白糠エリアで電源接続案件一括検討プロセスが開始。庶路変電所の連系可能量を0→5MWへ、工事費約3.8億円
北海道の白糠町で、高圧の発電設備等をつなぐ空きが無い変電所に、増強で連系枠をつくる手続が始まった。北海道電力ネットワークは2026年6月15日、白糠エリアで電源接続案件一括検討プロセスを開始したと公表した。増強するのは庶路変電所の66/6.6kV配電用変圧器で、容量を10→15MVAに上げる。連系可能量は増強前0MWから増強後5MWに、工事費は約3.8億円。応募の受付は2026年7月中旬頃に始まり、9月中旬頃に締め切る予定だ。この間、対象エリアで高圧の事前相談・接続検討・契約申込みは、原則としてプロセス完了後の受付になる。
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何が起きたか:北海道電力ネットワークが2026年6月15日、系統連系希望者の申込みを受けて白糠エリアの電源接続案件一括検討プロセスを開始した。庶路変電所66/6.6kV配電用変圧器の923kW(逆潮流側)を暫定的に確保した。
なぜ重要か:増強前の連系可能量は0MW。Aバンクを10→15MVAに上げる約3.8億円の工事で、増強後は5MWになる。白糠町の対象地域で高圧連系を狙う案件にとって、当面はこのプロセスが入口になる。
何をすべきか:2026年7月中旬頃からの応募受付に向け、応募するかを決める。期間中は個別の接続検討が原則止まり、完了は2028年1月頃の予定なので、開発の工程表をそれに合わせて引き直す。
一括検討プロセスとは。白糠エリアで始まった経緯
発電設備等を系統につなごうとして接続検討を申し込むと、送電系統の容量が足りず、増強工事が要ると回答されることがある。このとき1件ずつ単独で増強すると、継ぎはぎの非効率な系統整備になりかねない。工事費負担金が高額になり、払えずに連系が進まないおそれもある。
そこで、近隣の案件も含めて対策を立て、それを共用する複数の系統連系希望者で増強工事費を共同で負担する。これが電源接続案件一括検討プロセスで、2020年10月1日施行の電力広域的運営推進機関(広域機関)の業務規程と送配電等業務指針で導入された。主宰するのは一般送配電事業者である(北海道電力ネットワーク「電源接続案件一括検討プロセスについて」)。
白糠エリアのプロセスは、系統連系希望者から開始の申込みがあったことが出発点だ。北海道電力ネットワークは、送配電等業務指針第120条の4第1項第一号に当たることを確認し、2026年6月15日に開始した(添付資料 p.1・p.2)。開始にあわせて、庶路変電所66/6.6kV配電用変圧器で923kW(逆潮流側)を暫定的に確保している。
募集対象は白糠町の庶路・西庶路・中庶路・恋問・泊別・暁・工業団地で、いずれも「以下の地域の一部」とされている(p.4)。境界の詳細は問い合わせるよう書かれているので、候補地が入るかは窓口で確かめることになる。
北海道では弟子屈エリアに前例
北海道電力ネットワークが一括検討プロセスを主宰するのは、今回が初めてではない。弟子屈エリアでは2022年4月28日に開始し、同年10月11日に応募申込を合計9件・13,289kWで確定した。その後、再接続検討と契約申込みの検討期間をそれぞれ延長し、2024年3月21日に完了している(同社の一括検討プロセスのページの更新履歴)。開始から完了まで、ほぼ2年かかった計算になる。
庶路変電所の増強内容。連系可能量0→5MW、工事費約3.8億円
増強の対象は庶路変電所の66/6.6kV配電用変圧器1か所である。いまの運用容量は10MWで、連系可能量は0MW。新たに高圧でつなげる余地が無い状態だ。
| 項目 | 増強前 | 増強後 |
|---|---|---|
| 配電用変圧器(Aバンク) | 10MVA | 15MVA |
| 運用容量 | 10MW | 15MW |
| 連系可能量 | 0MW | 5MW |
| 工事費 | 約3.8億円 | |
工事は変圧器の取り替えだけではない。資料が挙げるのは、66/6.6kV配電用変圧器の更新、6.6kVキュービクルと6.6kV電力ケーブルの更新、変電所建屋の更新、遠方監視制御装置の更新、既設保護継電器盤の移設、系統制御システムの改造である(p.2・p.5)。変圧器の周りの設備と建屋までまとめて更新する工事である。
読み違えやすいのは、この3.8億円が連系に要る費用の全部ではない点だ。資料は「当該設備以外にも、連系する系統に応じて対策工事が発生します」と注記し(p.2)、全員が共用する設備以外の対策工事の工事費負担金や所要工期にも留意するよう求めている(p.6)。案件ごとの負担金の概算と工期は、応募状況を踏まえて接続検討と再接続検討の回答で示される。
暫定確保の923kWと増強後の5MWの関係は、資料には説明がない。p.5の系統概略図には、変圧器の下に「一括検討開始申込者」の設備が描かれている。ただ、923kWがその申込者の分かどうかは書かれていないので、本稿でも断定しない。
応募スケジュールと、期間中に止まる手続
予定は次のとおりで、時期はどれも「頃」と書かれている。応募の状況等により変わる場合がある(p.3)。
| 時期 | 項目 |
|---|---|
| 2026年6月15日 | 本プロセスの開始・公表 |
| 2026年7月中旬頃 | 応募の受付開始 |
| 2026年9月中旬頃 | 応募の受付締切、応募書類の内容確認 |
| 2026年12月頃 | 接続検討結果の回答 |
| 2027年1月頃 | 再接続検討の受付締切 |
| 2027年4月頃 | 再接続検討結果の回答 |
| 2027年5月頃 | 契約申込みの受付締切、工事費負担金補償契約の締結 |
| 2027年11月頃 | 技術検討結果の回答、連系承諾 |
| 2027年12月頃 | 工事費負担金契約の締結 |
| 2028年1月頃 | 工事費負担金の入金、本プロセスの完了、結果公表 |
応募は、広域機関の「業務規程第80条の規定に基づく電源接続案件一括検討プロセスの実施に関する手続等について」に従う(p.1)。北海道電力ネットワークは、負担可能上限額をあらかじめ申告させ、再接続検討の結果がそれを超えれば原則として辞退扱いにする。契約申込みの際には保証金を求め、契約申込み後に辞退した場合に備えて工事費負担金補償契約を結ぶ(同社の一括検討プロセスのページ)。2027年5月頃の補償契約は、この仕組みにあたる。
もう一つ、プロセスの期間中に止まる手続がある。開始と同時に、対象エリアと上位の送電系統の容量が確保され、高圧で連系する発電設備等の事前相談・接続検討・契約申込みは、原則として一括検討が完了し系統状況が確定した後の受付になった(お知らせ本文)。
| 申込み | 期間中の扱い | 例外 |
|---|---|---|
| 事前相談 | 原則受付不可 | 設置場所から連系点(想定)までの直線距離だけの回答を求める場合は受付 |
| 接続検討 | 原則受付不可 | 設備変更で最大受電電力が変わらないか減る場合は受付 |
| 契約申込 | 原則受付不可 | 同上 |
系統用蓄電池の開発事業者が確かめること
通知が応募を呼びかけているのは、募集対象エリアで「高圧の発電設備等」の連系を検討中の系統連系希望者である(p.1)。通知の中に蓄電池という語は出てこない。高圧の系統用蓄電池で応募を考えるなら、対象に入るかを含めて、受付窓口の業務部カスタマーサービスセンター電源受付グループに早めに確かめておきたい。高圧連系と特別高圧連系で問い合わせ先のメールアドレスが分かれている(p.6)。
| # | 確かめること | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 候補地が白糠町の対象地域(庶路・西庶路・中庶路・恋問・泊別・暁・工業団地の一部)に入るか | 添付資料 p.4 |
| 2 | 9月中旬頃の締切までに応募書類をそろえられるか。広域機関の一括検討の手続等を読み、様式を確認したか | 添付資料 p.1・p.3 |
| 3 | 負担可能上限額をいくらで申告するか。応募の顔ぶれで負担額が動く前提で、複数の場合を置いて試算したか | 一括検討プロセスのページ |
| 4 | 庶路変電所以外の対策工事(共用設備以外)の負担金と工期を見込んでいるか | 添付資料 p.2・p.6 |
| 5 | 2028年1月頃の完了を前提に、運転開始時期と資金計画を組み直したか。弟子屈では検討期間の延長が2回あった | 添付資料 p.3/一括検討プロセスのページ |
5MWは応募者全体で使う枠で、工事費約3.8億円も工事全体の額である。1件あたりの負担額や連系できる量は、公表資料からは決まらない。接続検討の回答(2026年12月頃の予定)が出るまで、案件の事業性は幅で見ておく必要がある。
よくある質問
編集部の見立て
- 5MWという枠は小さい。弟子屈では9件・13,289kWの応募があった。白糠に同じ規模の応募が集まれば枠を大きく上回り、再接続検討の段階で辞退や規模の見直しが出ることになる。逆に応募が少なければ、約3.8億円を少ない案件で分け合う形になる。どちらに振れても、2026年12月頃の接続検討の回答が最初の判断点だ。
- 工程の長さも事業計画に響く。予定どおりでも完了は2028年1月頃で、そこから庶路変電所の工事が進む。弟子屈では検討期間が2度延びた。白糠を候補にするなら、運転開始の時期を早めに置きすぎないほうがよい。
- 対象は配電用変圧器1台の増強で、特別高圧ではなく高圧の案件に向けた枠である。枠の大きさからみて、1案件で使えるのは多くても5MWまでになる。蓄電池が対象に入るかは通知に明記がないので、応募前に窓口で確認しておきたい。
編集体制と事実確認プロセス
BESS NEWSの記事はこう作っています
- BESS NEWSは一次情報主義を採ります。官公庁・電力広域的運営推進機関・一般送配電事業者などが自ら公表した文書とページのみを出典とし、業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信の二次情報は出典に用いません。
- 本稿の数値は、北海道電力ネットワークのお知らせ本文と添付資料(PDF、全6ページ)を取得し、該当ページの記載と1件ずつ突合しています。p.5の系統概略図はページ画像に描画して確認しました。対照結果は「数値照合表」に示しました。
- 一括検討プロセスの仕組み、期間中の申込みの扱い、弟子屈エリアの経過は、同社の「電源接続案件一括検討プロセスについて」のページで確認しました。本稿は2026年6月15日時点の公表内容で書いており、それより後の掲載内容は扱っていません。
- 本稿は2026年10月4日に、公表日にさかのぼって作成しました。工程の長さ、枠の大きさ、対象案件の規模感についての記述は、一次情報の事実にもとづく編集部の解釈です。確定的な見通しではありません。
数値照合表
本文に出した主要な数値と事実を、一次情報の該当箇所と1対1で対照した表である。
| # | 本文の数値・事実 | 一次情報の記載 | 出典(該当箇所) |
|---|---|---|---|
| 1 | 開始日 2026年6月15日 | 「開始年月日 2026年6月15日」 | 添付資料 p.2 |
| 2 | 開始理由 送配電等業務指針第120条の4第1項第一号 | 「送配電等業務指針第120条の4第1項第一号に該当することを確認したため」 | 添付資料 p.2 |
| 3 | 暫定確保 923kW(逆潮流側) | 「庶路変電所66/6.6kV 配電用変圧器:923 kW (逆潮流側)」 | 添付資料 p.1 |
| 4 | 運用容量 10MW→15MW | 「運用容量(増強前) 10MW」「運用容量(増強後) 15MW」 | 添付資料 p.2・p.5 |
| 5 | 連系可能量 0MW→5MW | 「連系可能量(増強前) 0MW」「連系可能量(増強後) 5MW」 | 添付資料 p.2・p.5 |
| 6 | Aバンク 10→15MVA | 「庶路変電所配電用変圧器Aバンク容量変更他(10→15MVA)」 | 添付資料 p.2・p.5 |
| 7 | 工事費 約3.8億円 | 「工事費 約3.8億円」 | 添付資料 p.2・p.5 |
| 8 | 応募受付 2026年7月中旬頃開始・9月中旬頃締切 | 「2026年7月中旬頃 ・応募の受付開始」「2026年9月中旬頃 ・応募の受付締切」 | 添付資料 p.3 |
| 9 | 接続検討回答 2026年12月頃/再接続検討 2027年1月頃締切・4月頃回答 | 「2026年12月頃 ・接続検討結果の回答」「2027年1月頃 ・再接続検討の受付締切」「2027年4月頃 ・再接続検討結果の回答」 | 添付資料 p.3 |
| 10 | 契約申込締切・補償契約 2027年5月頃/連系承諾 11月頃/負担金契約 12月頃/完了 2028年1月頃 | スケジュール表の各行 | 添付資料 p.3 |
| 11 | 募集対象 白糠町(庶路・西庶路・中庶路・恋問・泊別・暁・工業団地の一部) | 「白糠町 【以下の地域の一部】庶路 西庶路 中庶路 恋問 泊別 暁 工業団地」 | 添付資料 p.4 |
| 12 | 応募は業務規程第80条の手続等に従う | 「業務規程第80条の規定に基づく電源接続案件一括検討プロセスの実施に関する手続等について」 | 添付資料 p.1 |
| 13 | 共用設備以外の対策工事に留意 | 「当該設備以外にも、連系する系統に応じて対策工事が発生します」/「全ての系統連系希望者が共用する設備以外の対策工事も必要」 | 添付資料 p.2・p.6 |
| 14 | 期間中の高圧の事前相談・接続検討・契約申込みは原則プロセス完了後 | 「高圧で連系する発電設備等の事前相談、接続検討、契約申込みは、原則として、一括検討プロセスが完了し系統状況が確定した後に受付」 | お知らせ本文 |
| 15 | 弟子屈エリア 2022年4月28日開始・応募9件13,289kW・2024年3月21日完了 | 更新履歴「応募申込合計:9件、13,289kW」ほか | 電源接続案件一括検討プロセスについて |
| 16 | 導入 2020年10月1日施行の業務規程・送配電等業務指針 | 「業務規程及び送配電等業務指針(2020年10月1日施行)により…導入されました」 | 電源接続案件一括検討プロセスについて |
出典(一次情報)
- 北海道電力ネットワーク「白糠エリアにおける電源接続案件一括検討プロセスの開始について」(2026年6月15日 公表)
- 北海道電力ネットワーク 添付資料「白糠エリア一括検討プロセスの概要」(PDF・全6ページ)(2026年6月15日 公表。本稿はp.1〜6を参照)
- 北海道電力ネットワーク「電源接続案件一括検討プロセスについて」(2020年10月1日 公開の説明ページ。本稿は仕組みの説明と弟子屈エリアの経過を参照)
- 北海道電力ネットワーク 系統連系・空き容量情報(トップページ)
※二次情報(業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信)は出典に用いていません。出典3は随時更新されるページで、本稿は2026年6月15日までの掲載内容のみを用いています。
出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/proffessional/4618803102001/
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