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市場・価格上級

需給調整市場の2025年度「成績表」 ― 複合商品の総約定量は前年度比約9%減、単価は低下傾向

EPRX(電力需給調整力取引所)は2025年度の取引実績と取引監視レポートを公表した(2026年6月18日)。複合商品の総約定量は前年度比約9%減、北海道を除く平均約定単価はおおむね4円/ΔkW・30分以下で推移。明確な禁止行為は確認されなかったが、高値応札は継続監視の対象とされた。

このページの要点

  1. EPRXが2025年度の取引実績・取引監視レポートを公表した(2026年6月18日)。
  2. 複合商品の総約定量は前年度比約9%減。北海道を除く平均約定単価は概ね4円/ΔkW・30分以下で、約80%が4円以下・約90%が6円以下。三次調整力②は概ね1.0〜1.5円。
  3. BESS事業者は自社の応札単価・約定率・機会費用を市場ベンチマークと比較すべき。高値応札は継続監視対象のため、応札単価の算定根拠の保存が重要になる。

出典:EPRX 2025年度 取引実績・取引監視レポート(2026年6月18日公表)。

要旨 ― ひと言でいえば

需給調整市場の1年分の実績をまとめた年次の成績表が公表された。約定量は減少し単価は低い水準で推移しており、BESS事業者が自社の応札単価・約定率を市場全体と比較するベンチマークとして使える一次資料である。

目次

  1. 2025年度の約定量と単価 ― 複合商品は約9%減
  2. 揚水随意契約の影響 ― 約定量減の2つの要因
  3. 取引監視の結果 ― 高値応札は継続監視
  4. BESSのベンチマーク活用 ― 実務チェックリスト
  5. よくある質問(Q&A)
  6. 編集部の見立て(独自分析)
  7. 出典(一次情報)

2025年度の約定量と単価 ― 複合商品は約9%減

総約定量は前年度から減少し、約定単価は低い水準に集中した。

EPRXが公表した2025年度の取引実績によると、複合商品の総約定量は前年度比で約9%減少した。単価面では、北海道を除く複合商品の平均約定単価はおおむね4円/ΔkW・30分以下で推移し、約定量の分布でも低単価帯への集中が確認できる。

図1:2025年度 約定単価の分布(単位:円/ΔkW・30分)

複合 ≤4円80%
複合 ≤6円90%
三次② ≤4円90%超

出典:EPRX 2025年度 取引実績・取引監視レポート(2026年6月18日)。数値は「約80%」「約90%」「90%超」の公表値。複合商品の平均は北海道を除き概ね4円以下、三次調整力②の平均は概ね1.0〜1.5円。

商品別に見ると、三次調整力②の平均約定単価はおおむね1.0〜1.5円/ΔkW・30分で、約90%超が4円以下だった。全体として価格は低下傾向にあり、需給調整市場の収益性を前提とするBESSの事業計画には、この単価水準を織り込む必要がある。

揚水随意契約の影響 ― 約定量減の2つの要因

約定量の減少は、応札側ではなく調達側(募集量)の変化が要因と整理された。

総約定量が前年度比約9%減となった要因として、レポートでは募集量の減少が整理されている。具体的には次の2点である。

要因①

自然体余力の控除。市場外で確保できる調整余力を募集量から差し引く運用により、市場での調達量が減少した。

要因②

揚水発電機を用いた随意契約。市場を介さない随意契約での調達により、市場の募集量が減少した。

一次資料の記載(要旨)

複合商品の総約定量は前年度比で約9%減少し、自然体余力の控除や揚水発電機を用いた随意契約による募集量減少が要因として整理された。

— EPRX 2025年度 取引実績・取引監視レポート(要旨)

市場で調達される量そのものが縮小しているため、揚水随意契約による募集量減少は、将来のBESSの約定量・収益予測に反映すべき構造要因といえる。

取引監視の結果 ― 高値応札は継続監視

禁止行為は確認されなかったが、高値応札への監視は続く。

取引監視レポートでは、2025年度において明確な禁止行為は確認されなかったとされた。一方で、高値応札は継続監視の対象とされている。

BESSで高値応札を行う場合は、その単価が正当なコストに基づくことを説明できるよう、劣化費用・充電原価・逸失利益・SoC制約などの算定根拠を保存しておく必要がある。監視対応は事後に整えるのではなく、応札時点からの記録が重要になる。

BESSのベンチマーク活用 ― 実務チェックリスト

年次実績は、自社の応札成績を市場平均と比較する基準線になる。

2025年度実績は、需給調整市場で収益を上げるBESS事業者にとって自社の応札単価・約定率・機会費用を検証するベンチマークになる。市場平均より高い単価で約定率が低いなら応札戦略の見直し余地があり、逆に極端な低単価での約定が続くなら機会費用の再計算が必要になる。

  • 自社応札の約定率・約定単価を2025年度ベンチマーク(複合商品:約80%が4円以下・約90%が6円以下、三次②:平均概ね1.0〜1.5円)と比較する。
  • 高値応札の算定根拠(劣化費用・充電原価・逸失利益・SoC制約)の保存体制を整備する。
  • 揚水随意契約による募集量減少を、将来のBESS約定量・収益予測の前提に反映する。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)3/5

需給調整市場の収益見通しの参考として、今月中に単価水準を把握しておきたい。

中級(建設・メーカー・設計)3/5

事業性試算の前提単価の更新材料として今月中に確認したい。

上級(事業者・アグリゲーター)5/5

応札戦略の見直しに直結するベンチマークのため、直ちに確認すべき。

よくある質問(Q&A)

2025年度の複合商品の総約定量はどう変化しましたか?

前年度比で約9%減少しました。自然体余力の控除や、揚水発電機を用いた随意契約による募集量減少が要因として整理されています。

複合商品の約定単価はどの水準ですか?

北海道を除く複合商品の平均約定単価はおおむね4円/ΔkW・30分以下で推移しました。約定量の約80%が4円以下、約90%が6円以下です。

三次調整力②の約定単価はどの水準ですか?

平均約定単価はおおむね1.0〜1.5円/ΔkW・30分で、約90%超が4円以下でした。

取引監視で禁止行為は確認されましたか?

明確な禁止行為は確認されませんでした。ただし高値応札は継続監視の対象とされています。

高値応札を行う場合に何を準備すべきですか?

劣化費用・充電原価・逸失利益・SoC制約などの算定根拠を保存しておく必要があります。高値応札は継続監視対象であるためです。

BESS事業者はこのレポートをどう活用できますか?

自社の応札単価・約定率・機会費用を市場ベンチマークと比較する材料になります。また、揚水随意契約による募集量減少は将来のBESSの約定量・収益予測に反映すべき要素です。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 複合商品の約定量の約80%が4円以下・約90%が6円以下、三次②は概ね1.0〜1.5円という分布は、需給調整市場の価格が低下傾向にあることを示す。BESSの収益計画は、この単価水準を前提に組み直す必要がある。
  • 約定量減の要因が自然体余力控除と揚水随意契約という「調達側」の構造変化である点は重要で、応札努力では取り戻せない市場規模の縮小として将来予測に織り込むべきと考える。
  • 高値応札が継続監視対象である以上、劣化費用・充電原価等の算定根拠の保存は、応札戦略の自由度を守るための防御的な必須実務になる。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。

この記事のまとめ

EPRXが2025年度の取引実績・取引監視レポートを公表した(2026年6月18日)。複合商品の総約定量は前年度比約9%減で、自然体余力の控除と揚水発電機を用いた随意契約による募集量減少が要因。北海道を除く複合商品の平均約定単価は概ね4円/ΔkW・30分以下(約80%が4円以下・約90%が6円以下)、三次調整力②は概ね1.0〜1.5円で90%超が4円以下だった。明確な禁止行為は確認されなかったが高値応札は継続監視対象であり、BESS事業者は自社の応札成績をベンチマークと比較し、高値応札の算定根拠を保存する体制を整えるべきである。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。

監修

BESS NEWS編集長

系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。

出典(一次情報)

  1. 電力需給調整力取引所(EPRX)「2025年度 取引実績・取引監視レポート」(2026年6月18日公表)― 取引実績の取りまとめ結果
    https://www.eprx.or.jp/information/summary.php
  2. 保存済み一次資料PDF:蓄電池情報/01_市場制度(OCCTO・EPRX・JEPX)/EPRX/(EPRX 2025年度取引実績・取引監視レポート)

本記事は2026年6月18日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。詳細な商品別・エリア別の数値は一次資料で確認してください。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/market/proffessional/4621003001001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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