中部電力PGが2030年度の系統混雑見通しを公表 ― 変電所別の混雑・出力制御を移行・現行2シナリオで開示
中部電力パワーグリッドは『2030年度における系統混雑の中長期見通し』を移行シナリオ・現行シナリオの2本立てで公表した(2026年6月22日)。変電所別に混雑電力量(MWh)・混雑率(%)・混雑時間(h)と電源種別ごとの最大出力制御量を提示しており、ノンファーム型接続・系統用蓄電池の立地評価に直結する一次情報である。
このページの要点
- 中部電力PGが2030年度に系統混雑が見通される変電所の一覧を、移行シナリオ・現行シナリオの2本立てで公表した(信濃・西部等の500kV/275kV変電所を含む)。
- 変電所別に最大混雑(MW)・混雑電力量(MWh)・混雑率(%)・混雑時間(h)と、電源種別ごとの最大出力制御量(MW)・出力制御量(MWh)・出力制御率(%)・出力制御時間(h)を提示。
- ノンファーム型接続の出力制御リスク評価と、混雑回避・混雑緩和を狙う系統用蓄電池の立地選定に直結する一次情報。空き容量・上位系統増強要否と併せた多面評価が必要。
出典:中部電力パワーグリッド『2030年度における系統混雑の中長期見通し(移行シナリオ・現行シナリオ)』(2026年6月22日公表)。
中部電力の送電網で2030年度にどの変電所が混雑するかを示す、いわば渋滞予測マップにあたる公表資料である。系統用蓄電池をどこに置けば出力制御を受けにくいか、逆にどこなら混雑緩和という運用機会があるかを読み解く基礎データになる。
目次
公表内容と2シナリオの違い
同じ2030年度の混雑見通しが、前提の異なる2つのシナリオで並べて示された。
図1:2本立てのシナリオ構成 ― 移行シナリオと現行シナリオ
出典:中部電力パワーグリッド公表資料(2026年6月22日)。両シナリオの前提の詳細は公表資料(移行/現行各PDF)参照。
中部電力パワーグリッドが公表した『2030年度における系統混雑の中長期見通し』は、2030年度において系統混雑が見通される変電所の一覧を示す資料である。特徴は、「移行シナリオ」「現行シナリオ」の2本立てで同じ将来断面を示している点にある。
2つのシナリオを比較することで、電源構成・需要想定の前提差が将来の系統混雑にどう効くかを確認できる。対象には信濃・西部等の500kV/275kV変電所が含まれる。
変電所別の混雑・出力制御見通しの読み方
混雑の指標4つと、電源種別ごとの出力制御の指標4つがセットで示される。
図2:公表データの指標構成(変電所別の混雑/電源種別の出力制御)
出典:中部電力パワーグリッド『2030年度における系統混雑の中長期見通し』(2026年6月22日)。個別変電所の具体的な数値は一次資料参照。
各シナリオでは、変電所別に混雑に関する指標と電源種別ごとの出力制御に関する指標が示されている。構成は次のとおり。
「将来の系統混雑見通し」は、ノンファーム型接続電源の出力制御が、どの地点で・どの程度発生しうるかを予測する基礎データである。混雑が大きい変電所の配下では、ノンファーム接続電源(系統用蓄電池を含む)が出力制御を受けやすい。個別変電所の数値は本記事では扱わないため、候補地点の評価には公表資料(移行/現行各PDF)の原データを直接確認してほしい。
系統用蓄電池の立地・ノンファームへの示唆
リスク回避と運用機会の両面から、立地評価に使える。
系統用蓄電池の観点では、この見通しは2つの使い方ができる。第一に、混雑地点を避けて出力制御リスクを抑えるという立地リスク評価。第二に、混雑地点での充電(混雑緩和)・混雑解消時の放電という運用機会の評価である。混雑緩和に資する地点での蓄電池配置は、系統側の評価でも有利になりうる。
ただし立地は混雑見通しだけでは決められない。空き容量マッピングや上位系統増強の要否と併せた多面的な評価が必要であり、ノンファーム接続前提の収益見通しには出力制御リスクを織り込むべきである。
- 移行・現行2シナリオの変電所別データで、候補地点の混雑率・出力制御見通しを確認する。
- 空き容量マッピング・上位系統増強の要否と併せて、候補地点を多面的に立地評価する。
- ノンファーム接続前提の収益見通しに、出力制御リスクを織り込む。
- 混雑が大きい変電所配下は出力制御リスクが高い一方、混雑緩和に資する充放電運用の機会評価も行う。
読者別の緊急度
専門性が高く間接的。中部エリアで土地活用を検討する場合の参考情報。
立地・接続設計の前提データとなるため、今週中に候補地点を照合したい。
出力制御リスクと運用機会の評価材料として、今週中に確認したい。
よくある質問(Q&A)
中部電力PGは何を公表しましたか?2030年度において系統混雑が見通される変電所の一覧を、「移行シナリオ」「現行シナリオ」の2本立てで公表しました(『2030年度における系統混雑の中長期見通し』)。
移行シナリオと現行シナリオの違いは何ですか?電源構成・需要想定等の前提が異なる2つのシナリオで、前提の差が将来の系統混雑にどう影響するかを比較できます。
変電所ごとにどのような指標が示されていますか?変電所別に最大混雑(MW)・混雑電力量(MWh)・混雑率(%)・混雑時間(時間)が示され、あわせて電源種別(①②③計/④/⑤_PV/⑤_WF/⑥)ごとの最大出力制御量(MW)・出力制御量(MWh)・出力制御率(%)・出力制御時間(時間)が示されています。
どの変電所が対象に含まれますか?信濃・西部等の500kV/275kV変電所が対象に含まれます。詳細な対象変電所・数値は公表資料(移行シナリオ・現行シナリオの各PDF)で確認してください。
系統用蓄電池の事業にどう関係しますか?ノンファーム型接続を前提とする電源(系統用蓄電池を含む)が、将来どの地点でどの程度の出力制御を受けうるかを予測する基礎データです。混雑が大きい変電所の配下は出力制御を受けやすい一方、混雑地点での充電(混雑緩和)・混雑解消時の放電という運用機会の評価にも使えます。
立地評価では何と併せて確認すべきですか?空き容量マッピングや上位系統増強の要否と併せて、多面的に立地評価することが重要です。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 変電所粒度で将来の混雑・出力制御見通しが開示されたことは、ノンファーム接続の出力制御リスクを「地点別」に定量評価できるようになったという点で、中部エリアのBESS開発の精度を一段引き上げる材料と読める。
- 移行・現行の2シナリオ並記は、電源構成・需要想定の前提がぶれた場合の感度分析をそのまま提供するものであり、収益シミュレーションの上振れ・下振れ両ケースの設定に使える。
- 混雑が大きい地点は回避対象である一方、混雑地点での充電・解消時放電という蓄電池ならではの運用機会の裏返しでもあり、単純な「混雑=NG」ではない立地判断が問われる。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。
この記事のまとめ
中部電力パワーグリッドが『2030年度における系統混雑の中長期見通し』を移行シナリオ・現行シナリオの2本立てで公表した(2026年6月22日)。変電所別(信濃・西部等の500kV/275kV変電所を含む)に最大混雑・混雑電力量・混雑率・混雑時間と、電源種別ごとの最大出力制御量・出力制御量・出力制御率・出力制御時間が示され、ノンファーム型接続電源(系統用蓄電池を含む)の出力制御リスクを地点別に予測する基礎データとなる。中部エリアでBESSの立地・接続を検討する事業者は、2シナリオの変電所別データで候補地点を確認し、空き容量・上位系統増強要否と併せて多面的に評価すべきである。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 中部電力パワーグリッド『2030年度における系統混雑の中長期見通し(移行シナリオ・現行シナリオ)』(2026年6月22日公表・系統情報)
https://powergrid.chuden.co.jp/ - 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/04_系統・接続(送配電・系統増強)/中部電力PG/20260622_中部PG_2030年度混雑系統中長期見通し移行シナリオ.pdf
- 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/04_系統・接続(送配電・系統増強)/中部電力PG/20260622_中部PG_2030年度混雑系統中長期見通し現行シナリオ.pdf
本記事は2026年6月22日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。個別変電所の具体的な数値は一次資料で確認してください。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/standard/4619502102001/
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