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制度・政策・審議会上級

地内基幹系統の運用容量を非常時に広げる ― OCCTO第119回委員会、8月1日付の規程改正と2029年度の予備率3%台

OCCTOが6月2日開催の第119回調整力・需給バランス委員会の議事録を7月2日に公表した。需給ひっ迫時に地内基幹系統の運用容量を一時的に広げるスキームが整理され、必要な関係規程類は8月1日付で改正される予定である。

#電力広域的運営推進機関#制度・ルール文書#運用容量・広域予備率#需給ひっ迫・供給力確保#系統用蓄電池

このページの要点

  1. OCCTOが第119回調整力及び需給バランス評価等に関する委員会(2026年6月2日開催)の議事録を7月2日に公表した
  2. 地内基幹系統の緊急的な運用容量拡大スキームが整理され、必要な広域機関の関係規程類を2026年8月1日付で改正する予定
  3. 中長期需給見通しでは、2029年度に東北・東京エリアで予備率が3%台まで低下しうるとの試算が示された

出典:OCCTO 第119回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会(2026年6月2日開催)の議事録および配布資料1〜4(2026年7月2日公表)。

要旨 ― ひと言でいえば

送電線には通せる電気の上限がある。その上限を、需給がひっ迫した非常時に条件を付けて一時的に引き上げる仕組みを、これまでの地域間連系線からエリア内の基幹送電線にも広げる、という広域機関のルール整備である。

目次

  1. 4つの議題のうち、実務に効いたのは資料4
  2. 地内基幹系統の運用容量を一時的に広げる ― 適用系統と実施順位
  3. 2029年度に東北・東京が予備率3%台 ― 短期供給力確保策が要る
  4. 広域予備率0.26%の誤公表とインバランス200円/kWh
  5. よくある質問(Q&A)
  6. 編集部の見立て(独自分析)
  7. 出典(一次情報)

4つの議題のうち、実務に効いたのは資料4

議事録は4議題からなり、系統運用の前提が動くのは運用容量の議題である。

電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、2026年6月2日に開催した第119回「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」の議事録を2026年7月2日に公表した。配布資料は議事次第と資料1から資料4である。

扱われたのは、中長期の厳気象H1需要時の需給見通し(資料1)、2026年度夏季需給見通しの供給力計上誤りの再発防止策(資料2)、5月20日の広域予備率の誤公表(資料3)、そして地内系統における緊急的な運用容量拡大スキーム(資料4)である。このうち規程改正の日付まで示されたのは資料4だけで、2026年8月1日という期限が付いている。

地内基幹系統の運用容量を一時的に広げる ― 適用系統と実施順位

地域間連系線で先に整えた考え方を、エリア内の基幹系統に持ち込む整理である。

図1:地内基幹系統の緊急的な運用容量拡大 ― 適用系統・実施順位・承認と残る検討事項

地内基幹系統の緊急的な運用容量拡大の適用系統と広域予備率8%・5%未満の実施順位を示した図

出典:OCCTO 第119回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会 資料4(2026年7月2日公表)。

資料4は「将来の運用容量等の在り方に関する作業会」の残論点だった地内系統における緊急的な運用容量拡大の検討結果である。需給ひっ迫時にエリア間補正融通が地内系統の混雑で制限される場合に、故障時リスク(発生確率や停電量等の影響範囲)を踏まえて供給信頼度の低下を許容しつつ、地内基幹系統の運用容量を一時的に拡大する。

この整理に基づき、必要となる広域機関の関係規程類を2026年8月1日付で改正する予定である。SCED機能による熱容量制約の拡大は今後の検討事項として残された。

一次資料の記載(要旨)

地内系統における緊急的な運用容量拡大は、適用基準を地域間連系線と同様とし、適用系統はエリア間補正融通を制限し得る基幹系統とする。実施順位は広域予備率8%未満・5%未満の追加供給力対策を実施したうえで地内緊急拡大とし、承認は広域機関理事会、情報公表・事後検証は広域機関が実施する。

— OCCTO 第119回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会 資料4

2029年度に東北・東京が予備率3%台 ― 短期供給力確保策が要る

見通しの側からは、供給力そのものが足りなくなる時期が具体的に出てきた。

図2:2029年度に東北・東京で予備率3%台まで低下しうる試算 ― 供給力の減少と需要の増加

2029年度に東北・東京で予備率3%台まで下がる試算の要因(供給力の減少と需要の増加)を示した図

出典:OCCTO 第119回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会 資料1(2026年7月2日公表)。

資料1の中長期の厳気象H1需要時の需給見通しでは、経年火力の45年廃止、非効率石炭火力の停止、データセンター需要の増加(GX戦略地域制度の具体化を含む)を織り込むと、2029年度に東北・東京エリアで予備率が3%台まで低下しうるとの試算が示された。新たな短期供給力確保策の必要性もあわせて示されている。

委員会ではオブザーバーの東京電力パワーグリッド岸氏から、東京エリアではベースケースでもリスクが顕在化しており、検討中の新たな短期供給力確保策への早急な対応が必要だとの発言があった。送配電事業者の側から期限感を伴って指摘された点が、この議題の重さを示している。

夏季需給見通しの供給力計上誤りの再発防止

資料2は、2026年度夏季需給見通しでPVの追加供給力を重複計上し過大な予備率を公表していた件の再発防止策である。算定ツールの自動控除化、電源種別・エリア別のチェック、幹部による進捗確認を、2026年度冬季需給検証の開始までに完了させる。

広域予備率0.26%の誤公表とインバランス200円/kWh

予備率の数字は、そのまま蓄電池の収益シグナルになる。

資料3が扱ったのは、5月20日16時コマで北海道エリアの広域予備率が実態と異なる0.26%と公表され、インバランス料金単価が200円/kWhとなった事象である。原因は、融通指示が自動演算の直前となり連系線の空容量のみが反映されたことにある。

対応として、5月26日に予備率は修正済みで、インバランス料金単価も修正・再精算の予定である。自動演算のタイミングを踏まえた業務運行への見直しも行われる。公表値そのものが後から動く前提で、充放電の収益モデルとトレーディングの運用を点検しておく必要がある。

  • 2026年8月1日付で改正予定の広域機関の関係規程類の内容を確認し、地内系統の緊急的運用容量拡大の適用系統・実施基準が自社の接続エリアと運用に与える影響を点検する。
  • 2029年度に東北・東京が予備率3%台となりうる試算を踏まえ、容量市場・需給調整市場・検討中の短期供給力確保策における自社BESSの供給力価値の織り込み方を検討する。
  • 広域予備率とインバランス料金単価の公表精度・演算タイミングの見直しを、充放電収益モデルとトレーディング運用の前提として確認する。
  • 公表値が事後修正され再精算がかかる場合の取引損益の扱いを、社内ルールとして整理する。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)2/5

投資判断への直接の影響は限定的だが、供給力ひっ迫の背景を理解する材料になる。

中級(建設・メーカー・設計)3/5

系統運用と接続前提の変化として把握しておきたい。

上級(事業者・アグリゲーター)4/5

8月1日の規程改正・供給力確保策・インバランスはいずれも市場参加の前提である。

よくある質問(Q&A)

OCCTO第119回委員会では何が議論されましたか?

議題は4件です。中長期の厳気象H1需要時の需給見通し(資料1)、2026年度夏季需給見通しの供給力計上誤りの再発防止策(資料2)、5月20日の広域予備率の誤公表(資料3)、地内系統における緊急的な運用容量拡大スキーム(資料4)です。議事録は2026年7月2日に公表されました。

地内系統の緊急的な運用容量拡大とは何ですか?

需給ひっ迫時にエリア間補正融通が地内系統の混雑で制限される場合に、故障時リスク(発生確率や停電量等の影響範囲)を踏まえて供給信頼度の低下を許容しつつ、地内基幹系統の運用容量を一時的に拡大する仕組みです。適用系統はエリア間補正融通を制限し得る基幹系統(500kV送電線等)です。

運用容量の緊急拡大はどんなときに実施されますか?

実施順位は連系線マージンの使用や連系線の緊急拡大と同様で、広域予備率8%未満・5%未満の追加供給力対策を実施したうえで地内緊急拡大となります。承認は広域機関理事会が行い、情報公表と事後検証は広域機関が実施します。

関係規程の改正はいつですか?

必要となる広域機関の関係規程類を2026年8月1日付で改正する予定とされています。なお、SCED機能による熱容量制約の拡大は今後の検討事項として残されています。

2029年度に予備率3%台という試算はどういう前提ですか?

経年火力の45年廃止、非効率石炭火力の停止、データセンター需要の増加を織り込んだ中長期の厳気象H1需要時の需給見通しで、2029年度に東北・東京エリアの予備率が3%台まで低下しうるとされました。新たな短期供給力確保策の必要性もあわせて示されています。

5月20日の広域予備率0.26%はなぜ起きたのですか?

融通指示が自動演算の直前となり、連系線の空容量のみが反映されたことが原因です。北海道エリアの16時コマで実態と異なる0.26%が公表され、インバランス料金単価が200円/kWhとなりました。予備率は5月26日に修正済みで、インバランス料金単価も修正・再精算の予定です。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 8月1日の規程改正で効くのは、運用容量が固定値ではなく需給局面に応じて動く前提が明文化される点だと見る。広域予備率8%未満・5%未満の追加供給力対策を尽くした後という実施順位が置かれているため、地内緊急拡大が発動する局面は、蓄電池の放電が最も高く評価される局面と重なる。系統混雑で放電が絞られるか、それとも枠が広がって出せるかは案件の立地で分かれる。
  • 2029年度に東北・東京で予備率3%台という試算は、系統用蓄電池の供給力価値を裏づける材料である。ただし裏づけられるのは価値であって収入ではない。容量市場・需給調整市場・検討中の新たな短期供給力確保策のどれで回収するのかは制度側の設計待ちで、複数の受け皿を前提に事業計画を置くのが現実的だと考える。
  • 5月20日の事案は、広域予備率の誤りがインバランス料金単価200円/kWhという形で市場価格に直接出た例である。蓄電池の収益は予備率とインバランスのシグナルに乗って動くため、公表値が事後修正され再精算がかかる可能性を運用に織り込む必要がある。修正前の値で判断した取引の損益をどう扱うかは、社内ルールとして先に決めておきたい。
  • 資料2の供給力計上誤りと資料3の誤公表が同じ委員会に並んだことは、需給・予備率の算定と公表の運用そのものが点検対象になっている状況を示す。対策の完了期限が2026年度冬季需給検証の開始までとされている点から、冬季に向けて公表値の扱いが変わり得ると読んでおきたい。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、一次資料に記載された決定事項ではありません。

この記事のまとめ

第119回委員会で最も実務に効いたのは資料4である。需給ひっ迫時にエリア間補正融通が地内混雑で制限される場合、故障時リスクを踏まえて地内基幹系統の運用容量を一時的に広げる。実施は広域予備率8%未満・5%未満の追加供給力対策の後で、承認は広域機関理事会。関係規程類は2026年8月1日付で改正予定である。資料1では2029年度に東北・東京の予備率が3%台まで下がりうるとされた。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づいて解説する編集部。審議会資料・約款・公募要領を原文で確認して記事化しています。

監修

BESS NEWS編集長

系統運用と需給バランス評価の実務を担当。本記事の実施順位・承認主体・日付は議事録および資料4の記載と突き合わせて確認した。

出典(一次情報)

  1. OCCTO 第119回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会
    https://www.occto.or.jp/iinkai/chousei_jukyu/119.html
  2. OCCTO 将来の運用容量等の在り方に関する作業会
    https://www.occto.or.jp/iinkai/chouseiryoku/jukyuchousei/unyouyouryousagyoukai.html

本記事は2026年7月2日時点で公表された一次資料に基づきます。以後の改訂・追加公表は反映していません。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/proffessional/4620503102001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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