系統用蓄電池は、発電所や住宅・工場ではなく、電力系統(送配電網)に直接つないで使う蓄電池です。電気を蓄えたり放出したりすることで、電力の需要と供給のバランスを整える役割を担います。このページでは、系統用蓄電池の仕組みと収益モデル、アグリゲーターの役割、低圧と高圧の違い、事業を始めるまでの流れとリスクを、できるだけわかりやすくまとめています。

系統用蓄電池とは
系統用蓄電池は、電力系統に直接接続し、電力系統全体の需給バランスを保つための「調整力」として使われる蓄電池です。家庭や工場に置いて自家消費のために使う蓄電池とは、つなぐ先と目的が異なります。
| 系統用蓄電池 | 家庭用・産業用(自家消費)の蓄電池 | |
|---|---|---|
| つなぐ先 | 電力系統(送配電網) | 住宅や工場などの設備 |
| 主な目的 | 電力系統の需給調整に貢献し、その対価を得る | 電気料金の削減、停電時の備え |
| 収益・効果 | 電力の市場取引で得る対価 | 自家消費による電気代の節約 |
なぜ今、系統用蓄電池が必要なのか
太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、天候や時間帯によって発電量が大きく変わります。晴れた日の昼間は電気が余り、発電を止める「出力制御」が行われることがある一方で、太陽光が発電しない夕方以降は電気が足りなくなりやすい、というズレが生まれています。
系統用蓄電池は、電気が余りやすい時間に蓄え、電力系統が調整力を必要とするタイミングで応じることで、このズレを埋めます。再生可能エネルギーを無駄なく使い、電力の安定供給を支える設備として注目されています。
収益が生まれる仕組み(収益モデル)
系統用蓄電池は、電力系統の安定に役立つ働きを電力の市場で取引することで収益を得ます。主な収益の場としては、次の3つの市場があります。
| 市場 | 取引するもの | 蓄電池の収益の得方 |
|---|---|---|
| 需給調整市場 | 電力の需給バランスを保つための「調整力」 | 指令に応じられる状態を保つことへの対価(ΔkW価値)と、実際に動いた電力量への対価(ΔkWh価値) |
| 容量市場 | 将来の電力の供給力(kW) | 将来に向けて供給力を確保しておくことへの対価 |
| 卸電力市場 | 電力量(kWh) | 電気が安い時間に充電し、高い時間に放電する価格差 |
当社がご提案する低圧の系統用蓄電池は、需給調整市場が中心
当社がご提案する低圧(50kW未満)の系統用蓄電池は、需給調整市場での運用を前提としています。需給調整市場では、1日を30分単位のコマに分けて取引が行われます。入札が約定したコマでは、指令に応じられる状態を保つこと自体への対価(ΔkW価値)が収益の土台になり、指令を受けて実際に動いた分は、電力量への対価(ΔkWh価値)が上乗せされる場合があります。
つまり、常に放電し続けて稼ぐのではなく、「必要なときに応じられるよう待機していること」に価値がつく、というのが需給調整市場での収益構造の特徴です。
アグリゲーターの役割
アグリゲーターは、複数の蓄電池などの設備を束ねて、ひとつの大きな調整力として市場に入札・運用する事業者です。
需給調整市場には最低入札量があり、低圧(50kW未満)の設備1台ではこれを満たせないため、単体では入札できません。そこでアグリゲーターが複数の設備をまとめて入札し、設備のオーナーはその収益の配分を受け取る形になります。どのアグリゲーターと組むかは、収益や運用の条件に関わる重要なポイントです。当社では、アグリゲーターの選定を含めた運用プランをご提案しています。
低圧と高圧の違い
系統用蓄電池は、電力系統につなぐ電圧の区分によって「低圧」と「高圧」に分かれます。低圧は出力50kW未満の区分で、高圧に比べて設備の規模が小さく、初期コストを抑えやすいのが特徴です。
| 比較項目 | 低圧蓄電池(弊社) | 高圧蓄電池 |
|---|---|---|
| 初期コスト | 1,250万円〜※で開始可能 | 数億円規模の負担 |
| 系統連系 | シンプル・スピーディな接続 | 複雑・高コスト・長期化 |
| 想定利回り | 想定利回り23%〜※ | 同等水準だが資金効率は低め |
※「1,250万円〜」「想定利回り23%〜」は、需給調整市場のΔkW価値・ΔkWh価値およびアグリゲーターとの収益配分を前提とした標準的な低圧設備構成における当社試算値です。実際の費用・収益は立地条件・設備構成・約定状況・市場価格・指令量・稼働率等により変動し、将来の収益を保証するものではありません。
メリットとデメリット・リスク
メリット
- 需給調整市場に調整力を供出し、待機への対価(ΔkW価値)を軸に収益化を図れる
- 再生可能エネルギーの有効活用やCO₂削減に貢献でき、ESGの取り組みにもつながる
- 低圧なら初期コストを抑えやすく、農地・空き地・駐車場跡地などの小規模な用地から始められる
デメリット・リスク
- 収益は市場価格・約定状況・指令量などによって変動し、入札したコマが必ず約定するわけではない
- 制度や取引ルールは改定されることがある
- 低圧の設備は単体では入札できず、アグリゲーターとの契約条件が収益に影響する
- 設置場所や設備構成によって、所轄消防との協議や各種申請・届出が必要になる場合がある(当社が窓口となって進めます)
- 農地に設置する場合は、転用の手続きが必要になることがある
当社では、こうした前提も含めて収支の見通しをご説明したうえでご提案しています。
事業を始めるまでの流れ
- 01ご相談・ヒアリング土地の条件や事業のご要望をお伺いします。
- 02現地調査・ご提案現地を確認し、システム構成と収支の見通しをご提案します。
- 03ご契約ご提案内容にご納得いただけたら、ご契約となります。
- 04設計・工事設計から設置工事、系統連系までを、当社が窓口となって進めます。
- 05運用開始アグリゲーターを通じて市場での運用を始めます。
期間は用地の条件や系統連系の手続きによって異なるため、ご提案の際に目安をお伝えします。