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長期脱炭素オークション第4回、蓄電池の募集枠を3区分・各40万kWへ ― 2倍ルール廃止と経済安保セルの優先約定

電力安定供給ワーキンググループ第4回が、長期脱炭素電源オークション第4回入札に向けた制度見直し案を示した。蓄電池の募集枠を3区分に割って各40万kWとし、2倍ルールを廃止。経済安保推進法の認定メーカー製セルを使う案件を優先約定する。

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このページの要点

  1. 電力安定供給ワーキンググループ第4回で、長期脱炭素電源オークション第4回入札(2026年度)の制度見直し案が示された(資料4-2・4-3)。
  2. 蓄電池の募集枠は3区分・各40万kWに細分化され2倍ルールは廃止、経済安保推進法の認定メーカー製セルを使う案件は優先約定、LDESの供給力提供開始期限は4年から7年へ延長される。
  3. 応札を検討する事業者は、自社案件がどの区分に入るかと採用セルが認定対象かを確認し、パブリックコメント手続と第4回のスケジュールを追う必要がある。

出典:資源エネルギー庁 電力安定供給ワーキンググループ(第4回)資料4-2「長期脱炭素電源オークションの第4回募集に向けて(案)」/資料4-3「ガイドライン(案)」。

要旨 ― ひと言でいえば

将来の脱炭素電源に20年の固定収入を保証する入札の、第4回ルール改訂案である。蓄電池の枠はリチウムイオン、それ以外、揚水と長時間貯蔵の3つに割られ、それぞれ40万kWで頭打ちになる。上限の2倍まで通す救済はなくなり、経済安保のお墨付きを得たセルを使う案件が先に通る。

目次

  1. 第4回募集の全体像 ― 募集量500万kW、上限価格の閾値20万円/kW/年
  2. 蓄電池・揚水・LDES枠の3区分化と、2倍ルールの廃止
  3. 経済安保推進法の認定セルを使う案件を優先約定
  4. LDESは期限を7年へ延長 ― 第3回結果から読む第4回
  5. よくある質問(Q&A)
  6. 編集部の見立て(独自分析)
  7. 出典(一次情報)

第4回募集の全体像 ― 募集量500万kW、上限価格の閾値20万円/kW/年

枠の総量と価格の天井は第3回から据え置かれている。変わるのは中の割り方である。

資源エネルギー庁は2026年7月、総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 電力安定供給ワーキンググループ(第4回)を開催し、長期脱炭素電源オークションの第4回入札(2026年度)に向けた制度見直し案(資料4-2)とガイドライン案(資料4-3)を示した。第4回の脱炭素電源募集量は第3回と同じ500万kWで、LNG専焼は600万kW。上限価格の閾値は20万円/kW/年である。

応札の入口となる設備要件も確認しておきたい。蓄電池・揚水・LDESは送電端の設備容量3万kW以上で、かつ1日1回以上・連続6時間以上の運転継続が可能なものに限られる。応札価格に織り込める資本コストは、税引前WACCで蓄電池・LDESが4.0%である。第3回の4.5%から見直された。補助金を受けた設備費は控除され、落札後の補助金受給は契約解除の対象になる。

一次資料の記載(要旨)

蓄電池・揚水・LDESは送電端設備容量3万kW以上、かつ1日1回以上・連続6時間以上の運転継続が可能なものに限る。応札価格に織り込める税引前WACCは蓄電池・LDESで4.0%とする。第4回の脱炭素電源募集量は500万kW、LNG専焼は600万kW、上限価格の閾値は20万円/kW/年。

— 資料4-3 長期脱炭素電源オークションガイドライン(案)

いずれも案の段階であり、ワーキンググループの討議は取りまとめのうえパブリックコメント手続を経て公表される。

蓄電池・揚水・LDES枠の3区分化と、2倍ルールの廃止

ここが今回の見直しで最も応札結果に効く部分である。

図1:第4回募集案の3区分と各区分の募集上限

長期脱炭素第4回の蓄電池・揚水・LDES枠を3区分・各40万kWに割る構造と2倍ルール廃止の図

出典:電力安定供給ワーキンググループ 第4回 資料4-2「長期脱炭素電源オークションの第4回募集に向けて(案)」。

第3回の枠は2区分だった。「揚水リプレース+リチウムイオン蓄電池」と「揚水新設+非リチウムイオン蓄電池+LDES」で各40万kW、合計80万kW。そのうえで脱炭素電源全体が募集量に達しない場合は、募集上限の2倍まで落札させる2倍ルールが置かれていた。結果として蓄電池・揚水・LDESの落札は170万kWに達している。

第4回案では、区分が「リチウムイオン蓄電池」「リチウムイオン蓄電池以外の蓄電池」「揚水の新設・リプレース等+LDES」の3つに分かれ、各40万kWずつとなる。そして超過分の追加落札はしない。つまり2倍ルールは廃止される。狙いは2つ示されている。系統接続申込が大幅に増加している蓄電池の落札ペースを調整することと、慣性力・ブラックスタート機能を持つ揚水を一定程度確保することである。

リチウムイオン蓄電池だけを見れば、実質的に確保できる枠は最大40万kWに固定される。系統接続の申込が急増している状況で枠が固定され、救済措置もなくなるということは、落札の難度が上がるということである。

経済安保推進法の認定セルを使う案件を優先約定

第4回では、価格だけで順位が決まらなくなる。

蓄電池の供給確保計画について経済安全保障推進法(令和4年法律第43号)の認定を受けているメーカーが製造するセルを使用するリチウムイオン蓄電池の案件は、優先的に約定される。認定メーカーの範囲には、当該メーカーが株式・持分の50%超の支配力を持つ国内外の子会社・孫会社も含まれる。

約定の順序はこうなる。募集上限の範囲内で、まずリチウムイオン蓄電池の認定案件を価格が低い順に(上限価格以下で)落札する。それで埋まらない場合に、非認定案件を価格が低い順に落札する。対象はリチウムイオン蓄電池のみで、取組方針がリチウムイオンのみを対象としているためである。これに伴い、第3回で導入されたセル製造国30%制限ルールはリチウムイオン蓄電池には適用しない

調達の実務から見れば、これは新しい競争軸である。採用予定セルのメーカーが認定を受けているかどうかが落札順位を左右する。子会社・孫会社を含む範囲で認定関係を確認する作業が、応札準備の工程に加わることになる。

LDESは期限を7年へ延長 ― 第3回結果から読む第4回

期限の緩和は、実際に案件を組もうとして分かった事情への対応である。

図2:第3回入札の落札容量の内訳(万kW)

長期脱炭素第3回入札の落札426万kWの内訳とLDESの供給力提供開始期限7年への延長の図

出典:資料4-2「長期脱炭素電源オークションの第4回募集に向けて(案)」(第3回入札結果は2026年5月公表)。

LDES(長期エネルギー貯蔵システム。系統から受電して貯蔵し、必要時にタービンで発電する設備)は第3回から対象に追加された。その際の供給力提供開始期限は蓄電池と同じ4年に置かれていたが、火力発電所と同等以上の敷地面積と建設期間が必要と判明したため、7年へ変更される。環境アセスのない火力と同じ扱いである。蓄電池本体の期限は4年のまま据え置かれる。

第3回の結果も押さえておきたい。2026年1月に実施され5月に結果が公表された第3回は、落札426万kWで募集量500万kWに届かなかった。内訳は蓄電池・揚水・LDESが170万kW、脱炭素火力が51万kW、既設原発の安全対策が55万kWである。

蓄電池・揚水・LDESの170万kWは、2倍ルールがあって初めて成立した数字である。第4回では区分ごとに40万kWで頭打ちになるため、同じ規模の落札は制度上起こらない。募集量が500万kWで据え置かれても、蓄電池が取れる部分は縮む。

  • 自社の蓄電池案件が「リチウムイオン」「非リチウムイオン」「揚水・LDES」のどの区分に入り、各40万kW枠での競争になるかを整理する。
  • 採用予定セルの製造メーカーが経済安保推進法の供給確保計画認定を受けているか(子会社・孫会社を含む)を確認し、優先約定の対象になるかを調達戦略に反映する。
  • LDES案件は供給力提供開始期限7年を前提に、建設と環境アセスのスケジュールを再設計する。
  • 税引前WACC 4.0%と連続6時間以上の運転要件を織り込んで、応札価格と収益設計を再計算する。
  • パブリックコメント手続の実施時期と締切をe-Govまたは資源エネルギー庁のページで確認し、必要なら意見を提出する。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)3/5

蓄電池枠の実質的な縮小は投資回収の前提に影響する。

中級(建設・メーカー・設計)4/5

セル調達先の認定の有無が落札順位を左右する。調達計画の見直し対象。

上級(事業者・アグリゲーター)5/5

応札戦略・区分別の枠・WACC前提を即時に見直す必要がある。

よくある質問(Q&A)

第4回の蓄電池の募集枠はどうなりますか?

「リチウムイオン蓄電池」「リチウムイオン蓄電池以外の蓄電池」「揚水の新設・リプレース等+LDES」の3区分に分かれ、各区分の募集上限は40万kWずつです。第3回にあった、募集上限の2倍まで落札させる2倍ルールは廃止されます。

2倍ルールの廃止で何が変わりますか?

超過分の追加落札がなくなるため、リチウムイオン蓄電池が実質的に確保できる枠は最大40万kWに固定されます。第3回では2倍ルールのもとで蓄電池・揚水・LDESが170万kW落札されており、同じ規模の落札は制度上起こらなくなります。

経済安保推進法の認定セルの優先約定とはどのような仕組みですか?

蓄電池の供給確保計画について経済安全保障推進法の認定を受けたメーカー(株式・持分50%超の支配力を持つ国内外の子会社・孫会社を含む)が製造するセルを使うリチウムイオン蓄電池案件を、優先的に約定する仕組みです。募集上限の範囲内でまず認定案件を価格の低い順に落札し、埋まらない場合に非認定案件を価格の低い順に落札します。

セル製造国30%制限ルールはどうなりますか?

優先約定の導入に伴い、第3回で導入されたセル製造国30%制限ルールはリチウムイオン蓄電池には適用しないこととされています。

LDESの供給力提供開始期限はなぜ延長されるのですか?

火力発電所と同等以上の敷地面積と建設期間が必要と判明したためです。従来は蓄電池と同じ4年でしたが、環境アセスのない火力と同様の7年に変更されます。蓄電池本体の期限は4年のままです。

第4回の募集量と応札要件を教えてください。

脱炭素電源の募集量は第3回と同じ500万kW、LNG専焼は600万kWで、上限価格の閾値は20万円/kW/年です。蓄電池・揚水・LDESは送電端設備容量3万kW以上かつ1日1回以上・連続6時間以上の運転継続が可能なものに限られ、応札価格に織り込める税引前WACCは蓄電池・LDESで4.0%(第3回は4.5%)です。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 募集枠の3区分化が今回の核心である。第3回は「揚水リプレース+リチウムイオン蓄電池」「揚水新設+非リチウムイオン蓄電池+LDES」の2区分・計80万kWで、脱炭素電源全体が募集量に達しない場合に募集上限の2倍まで落札させる2倍ルールがあり、結果170万kWが落札された。第4回は3区分・各40万kWで超過分の追加落札はなく、リチウムイオン蓄電池の実質枠は40万kWに固定される。系統接続申込が大幅に増えている蓄電池の落札ペースを調整し、慣性力・ブラックスタート機能を持つ揚水を一定程度確保する狙いと説明されている。
  • 優先約定は価格以外の順位付けを持ち込む。経済安保推進法(令和4年法律第43号)の認定メーカー(50%超の支配力を持つ子会社・孫会社を含む)製セルを使うリチウムイオン案件を先に落札し、埋まらない場合に非認定案件へ回す。対象がリチウムイオンのみである理由は、取組方針がリチウムイオンのみを対象としているためで、これに伴いセル製造国30%制限は同区分に適用されない。セルの調達先が落札順位を左右する新しい競争軸になる。
  • LDESの期限延長は制度の想定が実務に追いついた例である。第3回で対象追加した時点では蓄電池と同じ4年に置かれていたが、火力並みの敷地面積と建設期間が必要と判明して7年(環境アセスのない火力と同様)へ変更された。大規模・長時間貯蔵の案件組成には時間的な余裕が生まれる一方、蓄電池本体は4年のままである点は変わらない。
  • ガイドライン案の要件は収益設計に直接効く。送電端設備容量3万kW以上、1日1回以上・連続6時間以上の運転継続、税引前WACCは蓄電池・LDESで4.0%(第3回の4.5%から見直し)。補助金を受けた設備費は控除され、落札後の補助金受給は契約解除の対象となるため、補助事業との併用可否は先に整理しておく必要がある。
  • 第3回の結果は落札426万kWで募集量500万kWを下回った。蓄電池・揚水・LDESの170万kWは第1回166.9万kW・第2回173.1万kWとほぼ同水準である。募集量が500万kWで据え置かれるなかで区分ごとの上限が効くため、第4回で蓄電池が取れる部分は縮む方向に働く。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、一次資料に記載された決定事項ではありません。

この記事のまとめ

資源エネルギー庁が電力安定供給ワーキンググループ第4回で、長期脱炭素電源オークション第4回入札(2026年度)の制度見直し案を示した。蓄電池・揚水・LDESの募集枠はリチウムイオン、それ以外の蓄電池、揚水とLDESの3区分に分かれ、各40万kWで2倍ルールは廃止。経済安保推進法の認定メーカー製セルを使う案件は優先約定となり、LDESの供給力提供開始期限は4年から7年へ延びる。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づいて解説する編集部。審議会資料・約款・公募要領を原文で確認して記事化しています。

監修

BESS NEWS編集長

長期脱炭素電源オークションの応札要件と落札実績を継続して追っている。本記事の数値は資料4-2および資料4-3(ガイドライン案)の記載と突き合わせて確認した。

出典(一次情報)

  1. 電力安定供給WG 第4回(配布資料一覧)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/stable_power_supply_wg/004.html
  2. 資料4-2 長期脱炭素電源オークションの第4回募集に向けて(案)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/stable_power_supply_wg/pdf/004_04_02.pdf
  3. 資料4-3 長期脱炭素電源オークションガイドライン(案)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/stable_power_supply_wg/pdf/004_04_03.pdf

本記事は2026年7月14日時点で公表された一次資料に基づきます。以後の改訂・追加公表は反映していません。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/proffessional/4621703102001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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