櫻貿易株式会社
制度・政策・審議会中級

一次オフライン枠に経過措置 ― 2023年9月27日以前に系統連系を申し込んだ1MW以上の特別高圧蓄電池が応札可能に

OCCTOは第62回需給調整市場検討小委員会の資料3で、一次オフライン枠の経過措置を事務局案として示した。設備容量上限が議論される以前に系統連系申込を完了した1MW以上の特別高圧蓄電池は、専用線オンライン化工事の完了までの間に限り応札できる。

#OCCTO#配布資料#会合種別:小委員会#需給調整#段階:案

このページの要点

  1. 一次オフライン枠の設備容量上限で応札できなかった既設蓄電池に、経過措置で道が開く
  2. 対象は2023年9月27日以前に系統連系申込を完了した1MW以上の特別高圧蓄電池
  3. 専用線オンライン化工事を属地TSOへ申し込み、工事費負担金契約の締結日を証跡として確保する

出典:OCCTO 第62回需給調整市場検討小委員会(第79回作業会と合同)資料3(2026年7月31日)。

要旨 ― ひと言でいえば

新しい定員制限ができる前から並んでいた設備には、正式な入口の工事が終わるまでの間だけ臨時の入口を使わせる、という救済である。臨時の入口が使えるのは工事の標準工期までで、工事が終われば閉じる。

目次

  1. 一次オフライン枠の設備容量上限とは何だったのか
  2. 経過措置の対象と判定基準日 ― 工事費負担金契約の締結日で決まる
  3. 期限は専用線敷設工事の標準工期 ― 例外が認められる2つのケース
  4. 適用はEPRX取引規程の改定後から順次 ― 先に固めるのは日付の証跡
  5. よくある質問(Q&A)
  6. 編集部の見立て(独自分析)
  7. 出典(一次情報)

一次オフライン枠の設備容量上限とは何だったのか

技術要件は満たしているのに、容量の上限だけで市場に入れないリソースがあった。

OCCTOは2026年7月31日の第62回需給調整市場検討小委員会(調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会 第79回との合同開催)資料3で、蓄電池の一次オフライン枠参入要件の経過措置を事務局案として示した。一次オフライン枠には設備容量の上限があり、対象は1MW以上10MW未満かつ特別高圧の一部(22kV等)・高圧の蓄電池に限られている。

この上限が議論されたのは2023年9月27日である。それ以前に設備仕様が確定し設置が進んでいた蓄電池は、一次調整力の技術要件は満たすのに、制度上の上限だけで市場参加できない状態にあった。今回の事務局案は、この状態を経過措置で救済するものである。

一次資料の記載(要旨)

オフライン枠に対する設備容量上限が議論された2023年9月27日以前に系統連系申し込みを完了していた1MW以上かつ特別高圧の蓄電池について、専用線オンライン化工事を属地一般送配電事業者へ申し込んだ後、工事が完了しオンライン監視による一次調整力の供出が可能となるまでの間に限り、一次オフライン枠への参加を認める。

— OCCTO 第62回需給調整市場検討小委員会 資料3(2026年7月31日)

経過措置の対象と判定基準日 ― 工事費負担金契約の締結日で決まる

対象かどうかは、契約書に書かれた日付ひとつで決まる。

図1:一次オフライン枠に参加できるリソースの区分と判定基準日

一次オフライン枠の経過措置で対象となる1MW以上の特別高圧蓄電池と対象外の区分を示した図

出典:OCCTO 第62回需給調整市場検討小委員会 資料3(2026年7月31日)。現時点では事務局案。

一次オフライン枠に参加できるリソースは2区分になる。①1MW以上10MW未満かつ特別高圧の一部(22kV等)・高圧の蓄電池、②2023年9月27日以前に系統連系申し込みを完了していた1MW以上かつ特別高圧の蓄電池。②が今回の経過措置で加わる側で、参加できるのは専用線オンライン化工事を属地TSOへ申し込んだ後、工事完了までの間に限られる。専用線オンライン敷設工事の完了後は一次オフライン枠での応札はできない。

判定の基準は、系統連系申し込みの完了および専用線オンライン工事の申し込みのタイミングを工事費負担金契約およびそれに準ずる契約を締結した日で見ることにある。工事の実施が事実上確定し、一般送配電事業者による確認も可能だという理由が付されている。設計着手日や申込書の提出日ではない。

期限は専用線敷設工事の標準工期 ― 例外が認められる2つのケース

経過措置には期限がある。原則は属地エリアの標準工期である。

図2:経過措置の期限と、延長が認められる2つの例外

一次オフライン枠の経過措置の期限が専用線敷設工事の標準工期であることと2つの例外を示す図

出典:OCCTO 第62回需給調整市場検討小委員会 資料3(2026年7月31日)。現時点では事務局案。

期限は原則として各エリアが提示している専用線敷設工事の標準工期とする。標準工期が幅を持って設定されているエリアでは、その最長の期間が上限になる。したがって確認すべきは自社の工期見込みではなく、属地エリアが公表している標準工期の側である。

オフライン枠からオンライン監視へ切り替える際、オンライン試験の完了までの間、一時的に需給調整市場への応札が不可となる場合があるという留意も併せて示されている。

適用はEPRX取引規程の改定後から順次 ― 先に固めるのは日付の証跡

適用日はまだ示されていない。取引規程の改定を待つことになる。

本要件変更は、EPRXの取引規程改定後から順次適用される(資料3 p32 まとめ・脚注)。現時点では事務局案の段階であり、確定した内容は取引規程の改定を待って確認する必要がある。

一方で、実務で先に固めておけるものはある。日付の証跡である。2023年9月27日以前に系統連系申し込みを完了したことを示す工事費負担金契約およびそれに準ずる契約の締結日と、専用線オンライン化工事の申込に対応する契約の締結日。該当し得る案件を持つ事業者は、契約書の所在確認から着手することになる

給電情報伝送用専用線(SV/TM)が取引規程の要件を満たしている場合は、調整力指令用専用線(LFC/EDC等)が無くてもオンライン監視の一次調整力へ応札できるという注記も付されている。

  • 自社の特別高圧蓄電池について、系統連系申し込みの完了日(工事費負担金契約等の締結日)が2023年9月27日以前かを確認する。
  • 該当する場合は専用線オンライン化工事を属地一般送配電事業者へ速やかに申し込み、契約締結日の証跡を保全する。
  • 属地エリアの専用線敷設工事の標準工期を確認し、経過措置期間内の収益計画を立てる。
  • EPRX取引規程の改定内容と適用時期を継続監視する(適用は取引規程改定後から順次)。

読者別の緊急度

初級(投資家・土地オーナー)2/5

既設案件の収益改善だが、新規投資判断への即時影響は小さい。

中級(建設・メーカー・設計)4/5

専用線オンライン化工事の申込と工期管理に今週中に着手すべき。

上級(事業者・アグリゲーター)5/5

該当案件の有無を即日棚卸しし、契約書の証跡確保と応札計画の見直しを行う。

よくある質問(Q&A)

一次オフライン枠の設備容量上限はどうなっていますか?

1MW以上10MW未満かつ特別高圧の一部(22kV等)・高圧の蓄電池という上限が課されている。

経過措置の対象になるのはどんな蓄電池ですか?

2023年9月27日以前に系統連系の申し込みを完了していた1MW以上かつ特別高圧の蓄電池である。専用線オンライン化工事を属地一般送配電事業者へ申し込んだ後、工事が完了しオンライン監視による一次調整力の供出が可能となるまでの間に限り、一次オフライン枠へ参加できる。

系統連系申し込みの完了日はどの日付で判定されますか?

工事費負担金契約およびそれに準ずる契約を締結した日で判定する。工事の実施が事実上確定し、一般送配電事業者による確認も可能だという理由が示されている。

経過措置はいつまで使えますか?

原則として各エリアが提示している専用線敷設工事の標準工期までである。標準工期が幅を持って設定されているエリアでは、その最長の期間となる。

工事が遅れた場合はどうなりますか?

一般送配電事業者側の工事都合等、蓄電池事業者の責によらない事象で長期化した場合は工事完了まで認められる。事業者による資材発注におけるメーカー納期遅延等は、証跡をもって属地TSOと協議のうえ工事完了まで認められる。

10MW以上の蓄電池も対象になりますか?

容量上限が設定された以降に設置された10MW以上の蓄電池は対象外である。上限を踏まえた設備構成となっている可能性が高く、系統連系と専用線オンライン化工事の工期に大きな乖離が生じる事例は限定的だとされている。

編集部の見立て(独自分析)

独自分析

  • 一次オフライン枠は平常時応動のみを求める枠で、専用線によるオンライン監視を必要としない。設備容量に上限が課されていたのは、大容量リソースにはオンラインでの活用を期待するためだが、上限の議論より前に設備構成を確定させていた事業者にとっては、技術要件を満たすのに制度だけで締め出される状態になっていた。
  • 判定を「工事費負担金契約の締結日」に置いたことが実務上の要点である。設計着手日や申込書の提出日ではなく、契約締結という客観的で一般送配電事業者側でも確認可能な事実に紐づけている。該当し得る事業者は、当該契約書を証跡として直ちに確保すべきだと考えている。
  • 経過措置の期限を専用線敷設工事の標準工期に置いたのは、オフライン枠への滞留を防ぎ早期のオンライン化を促す設計と読める。ただしTSO都合の工事長期化とメーカー納期遅延は例外として救済されるため、遅延が生じた場合は原因を切り分けた証跡の保存が要る。
  • 10MW以上を対象外とした理由は、上限を踏まえた設備構成となっている可能性が高く、系統連系と専用線オンライン化工事の工期に大きな乖離が生じる事例が限定的というものである。裏を返せば、乖離が生じている案件があれば個別に主張する余地は残る。

※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、一次資料に記載された決定事項ではありません。

この記事のまとめ

一次オフライン枠の設備容量上限で応札できずにいた既設蓄電池に、経過措置の事務局案が示された。対象は2023年9月27日以前に系統連系申し込みを完了した1MW以上の特別高圧蓄電池で、専用線オンライン化工事の申込から完了までの間に限り参加できる。判定は工事費負担金契約等の締結日、期限は属地エリアの標準工期。適用はEPRXの取引規程改定後から順次で、日付はまだ示されていない。

編集体制

執筆

BESSNEWS編集部

系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づいて解説する編集部。審議会資料・約款・公募要領を原文で確認して記事化しています。

監修

BESS NEWS編集長

需給調整市場の商品要件と系統運用を担当。本記事の日付・容量区分・期限に関する記述は資料3の記載と突き合わせて確認した。

出典(一次情報)

  1. 第62回 需給調整市場検討小委員会(OCCTO)
    https://www.occto.or.jp/iinkai/jukyuchousei/62.html
  2. 資料3 一部商品要件等の見直しに関する検討について(PDF)
    https://www.occto.or.jp/assets/iinkai/jukyuchousei/62/jukyu_shijyo_62_03.pdf

本記事は2026年7月31日時点で公表された一次資料に基づきます。以後の改訂・追加公表は反映していません。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/standard/4623402102001/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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