インバランス料金の公表CSV、2026年10月と2027年3月の2段階で仕様変更。累積価格閾値制度の導入と余剰・不足単価の一本化に対応
インバランス料金情報公表ウェブサイトのCSVを毎日取り込んでいるなら、押さえておく日付が2つある。四国電力送配電は2026年4月24日、沖縄を除く一般送配電事業者9社が運用するこのサイトについて、インバランス料金単価と料金単価算定根拠のCSVファイルの仕様を一部変更すると案内した。2026年10月1日は累積価格閾値制度の導入とC値・D値の変更など、2027年3月1日は余剰単価・不足単価の一本化と算定根拠ファイルの項目拡充などに伴う変更だ。精算の方法や手続きは変わらない。影響が出うるのは、ファイルを自動取得してシステムに連携している事業者である。
CONTENTS目次
何が起きたか:四国電力送配電が2026年4月24日、一般送配電9社のインバランス料金公表サイトに載るCSV(料金単価・算定根拠)の仕様を一部変更すると案内した。
なぜ重要か:10月1日からは、直前7日間の高値コマの累積で需給ひっ迫時補正インバランス料金の上限が100円/kWhになる仕組みが入る。2027年3月分からはファイルの形そのものが変わる。
何をすべきか:CSVを自動取得している事業者は、対象月で旧・新フォーマットを切り替える処理と、新しく加わる列の扱いを用意する。EMSや入札の前提にある補正料金の上限も見直す。
インバランス料金公表CSVの仕様変更とは
案内は1ページの文書である(四国電力送配電 2026年4月24日付ご案内)。対象は、沖縄を除く一般送配電事業者9社が運用するインバランス料金情報公表ウェブサイトの掲載情報のうち、「インバランス料金単価」と「料金単価算定根拠」の2つのCSVファイルだ。案内は変更の理由を「インバランス単価の算定ロジックの変更に伴うもの」と書いている。
先に、変わらないことを確認しておく。案内によれば、事業者と精算するインバランス料金の精算方法や手続きは変わらず、公表されるインバランス単価そのものの取扱いも変わらない。そのうえで、次のように続ける。
通常の精算実務において、事業者さまにご対応いただく事項はございません。一方で、当該ファイルを自動取得、システム連携、独自検証等の用途でご利用されている場合には、ファイル仕様の変更により影響が生じる可能性がございます
— 四国電力送配電「インバランス料金情報公表ウェブサイトに掲載する公表ファイルの仕様変更について(ご案内)」2026年4月24日変更の中身は、公表サイトのお知らせ1549(2026年3月27日9時公開「インバランス料金単価算定に係るシステム改修について」)に載っている。4月24日の案内はこの掲載箇所を示し、適用日を2つ挙げた。お知らせに添付された14ページの資料が、ファイルの項目を1行ずつ示している(公表サイト お知らせ1549 添付資料)。
公表サイト側のシステム改修は、2026年9月30日から10月1日までと、2027年2月28日から3月1日までの2回に分けて行い、改修によるサービス停止はない(添付資料 p.2)。ファイルの切り替え方も決まっている。2027年3月1日の適用後も、2027年2月分以前のファイルは旧フォーマット、3月分以降は新フォーマットで出力される(p.6)。取り込む側は、日付ではなくファイルの対象月で形式を判別することになる。
背景の制度改定(累積価格閾値制度・C値D値・単価一本化)
C値・D値と累積価格閾値制度(2026年10月1日から)
1段目は料金制度の改正に合わせた変更である。添付資料 p.3 によると、C値・D値の設定見直しと累積価格閾値制度の内容は、第7回制度設計・監視専門会合(2025年3月31日)で示された。導入は当初2026年4月1日とされていたが、第15回同会合(2025年11月21日)で制度改正の時期が2026年10月1日に変わった。C値もD値も、需給ひっ迫時補正インバランス料金の構成要素である。
資料が挙げる値は次のとおり。C値は当面の間300円/kWh、D値は当面の間50円/kWhへ見直す。累積価格閾値制度は、対象日の直前7日間に、スポット市場価格(エリアプライス)200円/kWh以上のコマが累積で30コマに達したら、その翌日から補正インバランス料金の上限価格を100円/kWhにする仕組みだ。解除は、対象日の直前7日間で100円以上のコマの累積がゼロになった時点である。
公表サイトはこれを受けて、補正インバランス料金の構成要素であるC値・D値の設定値と、累積価格閾値制度の導入に伴う料金単価の算定ロジックを変える。適用は2026年10月1日の1コマ目からだ(p.3)。
余剰単価・不足単価の一本化(2027年3月1日から)
2段目は、電力・ガス取引監視等委員会との協議に基づく変更と説明されている(p.6)。中身は2つ。余剰単価・不足単価の一本化に伴って、サイト内の表示と「インバランス料金単価」ファイルの項目を統一すること。そして「インバランス料金単価算定根拠」ファイルの記載項目を拡充することだ。適用は2027年3月1日の1コマ目から。
サイト内の表示は、適用後に2027年3月1日より前のコマを見ても、改修後の表示のまま切り替えないとされている(p.6)。画面で過去の値を確かめるときも、表示は新しい形になる。
ファイルのどこが変わるか。算定根拠に4項目が加わる
添付資料 p.7〜14 は、新しいファイルの形を項目番号つきで示し、変更箇所を朱字にしている。旧フォーマットの表は載っていないので、以下は新しい形から読み取れることに限る。
「インバランス料金単価」ファイルは、ファイル名が「[処理対象月6桁]_imbalance-price_[リビジョン番号2桁].csv」で、No.9「インバランス料金単価(円/kWh)」に各エリアの単価(税抜)、No.10「変更S」に修正回数が入る(p.7)。朱字になっているのはNo.9の項目名と説明の「インバランス料金単価」の部分で、余剰・不足の一本化を受けた項目の統一にあたる。
「インバランス料金単価算定根拠」ファイルは、ファイル名が「[処理対象月6桁]_imbalance-basis_[リビジョン番号 整数部2桁]_[小数部2桁].csv」である(p.8)。新しく加わる項目は、資料に「新規に項目を追加」と書かれた次の4つで、それぞれに修正回数の「変更S」が付く。
| 項目番号 | 新しく加わる項目 | 中身(資料の記載) | 該当ページ |
|---|---|---|---|
| No.23・24 | 出力抑制時のインバランス量(kWh) | 出力抑制時の広域運用分断エリア区分(No.27)に対応する広域運用の指令量。電源Ⅲと再エネの出力抑制がない場合などはブランク | p.10 |
| No.25・26 | 出力抑制時の系統余剰・不足(0:不足、1:余剰、-:なし) | No.31またはNo.37が「1」のとき、No.23から出力抑制時の系統余剰・不足フラグを表示 | p.11 |
| No.27・28 | 出力抑制時の広域運用分断エリア区分(1〜9) | 出力抑制の影響でインバランス単価が同一となるエリアの区分。抑制がない場合はブランク | p.11 |
| No.53・54 | 累積価格閾値制度発動有無(0:無、1:有) | 各エリアの累積価格閾値制度発動の有無フラグ | p.14 |
このほか、No.9(インバランス量)・No.13(広域運用分断エリア区分)・No.31・No.37(電源Ⅲ/再エネ出力抑制時単価の適用有無)の説明には「文言の修正」が入った(p.8・p.9・p.12)。No.23から28に新しい項目が入るため、p.12とp.14では既存項目の番号の一部も朱字で示されている。列の位置を固定で読んでいる処理は、ここで後ろにずれる列を拾い違える(ずれの読み方は編集部の解釈)。
形式の約束ごとも確認しておく。各行の先頭にヘッダー部(H)・タイトル部(T)・データ部(D)を示す記号があり、最終行は必ず「E」になる。系統余剰・不足の「-」は文字コードSJISの0x2dを使う(p.9・p.11)。
10月1日の時点で、ファイルのどの項目が変わるのかを、添付資料は項目単位では示していない。項目単位の新フォーマットは、2027年3月分から出力される形として示されている。10月以降のファイルの中身は、公表サイトで実物を確かめるのが確実である。
蓄電池の運用システム・入札ロジックへの影響と対応
系統用蓄電池にとって、インバランス料金は計画どおりに充放電できなかったときのリスクであり、ひっ迫時の価格水準を見積もる材料でもある。今回の変更はその両方に触れる。ひとつはデータの取り込み、もうひとつは収益とリスクの前提である。確かめる順番を表にした。
| # | 確かめること | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | インバランス料金単価・算定根拠のCSVを、自動取得やシステム連携で使っているか。使っていなければ、通常の精算実務で対応することはない | 4/24案内 |
| 2 | 取り込み処理が、ファイルの対象月で旧フォーマット(2027年2月分以前)と新フォーマット(3月分以降)を切り替えられるか | 添付資料 p.6 |
| 3 | 列を位置で読んでいないか。算定根拠ファイルはNo.23〜28とNo.53・54が加わる | 添付資料 p.10・p.11・p.14 |
| 4 | 余剰単価と不足単価を別々に持つデータモデルや帳票が、単価の一本化に対応できるか | 添付資料 p.6・p.7 |
| 5 | EMSや入札ロジックで、ひっ迫時の補正インバランス料金の上限を固定値で置いていないか。10月1日からは直前7日間の高値コマの累積で上限が100円/kWhになる | 添付資料 p.3 |
| 6 | 仕様についての問い合わせ先を担当者が把握しているか | 4/24案内 |
仕様についての問い合わせは、公表サイトのお問い合わせフォームで受け付けると案内に書かれている。
インバランスを避ける運用でも、ひっ迫時の価格水準は充放電計画の判断材料になる。10月1日以降は、直前7日間に高値のコマが続くと補正インバランス料金の上限が100円/kWhになる。高値のコマが続いた直後の期間ほど、補正料金の上限が100円/kWhに切り替わっている可能性が高い(制度の仕組みから読める編集部の整理で、価格の見通しではない)。
よくある質問
編集部の見立て
- 精算の手続きが変わらないという一文は、データを使わない事業者には朗報だ。ただ、蓄電池を市場で動かす事業者の多くは「使わない」側にいない。案内は、影響が出うる使い方として自動取得・システム連携・独自検証の3つを名指ししている。自社がどれに当たるかを最初に確かめれば、作業の範囲はおのずと決まる。
- 2つの適用日のうち、ファイルの形が項目単位で変わると資料が示しているのは2027年3月分からである。10月1日は、まず料金の決まり方が変わる。取り込み処理の改修と、EMSや入札ロジックの前提の見直しは、別の作業として時期を分けて進めるのが現実的だろう。
- 新しく加わる「累積価格閾値制度発動有無」の列は、補正料金の上限が100円/kWhに切り替わっているかをエリアごとに後から確かめる手がかりになる。2027年3月分より前の期間は、この列のない形で判定を再現することになる点も覚えておきたい。
編集体制と事実確認プロセス
BESS NEWSの記事はこう作っています
- BESS NEWSは一次情報主義を採ります。官公庁・電力広域的運営推進機関・一般送配電事業者などが自ら公表した文書とページのみを出典とし、業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信の二次情報は出典に用いません。
- 本稿は、四国電力送配電の2026年4月24日付ご案内(PDF、1ページ)と、インバランス料金情報公表ウェブサイトのお知らせ1549(2026年3月27日公開)およびその添付資料(PDF、14ページ)を取得し、引いた箇所をページ単位で突合しています。添付資料の朱字・「新規に項目を追加」の表示は、ページを画像として描画して確認しました。対照結果は「数値照合表」に示しました。
- 本稿は2026年4月24日の案内を受けて書いた記事で、同日までに公表された資料だけを根拠にしています。2026年10月4日に記事の体裁を整えました。
- 旧フォーマットとの差分の読み方(列位置のずれ)、取り込み処理と運用ロジックの見直しの整理、補正料金の上限についての整理は、一次情報の事実にもとづく編集部の解釈です。確定的な見通しではありません。
数値照合表
本文に出した主要な数値と事実を、一次情報の該当箇所と1対1で対照した表である。
| # | 本文の数値・事実 | 一次情報の記載 | 出典(該当箇所) |
|---|---|---|---|
| 1 | 案内の日付 2026年4月24日 | 「2026 年 4 月 24 日」(四国電力送配電) | 四国電力送配電 ご案内 |
| 2 | 沖縄を除く一般送配電9社が運用するサイト | 「沖縄を除く一般送配電事業者 9 社が運用するインバランス料金情報公表ウェブサイト」 | 四国電力送配電 ご案内 |
| 3 | 対象は料金単価・算定根拠のCSV | 「インバランス料金単価および料金単価算定根拠(CSV ファイル)の仕様を一部変更」 | 四国電力送配電 ご案内 |
| 4 | 精算方法・手続きは不変 | 「精算方法や手続きに変更はございません」「通常の精算実務において、事業者さまにご対応いただく事項はございません」 | 四国電力送配電 ご案内 |
| 5 | 適用日 2026/10/01 | 「2026/10/01 累積価格閾値制度導入、および C 値 D 値の変更 等」 | 四国電力送配電 ご案内 |
| 6 | 適用日 2027/03/01 | 「2027/03/01 余剰単価・不足単価の一本化、および「インバランス料金単価算定根拠」ファイルに記載する項目の拡充 等」 | 四国電力送配電 ご案内 |
| 7 | お知らせの公開 2026年3月27日9時 | 公開日「2026年03月27日」、本文冒頭「9:00 公開」 | 公表サイト お知らせ1549 |
| 8 | 改修期間 2回・サービス停止なし | 「2026年9月30日から10月1日まで、ならびに2027年2月28日から3月1日までの期間に、システム改修を実施予定」「サービス停止等はございません」 | お知らせ1549 添付資料 p.2 |
| 9 | 第7回(2025年3月31日)・当初2026年4月1日・第15回(2025年11月21日)で10月1日へ | 「第7回制度設計・監視専門会合(2025年3月31日開催)」「当初、2026年4月1日から」「第15回制度設計・監視専門会合(2025年11月21日開催)にて制度改正時期を2026年10月1日へ変更」 | お知らせ1549 添付資料 p.3 |
| 10 | C値 300円/kWh・D値 50円/kWh | 「C値:当面の間、300円/kWhへ見直し」「D値:当面の間、50円/kWhへ見直し」 | お知らせ1549 添付資料 p.3 |
| 11 | 直前7日間・200円/kWh以上・30コマ・翌日から上限100円/kWh | 「対象日の直前7日間」「スポット市場価格(エリアプライス)200円/kWh以上の累積発生コマ数が30コマに到達」「閾値に到達した翌日から補正インバランス料金の上限価格を100円/kWhとする」 | お知らせ1549 添付資料 p.3 |
| 12 | 解除 直前7日間の100円以上のコマがゼロ | 「対象日の直前7日間の100円以上の累積発生コマ数がゼロになった時点」 | お知らせ1549 添付資料 p.3 |
| 13 | 2026年10月1日・2027年3月1日とも1コマ目から | 「2026年10月1日 1コマ目から」(p.3)「2027年3月1日 1コマ目から」(p.6) | お知らせ1549 添付資料 p.3・p.6 |
| 14 | 2027年2月分以前は旧フォーマット | 「2027年2月分以前のファイルは旧フォーマットにて出力し、2027年3月分以降のファイルは新フォーマットにて出力」 | お知らせ1549 添付資料 p.6 |
| 15 | 監視委との協議に基づく変更 | 「電力・ガス取引監視等委員会との協議に基づき」 | お知らせ1549 添付資料 p.6 |
| 16 | 算定根拠に新規 No.23〜28・No.53〜54 | 各項目に「新規に項目を追加」の表示(出力抑制時のインバランス量/系統余剰・不足/広域運用分断エリア区分/累積価格閾値制度発動有無) | お知らせ1549 添付資料 p.10・p.11・p.14 |
| 17 | 「-」はSJISの0x2d | 「「-」は文字コード SJISの0x2dを使用」 | お知らせ1549 添付資料 p.9・p.11 |
出典(一次情報)
- 四国電力送配電「インバランス料金情報公表ウェブサイトに掲載する公表ファイルの仕様変更について(ご案内)」(2026年4月24日 公表。PDF 1ページ)
- インバランス料金情報公表ウェブサイト「お知らせ詳細(インバランス料金単価算定に係るシステム改修について)」および添付資料「インバランス料金単価算定に係るシステム改修について」(2026年3月27日 公開。添付資料はPDF 14ページ。本稿はp.2〜3・p.6〜14を参照)
- インバランス料金情報公表ウェブサイト「よくあるご質問・お問い合わせ」(4月24日付ご案内に記載された問い合わせ先)
※二次情報(業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信)は出典に用いていません。出典2の添付資料は、お知らせページの「添付ファイル」からダウンロードする形式です。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/market/proffessional/4613603001001/
本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。