)短期立ち上げ電源と、容量市場追加オークションのうち調達オークションで立ち上げる(2)長期立ち上げ電源に分かれる。募集区域は離島を除く9エリアを50Hz東エリアと60Hz西エリアに分ける。

— OCCTO「予備電源募集に係る基本要件(2027年度・2028年度制度適用開始向け)」

募集量(東100万・西68万kW)・対象電源・応札単価14,860円/kWの要点

対象は火力の大規模休止電源に限定。目安単価は容量市場の上限価格から機械的に導かれた。

図1:予備電源募集の基本要件(募集量・対象電源・応札単価の目安)

予備電源の募集量が東100万kW・西68万kW、対象は送電端10万kW以上の火力、応札単価の目安14,860円/kWを示す図

出典:OCCTO「予備電源募集に係る基本要件(2027年度・2028年度制度適用開始向け)」(2026年6月17日公表)。

今回の募集量は、50Hz東エリア(北海道・東北・東京)100万kW、60Hz西エリア(中部・北陸・関西・中国・四国・九州)68万kWで、短期立ち上げ・長期立ち上げを区別せず、募集量をまたぐ電源まで落札される。

基本要件の骨子は次のとおりである。

項目内容
対象電源容量市場メインオークションで不落札・未応札・電源等差し替え元となった発電設備等。送電端容量10万kW以上(最低入札容量10万kW)かつ安定電源に区分される火力発電設備に限定(蓄電池は対象外)
調達方式事業者提案に基づく総合評価方式。目安価格以下で燃料関係費用を除した応札単価が低い電源を高評価。落札価格の決定はマルチプライス方式
応札単価の目安直近過去3回分(第4〜6回)の容量市場メインオークション上限価格(指標価格の1.5倍)の平均値14,860円/kW(予備電源制度ガイドラインに基づく)
制度適用期間2027年4月〜2029年3月の間に始期を置き、連続12〜36か月の月単位で設定
補填金の対象費用電源入札等補填金として、修繕費・経年改修費・固定資産税・事業税(収入割)・人件費・発電側課金・法人税・休止維持費・燃料関係費用・事業報酬等。支払いは契約電源単位・年度単位で集約し翌年度一括

蓄電池・容量市場への含意 ― 火力延命枠組みと供給力の棲み分け

蓄電池は直接の応札対象外だが、本制度は蓄電池の事業環境に二重の意味を持つ。

図2:予備電源が蓄電池・容量市場に持つ二重の含意

予備電源が容量市場の調達量設計と容量価値14,860円/kWの物差しの二面で蓄電池事業に効くことを示す図

出典:OCCTO「予備電源募集に係る基本要件」(2026年6月17日公表)に基づく編集部整理。

第一に、容量市場の外数で確保される予備電源は、必要供給力と容量市場調達量の差分を埋める「保険」であり、その存在は容量市場の調達量(=蓄電池の容量収入の源泉)の設計に影響する。第二に、応札単価の目安14,860円/kW(直近メインオークション上限価格の平均)は、火力に支払われる容量価値の市場水準を可視化し、蓄電池が容量市場・長期脱炭素電源オークションで競合・代替する際のコスト比較の物差しとなる。

一方で、本制度は高経年火力の延命を前提とする枠組みであるため、蓄電池による火力代替・脱炭素化の長期的方向性とは緊張関係にある。現時点では、予備電源=休止火力の維持枠組み、蓄電池=容量市場・需給調整市場側で供給力・調整力を担う、という棲み分けになっている。

実務対応 ― 容量価値のベンチマークとして押さえる

応札はできなくても、14,860円/kWという水準と容量市場調達量への波及は把握しておくべき情報である。

  • 系統用蓄電池事業者・アグリゲーターは、14,860円/kWという火力の容量維持コスト水準を、自社の容量市場・長期脱炭素電源オークション応札価格の比較ベンチマークとして把握する。
  • 予備電源の募集量(東100万・西68万kW)が容量市場調達量から控除される設計を踏まえ、容量市場の調達量・約定価格動向への波及を継続フォローする。
  • 2026年8月頃の募集要綱・約款公表を確認し、予備電源制度の精緻化が容量市場・需給調整市場の供給力確保策に与える影響を注視する。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)2/5

蓄電池は直接対象外のため、容量市場環境の背景として把握する程度でよい。

中級(建設・メーカー・設計)2/5

直接の影響は薄く、供給力確保策の動向として確認する程度。

上級(事業者・アグリゲーター)4/5

容量市場調達量・容量価値水準への波及を今月中に押さえるべき。

よくある質問(Q&A)

予備電源制度とは何ですか?

2022年3月の東京エリア需給ひっ迫を契機に設けられた、容量市場の外数として一定期間内に稼働可能な休止電源を維持する枠組みです。予備電源それ自体は供給力とならず、供給力不足時に開催されるオークション・公募で落札・稼働して供給力の内数となる「準供給力」と位置付けられます。

今回の募集量はどのくらいですか?

50Hz東エリア(北海道・東北・東京)が100万kW、60Hz西エリア(中部・北陸・関西・中国・四国・九州)が68万kWです。短期立ち上げ・長期立ち上げを区別せず募集されます。

蓄電池は予備電源に応札できますか?

できません。対象電源は、容量市場メインオークションで不落札・未応札・電源等差し替え元となった発電設備等のうち、送電端容量10万kW以上(最低入札容量10万kW)かつ安定電源に区分される火力発電設備に限定されています。

応札単価の目安はいくらですか?

予備電源制度ガイドラインに基づき、直近過去3回分(第4〜6回)の容量市場メインオークション上限価格(指標価格の1.5倍)の平均値である14,860円/kWです。調達は事業者提案に基づく総合評価方式で、落札価格はマルチプライス方式で決定されます。

募集スケジュールはどうなっていますか?

2026年度の8月頃に募集要綱・約款の公表と応札、秋頃に評価・監視、冬頃に予備電源維持運用者の決定(落札電源公表)・契約締結が予定されています。制度適用期間は2027年4月〜2029年3月の間に始期を置き、連続12〜36か月で設定されます。

蓄電池事業への影響はありますか?

直接の応札対象外ですが、二重の意味で影響します。第一に、予備電源は必要供給力と容量市場調達量の差分を埋める保険であり、容量市場の調達量(蓄電池の容量収入の源泉)の設計に影響します。第二に、応札単価の目安14,860円/kWは火力に支払われる容量価値の市場水準を可視化し、蓄電池が容量市場・長期脱炭素電源オークションで競合・代替する際のコスト比較の物差しになります。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 予備電源は「準供給力」として容量市場調達量から一定量を控除する根拠となるため、容量市場で容量価値を得る蓄電池の調達量・約定環境に間接的に影響すると読める。
  • 応札単価の目安14,860円/kW=直近過去3回の容量市場メインオークション上限価格(指標価格×1.5倍)の平均は、火力の容量維持コストの相場感を示し、蓄電池の容量市場応札水準との比較材料になる。
  • 対象が送電端10万kW以上の安定電源(火力)に限定され蓄電池が除外されている点は、現時点で予備電源=高経年火力の延命枠組みであることを示し、蓄電池はむしろ容量市場・需給調整市場側で供給力・調整力を担う棲み分けとなっている。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。

この記事のまとめ

OCCTOが公表した「予備電源募集に係る基本要件(2027年度・2028年度制度適用開始向け)」では、容量市場の外数として休止火力を維持する予備電源の募集量が東エリア100万kW・西エリア68万kWと定められ、応札単価の目安は直近3回の容量市場メインオークション上限価格の平均14,860円/kW、2026年8月頃に募集要綱公表・応札が始まる。対象は送電端10万kW以上の安定電源(火力)に限定され蓄電池は応札できないが、火力に支払われる容量維持コストの水準と容量市場調達量への波及は、蓄電池の容量価値を扱う事業者にとって重要なベンチマークとなる。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。

監修

BESS NEWS編集長

系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。

出典(一次情報)

  1. 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「予備電源募集に係る基本要件(2027年度・2028年度制度適用開始向け)」(2026年6月17日公表)
    https://www.occto.or.jp/
  2. 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/01_市場制度(OCCTO・EPRX・JEPX)/OCCTO/20260617_OCCTO_予備電源募集基本要件2027_2028年度.pdf

本記事は2026年6月17日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。募集要綱・約款は2026年8月頃の公表が予定されており、詳細は今後確定します。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/market/proffessional/4619003001001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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