託送約款の変更認可申請が10社共通で始動 ― 非FIT・非FIP電源は連系承諾から2か月以内の用地使用権原提出が要件に
九州電力送配電と沖縄電力は2026年6月24日、託送供給等約款の変更認可申請を経済産業大臣に行った(2026年10月1日実施予定)。次世代電力系統ワーキンググループの整理を踏まえた一般送配電事業者10社共通の改定で、非FIT・非FIP電源は発電量調整供給契約の申込時に、連系承諾から2か月以内の事業用地使用権原の提出が要件となる。未提出は連系予約取消。系統用蓄電池の系統接続実務に直結する。
このページの要点
- 九州電力送配電・沖縄電力が託送供給等約款の変更認可申請を実施した(2026年6月24日申請・2026年10月1日実施予定・一般送配電事業者10社共通の内容)。
- 非FIT・非FIP電源は発電量調整供給契約の申込時に、連系承諾から2か月以内に事業用地の使用権原を証する書類の提出が要件化される。未提出は連系予約取消。特別高圧の需要地点も供給承諾から工事費負担金入金まで3か月以内などの手続期限が設定される。
- 次世代電力系統ワーキンググループ(第6・第10回等)の整理を反映したもので、系統枠の空押さえ抑制により、系統用蓄電池の系統接続・用地確保の実務が変わる。
出典:九州電力送配電・沖縄電力 託送供給等約款変更認可申請(2026年6月24日)。
送電網の利用規約である託送供給等約款を、一般送配電10社共通の内容で改定する動きである。連系承諾から2か月以内に土地の権利を証明する書類を提出しなければ連系予約が取り消される仕組みを導入し、用地を伴わない系統枠の「空押さえ」を締め出す。
目次
改定の概要と10社共通の背景
九州・沖縄の同日申請は、国の審議会での整理を約款に落とし込む全国的な動きの一部である。
図1:託送供給等約款変更の3つの見直し(一般送配電事業者10社共通)
出典:九州電力送配電・沖縄電力 託送供給等約款変更認可申請(2026年6月24日)。
九州電力送配電および沖縄電力は2026年6月24日、それぞれ電気事業法第18条第1項に基づき、託送供給等約款の変更認可申請を経済産業大臣に行った。いずれも2026年10月1日実施予定で、経済産業省の審査を経て確定する。本改定は総合資源エネルギー調査会 次世代電力系統ワーキンググループ(第4回2025年9月24日・第6回・第10回2026年4月16日等)での整理を踏まえた一般送配電事業者10社共通の内容で、中部電力パワーグリッドも同日6月24日に申請済みである。
3つの見直しのうち、系統用蓄電池の事業者にとって最重要なのは③である。多くの系統用蓄電池は非FIT・非FIP電源として連系するため、本要件の直接の対象になる。
用地使用権原の2か月以内提出要件
用地の権利を証明できない案件は、連系予約を維持できなくなる。
図2:非FIT・非FIP電源に課される用地使用権原の2か月以内提出要件
出典:九州電力送配電・沖縄電力 託送供給等約款変更認可申請(2026年6月24日)。
改定③の核心は、非FIT・非FIP電源(系統用蓄電池の多くが該当)への「連系承諾から2か月以内の事業用地使用権原提出」要件である。提出されなければ連系予約が取り消される。用地未確定のまま系統枠を確保する「空押さえ」を規律し、系統枠の確保競争を「用地を伴う実需」へとシフトさせる仕組みだ。
非FIT・非FIP電源について、発電量調整供給契約の申込時に連系承諾から2か月以内に事業用地の使用権原を証する書類の提出を要件とし、提出されない場合は連系予約を取り消す。
— 九州電力送配電・沖縄電力 託送供給等約款変更認可申請(2026年6月24日)需要側にも規律が入る。特別高圧の需要地点では、供給承諾から工事費負担金の入金まで3か月以内の手続期限が設定され、期限超過は当該地点の契約申込取消となる。技術検討の再検討を要する需要家都合の変更・不備でも契約申込は取り消される。
系統用蓄電池の接続実務への影響
「系統枠を先に確保し、用地は後から」という開発手法が使えなくなる。
系統用蓄電池(多くが非FIT・非FIP電源)の開発事業者にとって、改定③は系統接続実務の前提を大きく変える。連系承諾から2か月以内に事業用地の使用権原を証する書類を提出できなければ連系予約が取り消されるため、用地取得・権原確定を連系承諾前後に前倒しで進める必要がある。用地未確定のまま系統枠を仮押さえする手法が封じられ、系統枠の確保競争の質が「用地を伴う実需」へとシフトする。2026年10月1日実施予定のため、申請中の案件・今後の案件組成スケジュールへの織り込みが急務である。
- 自社の非FIT・非FIP案件について、連系承諾から2か月以内に事業用地の使用権原書類を提出できるよう、用地取得・契約スケジュールを前倒しで設計する。
- 各社(九州電力送配電・沖縄電力・中部電力パワーグリッド等)の変更後約款・経過措置・適用日(2026年10月1日予定)を確認する。
- 申請中・連系予約中の案件への影響(適用範囲)を点検する。
読者別の緊急度
用地確保の前倒しが必要に。
接続スケジュール設計の前提変更。
系統枠確保戦略の即時見直し対象。
よくある質問(Q&A)
今回、何が申請されたのですか?九州電力送配電と沖縄電力が、それぞれ電気事業法第18条第1項に基づき託送供給等約款の変更認可申請を経済産業大臣に行いました。いずれも2026年10月1日実施予定で、一般送配電事業者10社共通の内容です。中部電力パワーグリッドも同日(6月24日)に申請済みです。
用地使用権原はいつまでに提出する必要がありますか?非FIT・非FIP電源は、発電量調整供給契約の申込時に、連系承諾から2か月以内に事業用地の使用権原を証する書類を提出することが要件となります。提出されない場合は連系予約が取り消されます。
系統用蓄電池は対象になりますか?系統用蓄電池の多くは非FIT・非FIP電源に該当するため、用地使用権原の提出要件の直接の対象となり、系統接続実務に直結します。
需要側にも変更はありますか?あります。特別高圧の需要地点について供給承諾から工事費負担金入金までの期限を3か月以内とし、期限が守られない場合は当該地点の契約申込を取り消します。また、供給対策工事・技術検討の結果に影響する需要家都合の契約申込の不備・変更が生じた場合も契約申込を取り消します。
いつから実施されますか?2026年10月1日実施予定で申請されています。経済産業省の審査を経て確定します。
なぜこの改定が行われるのですか?次世代電力系統ワーキンググループ(第4回2025年9月24日・第6回・第10回2026年4月16日等)での整理を約款に反映するものです。用地未確定のまま系統枠を確保する「空押さえ」を抑制し、事業確度の高い案件の系統接続を進めることが狙いです。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 本改定の実務上の核心は改定③にある。用地未確定のままの系統枠の空押さえを約款レベルで規律するもので、系統用蓄電池の案件組成の順序(系統枠先行か用地先行か)を根本から変える。
- 需要側にも手続期限(工事費負担金入金3か月以内)が同時に入り、発電・需要の両面から「予約の質」を高める設計と読める。
- 九州・沖縄・中部PGが同日(6月24日)に申請しており、10社共通の内容であることから、2026年10月1日に全国で足並みをそろえて実施される公算が大きい。エリアを問わず全案件で前提の見直しが必要になる。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。
この記事のまとめ
九州電力送配電・沖縄電力が託送供給等約款の変更認可申請を行った(2026年6月24日申請・10社共通・2026年10月1日実施予定)。非FIT・非FIP電源は発電量調整供給契約の申込時に、連系承諾から2か月以内の事業用地使用権原の提出が要件化され、未提出は連系予約取消となる。特別高圧の需要地点にも工事費負担金入金3か月以内などの手続期限が設定される。系統用蓄電池の多くが非FIT・非FIP電源に該当するため、系統枠確保・用地取得の実務を前倒しで組み替える必要がある。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 九州電力送配電 託送供給等約款の変更認可申請(2026年6月24日)
https://www.kyuden.co.jp/td/ - 沖縄電力 託送供給等約款の変更認可申請(2026年6月24日)
https://www.okiden.co.jp/ - 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/04_系統・接続(送配電・系統増強)/九州電力/20260624_九州送配電_託送供給等約款変更認可申請大規模需要規律.pdf
- 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/04_系統・接続(送配電・系統増強)/沖縄電力/20260624_沖縄電力_託送供給等約款変更認可申請.pdf
本記事は2026年6月24日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。約款変更は経済産業省の審査を経て確定するため、内容は今後変更される可能性があります。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/standard/4619702102001/
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