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制度・政策・審議会上級

蓄電池の一次オフライン枠に経過措置の事務局案。フリッカ対策・異常時必要量・調定率とあわせ、一次調整力の見直し4点が第62回需給調整市場検討小委に

一次オフライン枠には、蓄電池の設備容量に上限がある。この上限ができる前から計画を進めていた蓄電池は、要件を満たしていても応札できなかった。OCCTOの需給調整市場検討小委員会は2026年7月31日の第62回会合で、ここに経過措置を設ける事務局案を出した。2023年9月27日以前に系統連系の申し込みを完了していた1MW以上の特別高圧蓄電池は、専用線のオンライン化工事を申し込んでから完了するまでの間、一次オフライン枠に応札できる。同じ会合では、蓄電池が起こした電圧フリッカへの対策としてPCSの周波数計測に移動平均0.1秒の要件を新設する案、東エリア3社で一次調整力の異常時必要量から需要減少量を差し引く案(2026年10月1日開始)、調定率5%超のリソースに応札を認める案も示された。どれも事務局案の段階である。

読了目安:約12分対象読者:上級(アグリゲーター 必読。PCSの設定はEPC・O&M担当、東エリアの収益見通しは投資家にも関係)種別:審議会資料の解説

要点まとめ

何が起きたか:OCCTOの第62回需給調整市場検討小委員会(2026年7月31日、第79回作業会と合同)で、一次調整力の見直し案が4つ示された。一次オフライン枠の経過措置、PCSの周波数計測の要件新設、異常時必要量の控除、調定率要件の緩和である。

なぜ重要か:容量上限で締め出されていた既設の特別高圧蓄電池に応札の道が開く一方、東エリアでは一次調整力の異常時必要量が3社合計で300MW程度減る試算が出ている。収益の入口と市場の大きさが同時に動く。

何をすべきか:特別高圧の蓄電池を持つなら、工事費負担金契約の締結日を確かめる。PCSは移動平均計測時間幅を設定できるかをメーカーに聞く。東エリアで一次調整力に応札しているなら、10月以降の必要量を月別に見直す。

第62回で示された4つの見直し

2026年度から需給調整市場は全商品が前日取引になった。OCCTOはその後の取引状況を、取引会員と一般送配電事業者へのアンケートで調べている。資料3によれば、前日取引化のあとも応札不足は抜本的には改善していない。設備としては調整力に使えるのに、要件を満たせず応札を見送っているリソースもあった(資料3 p.2・p.9)。

事務局は寄せられた意見のうち、先行して対応できると判断したものを資料3で、一次調整力の異常時必要量の見直しを資料4で示した。整理すると次の4つになる。

見直し対象中身適用
一次オフライン枠の経過措置2023年9月27日以前に系統連系の申し込みを完了した1MW以上・特別高圧の蓄電池専用線オンライン化工事の申し込みから完了までの間、一次オフライン枠への参入を認めるEPRX取引規程の改定後から順次(資料3 p.32)
電圧フリッカ対策PCSで周波数を計測する一次調整力のリソース移動平均計測時間幅は初期値0.1秒、TSOの指定があればそれに従う。既設は要件化から1年の経過措置同上
異常時必要量の見直し東エリア3社(北海道・東北・東京)異常時一次必要量から、周波数低下による需要減少量を差し引く2026年10月1日から運用開始とする案(資料4 p.34)
調定率の扱いグリッドコードで調定率が定められる前から連系しているリソース、折れ線調定率のリソース調定率5%以下の要件を原則外として緩和。折れ線調定率は供出可能量の算定方法を整理EPRX取引規程の改定後から順次(資料3 p.32)

資料はどの項目も「〜してはどうか」と書いており、会合に諮った事務局案である。以下、蓄電池への効き方が大きい順に見ていく。

一次オフライン枠の容量上限と経過措置

一次調整力のオフライン枠は、専用線によるオンライン監視を前提にしない枠で、求められるのは平常時の応動だけである(資料3 p.19)。蓄電池がこの枠に入れる範囲は、2023年9月27日の第42回小委で決まった。長期脱炭素電源オークションでは設備容量10MW以上の蓄電池に原則として専用線の設置を求めると整理されていたため、それを踏まえて、オフライン枠に入れる蓄電池を「設備容量1MW以上10MW未満、かつ特別高圧(一部の22kV等)・高圧」に限ったのである。この整理は2024年11月18日に取引ガイドとして公表された(資料3 p.21)。

困ったのは、上限が決まる前に設備仕様を固め、設置を進めていた蓄電池だ。一次オフライン枠の商品要件も技術要件も満たせる。それでも制度上の上限があるため、需給調整市場に参加できない。事業者アンケートでそうした蓄電池の存在が確認された(資料3 p.21・p.22)。

事務局案は、こうした蓄電池に足元の応札を認めつつ、長く見れば調整電源としてオンラインで使えるようにしていく考え方をとる。専用線オンライン化工事を申し込んだ後、オンライン監視で一次調整力を出せるようになるまでの間に限り、一次オフライン枠への参加を経過措置として認める(資料3 p.22)。

蓄電池の一次オフライン枠の経過措置について、対象(2023年9月27日以前に系統連系の申し込みを完了した1MW以上・特別高圧)、判定日(工事費負担金契約の締結日)、期限(専用線敷設工事の標準工期)と2つの例外を示す図。
図1:一次オフライン枠の経過措置(事務局案)。出典=OCCTO 第62回需給調整市場検討小委 資料3 p.21〜23。作図=BESS NEWS編集部。

対象と判定日

経過措置を入れると、オフライン枠に入れる蓄電池は次のどちらかになる(資料3 p.23)。

  • 1MW以上10MW未満で、特別高圧(一部の22kV等)または高圧の蓄電池(従来どおり)
  • オフライン枠の設備容量上限が議論された2023年9月27日以前に系統連系の申し込みを完了していた、1MW以上かつ特別高圧の蓄電池(今回の経過措置)

2つ目の条件には10MW未満という上限が付いていない。上限ができる前に申し込んでいた特別高圧の蓄電池なら、10MWを超えていても対象になり得る、という書き方である。

実務で効くのは判定の日付だ。系統連系の申し込みを「完了」した日も、専用線オンライン工事を申し込んだ日も、工事費負担金契約およびそれに準ずる契約を締結した日で判定する案になっている。理由として資料は、工事の実施が事実上確定する時点であること、一般送配電事業者が確認できることを挙げる(資料3 p.23)。申込書を出した日や設計を始めた日ではない。

なお、給電情報伝送用の専用線(SV/TM)が取引規程の要件を満たしていれば、調整力指令用の専用線(LFC/EDC等)がなくてもオンライン監視の一次調整力に応札できる、という注記も付いている(資料3 p.22)。

期限と例外

経過措置には期限がある。早くから調整電源として貢献してほしい、という趣旨からだ。期限は原則として、各エリアが示している専用線敷設工事の標準工期とする。標準工期に幅があるエリアでは、その最長の期間を使う(資料3 p.23)。

例外は2つある。一般送配電事業者側の工事都合など、蓄電池事業者の責任によらない事情で工事が長引いた場合は、工事完了までオフライン枠への参入を認める。事業者が発注した資材のメーカー納期が遅れた場合などは、証跡をもって属地のTSOと協議したうえで、同じく工事完了まで認める(資料3 p.23)。

対象外もはっきりしている。上限が設定された後に設置された10MW以上の蓄電池は、上限を踏まえた設備構成になっている可能性が高く、系統連系と専用線オンライン化工事の工期が大きくずれる例も限られるとして、この運用の対象から外した(資料3 p.23)。

切り替えのときの空白

専用線のオンライン敷設工事が終わると、一次オフライン枠では応札できなくなる。オフライン枠からオンライン監視へ切り替える際には、オンライン試験が終わるまでの間、需給調整市場に一時的に応札できなくなる場合がある、と資料は注記している(資料3 p.22)。工事完了の時期とオンライン試験の段取りは、収益計画に空白期間として入れておく必要がある。

電圧フリッカ対策。PCSの移動平均は初期値0.1秒

2つ目は、蓄電池が実際に起こした電圧フリッカへの対応である。一般送配電事業者への調査で「蓄電池の運用」に関する課題が出され、詳しく聞き取ったところ、機器の設定によっては蓄電池が周波数変動にごく短い周期で追従し、配電系統で電圧フリッカを起こしていた(資料3 p.25)。

発生したのは九州エリアの配電系統で、2025年12月と2026年3月の2件。系統はそれぞれ別である。どちらも一次オフライン枠として約定し、調整力として応動していた蓄電池が起点になった(資料3 p.26)。資料が示す設備の概要は次のとおり。

項目2025年12月の事例2026年3月の事例
出力2MW級(高圧)2MW級(高圧)
配電線こう長変電所から9km変電所から0.9km
連系日/市場参入2025年7月/2025年11月2025年10月/2026年3月
調定率(要件5%以下)0.3%0.33%
周波数計測(要件0.1秒以下)0.02秒間隔0.1秒間隔
移動平均計測時間幅設定なし設定なし
出力変化速度設定なし設定なし

両方とも既存の要件は満たしている。資料は主な原因を2つ挙げた。自端制御向けの周波数計測に移動平均計測時間幅が設定されておらず、瞬時値に追従する仕様だったこと。出力変化速度の設定がなく、周波数変動にごく短い周期で追従していたこと(資料3 p.26)。

移動平均計測時間幅については、日本電機工業会(JEMA)の「需給調整市場の一次調整力におけるPCSの周波数計測に関するガイドライン」が、初期値を0.1秒とし、配電系統特有の事情などでTSOから指定があればそれに従う、としている。事務局は当該設備で検証も行い、移動平均計測時間幅を設定すればフリッカが消えることを確かめた(資料3 p.27)。

これを踏まえた案が、需給調整市場の一次調整力の周波数計測仕様として「PCSを用いた周波数計測時の移動平均計測時間幅は初期値を0.1秒とし、別途TSOから指定があればそれに従う」と新たに定めるものだ。いまの需給調整市場の要件には、計測間隔(0.1秒以下)はあっても移動平均計測時間幅はない。既設のPCSにも遡って対応を求めるべきだが、事業者の対応に時間がかかるとして、要件化から1年間を経過措置とする。ただし経過措置の間でもフリッカが確認されれば、周辺の需要家への影響を考えて早めの対応を求める(資料3 p.30)。

出力変化速度のほうは、市場の要件にはしない方向だ。東京(2026年5月)・中部(2024年12月)・関西(2026年5月)・中国(2026年6月)・九州(2026年3月)の各エリアは、蓄電設備の系統連系時に出力変化速度などの設定をすでにお願いとして公表している。新しく連系する蓄電池はその設定がされるとみて、状況を見ながら検討する、とした(資料3 p.29)。事務局は、この問題は本来、需給調整市場に参加するかどうかに関係なく系統に連系するリソースが一律に対応すべきものとも考えられる、とも書いている(資料3 p.30)。

異常時必要量から需要減少量を控除。東エリア3社で10月から

3つ目は資料4で、蓄電池の設備ではなく、一般送配電事業者が一次調整力をどれだけ調達するかの話になる。

これまで一次調整力の事故時対応分は、50Hz・60Hzそれぞれの最大電源脱落量を各エリアの系統容量で按分して決めてきた。2018年6月20日の第15回作業会で、事故時対応分は小さくできる可能性があるものの見直しは引き続き検討、とされていた(資料4 p.2)。電源が脱落して周波数が下がると、負荷の周波数特性に応じて需要も減る。この減る分を、必要量から差し引くのが今回の案である(資料4 p.8)。

式は「需要減少量=負荷の周波数特性×周波数低下幅×系統容量」。確実に期待できる量にするため、各数値は安全側にとる(資料4 p.11)。

  • 負荷の周波数特性:北海道エリアは4.0%MW/Hz、東京・東北エリアは3.0%MW/Hz。50Hz系統では小さいほうの3.0%MW/Hzを使う(資料4 p.12)
  • 周波数低下幅:異常が起きたエリアは、EPPSが0.4Hz低下で動作することに合わせて0.4Hz。EPPSで送電する健全側のエリアは0.2Hz(資料4 p.16)
  • 系統容量:各月の最小需要は年間で一律とは言えないため、前年度の最小需要を月ごとに使う(資料4 p.18)

資料の算出例では、系統容量25,000MW・単機最大ユニット1,356MWの場合、異常発生エリアは1,356MWからEPPS受電分600MWと需要減少量300MWを引いて456MW、健全側エリアは600MWから150MWを引いて450MWになる。大きいほうの456MWが異常時一次必要量で、見直しをしない場合より300MW少ない(資料4 p.20〜22)。

一次調整力の異常時必要量から需要減少量を差し引く式と、資料の算出例(456MW)、東エリア3社の必要量が見直し前756MWから見直し後383〜440MWになる参考表の値を示す図。
図2:一次調整力の異常時必要量の見直し(事務局案)。出典=OCCTO 第62回需給調整市場検討小委 資料4 p.11〜22・p.32。作図=BESS NEWS編集部。

東エリア3社に当てはめた参考表もある。見直し前の異常時一次必要量は、単機最大1,356MWの場合で756MW、1,000MWの場合で600MW。見直し後は月によって383〜440MWで、EPPS送電分が決め手になるため単機最大の違いでは変わらない。資料は「3社合計で300MW程度の減少」「必要量の多い月と少ない月で60MW程度の差」と書いている(資料4 p.32)。

周波数への影響も確かめられている。東京・東北エリアでは周波数の変化幅は大きくなるものの負荷脱落には至らず、北海道エリアでも周波数低下幅は周波数低下限度の範囲内にとどまった(資料4 p.23・p.24)。

適用はまず東エリア3社(北海道・東北・東京)で、各TSOや事業者の準備期間を考えて2026年度下期、2026年10月1日から運用を始める案だ。中西エリア(60Hz系統)は事情が違う。負荷側UFRに加えて系統安定化システムを入れており、そのシステムは見直し前のGF量を前提に設計されている。必要量を減らすと設計の想定から外れるおそれがあるため、現時点での適用は難しいとし、周波数制御体系を見直す際などに別途検討するとした(資料4 p.26〜31)。

調定率5%超と折れ線調定率の扱い

4つ目は一次調整力の技術要件、調定率である。調定率は周波数偏差と出力変化量の関係の傾きで、小さいほど周波数の変化に敏感に応動する。需給調整市場では海外事例と既存電源の統計値をもとに5%以下と整理され、火力・揚水発電などはグリッドコード(系統連系技術要件)でも要件化されている(資料3 p.11)。東京エリアでの要件化は、火力設備が2016年4月、揚水発電設備が2025年4月である(資料3 p.14)。

論点①は調定率が5%を超えるリソースだ。GF機能を持っていれば、調定率が5%を超えても変化量が相対的に小さくなるだけで、周波数偏差に応じて応動すること自体は変わらない。要件を満たさないのは、グリッドコードで調定率が定められる前から連系していたリソースが主だと考えられる。そこで、属地エリアのグリッドコードで調定率が定められる以前から系統連系していたリソースについては、原則外として5%以下の要件を緩め、一次調整力への応札を認める案が出た(資料3 p.14)。

論点②は折れ線調定率である。PCS等を使うリソースが周波数変動の大きさに応じて人為的に調定率を変えることは原則として認めず、機器保護など設備特性上の理由に限って原則外とする、というのが2024年7月30日の第49回小委の整理だった(資料3 p.15)。今回は、設備特性上やむを得ず折れ線調定率になるリソースの供出可能量を次のように決める案が示された(資料3 p.18)。

  • (A)設定される調定率のうち最大の調定率で、0.6Hzの周波数低下が続くときに供出できる量
  • (B)0.6Hz以内の最初の折れ点で、周波数低下が続くときに供出できる量
  • (A)と(B)の大きいほうを「今回整理した供出可能量」とし、1.0Hzの周波数低下時に実機の調定率に基づいて10秒以内に供出できる量(異常時要件)と比べて、小さいほうを供出可能量にする

オフライン枠の供出可能量も、0.2Hz(北海道エリアは0.3Hz)の周波数低下を基準に、同じ考え方で算定方法を見直す案になっている(資料3 p.19)。

蓄電池の事業者が確かめること

4つの案を、蓄電池を持つ側の手元作業に置き換えるとこうなる。

#確かめること根拠
1特別高圧の蓄電池で、工事費負担金契約(またはそれに準ずる契約)の締結日が2023年9月27日以前か。契約書を手元に揃える資料3 p.23
2属地エリアの専用線敷設工事の標準工期(幅があれば最長)。経過措置で応札できる期間の目安になる資料3 p.23
3工事の遅れが出たとき、送配電側の都合かメーカー納期かを切り分けられる記録(発注・納期の書類)を残しているか資料3 p.23
4PCSで周波数の移動平均計測時間幅を設定できるか、0.1秒やTSOの指定値に合わせられるか。メーカーに確認する資料3 p.27・p.30
5東エリアで一次調整力に応札しているなら、10月以降の必要量が月によって383〜440MWの幅で動く前提で見通しを組み直す資料4 p.31・p.32
6折れ線調定率のリソースは、(A)(B)と異常時要件を計算し直して供出可能量を出し直す資料3 p.18・p.19

資料3の要件変更(表の1〜4・6)は、EPRXの取引規程が改定されてから順次適用される(資料3 p.32)。改定の中身と時期は、EPRX側の公表で確かめることになる。

よくある質問

Q1. 10MW以上の蓄電池でも、一次オフライン枠の経過措置の対象になりますか。
2023年9月27日以前に系統連系の申し込みを完了していた1MW以上・特別高圧の蓄電池なら、条件の文言に10MW未満という上限はありません。一方、容量上限が設定された後に設置された10MW以上の蓄電池は対象外と整理されています(資料3 p.23)。
Q2. 系統連系の申し込みを完了した日は、何で判断しますか。
工事費負担金契約およびそれに準ずる契約を締結した日で判断する案です。工事の実施が事実上確定し、一般送配電事業者も確認できる時点だからとされています。専用線オンライン工事の申し込みのタイミングも同じ基準です(資料3 p.23)。
Q3. 専用線の工事が標準工期を超えたら、オフライン枠で応札できなくなりますか。
原則は標準工期(幅があるエリアは最長の期間)が期限です。ただし一般送配電事業者側の工事都合など事業者の責任によらない長期化は工事完了まで認められ、メーカー納期遅延などは証跡をもって属地TSOと協議したうえで工事完了まで認められます(資料3 p.23)。
Q4. PCSの移動平均0.1秒の要件は、既設の蓄電池にもかかりますか。
かかります。ただし要件化から1年間は経過措置とする案です。経過措置の期間中でも電圧フリッカが確認された場合は、周辺需要家への影響を考えて早めの対応が求められます(資料3 p.30)。
Q5. 異常時必要量の見直しで、東エリアの一次調整力の必要量はどれくらい減りますか。
資料4の参考表では、見直し前の異常時一次必要量が756MW(単機最大1,356MWの場合)、見直し後が月によって383〜440MWで、資料は「3社合計で300MW程度の減少」としています。必要量の多い月と少ない月で60MW程度の差があります(資料4 p.32)。
Q6. 異常時必要量の見直しは、中西エリアにも適用されますか。
当面はされません。60Hz系統の系統安定化システムは見直し前のGF量を前提に設計されており、設計想定から外れるおそれがあるため、現時点の適用は難しいとされました。60Hz系統の周波数制御体系を見直す際などに別途検討する案です(資料4 p.30・p.31)。
Q7. これらの見直しはもう決まったのですか。
資料はいずれも「〜してはどうか」と書いた事務局案です。2026年10月4日に会合ページを確認した時点で、掲載されているのは配布資料と録画データで、議事録はありませんでした。資料3の要件変更は、EPRXの取引規程改定後から順次適用されるとされています(資料3 p.32)。

編集部の見立て

  1. 経過措置は救済だが、期限付きで出口が決まっている。判定を工事費負担金契約の締結日に置いたことで、対象かどうかは書類で客観的に決まる。一方で、期限となる標準工期をどの時点から数えるかは、資料3には書かれていない。経過措置で応札できる期間の見積もりは、属地のTSOに確かめるまで幅を持たせておくのが無難だ。
  2. フリッカ対策の初期値0.1秒と、資料の検証結果は同じ数字ではない。p.27の表では、当該設備で移動平均計測時間幅を設定しないとき、200・300・400msecのときにフリッカが発生し、500msecと1,000msecで消失している。100msec(0.1秒)の結果は表に載っていない。「TSOから指定があればそれに従う」という但し書きが、配電系統によっては実際に使われる可能性がある。PCSを選ぶときは、0.1秒に固定できるかではなく、指定値に合わせて変えられるかを見ておきたい(編集部の解釈)。
  3. 東エリアでは、異常時必要量の控除で一次調整力の調達量が減る方向に動く。同じ会合の資料3は、調定率の緩和や経過措置で応札できるリソースを増やす方向の案である。調達量が減り、応札量が増える。両方が同時に効けば、東エリアの一次調整力は需給が緩む方向に動く(編集部の解釈。資料はこの組み合わせの影響を試算していない)。

編集体制と事実確認プロセス

BESS NEWSの記事はこう作っています

  • BESS NEWSは一次情報主義を採ります。官公庁・電力広域的運営推進機関・一般送配電事業者などが自ら公表した文書とページのみを出典とし、業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信の二次情報は出典に用いません。
  • 本稿の数値・引用は、OCCTO 第62回需給調整市場検討小委員会の資料3(PDF、全32ページ)と資料4(PDF、全34ページ)を取得し、本文から該当箇所を特定して突合しています。表と図の読み取りが必要な資料3 p.27・p.30、資料4 p.32 はページ画像に描画して確認しました。対照結果は「数値照合表」に示しました。
  • 決定の段階は、会合ページを2026年10月4日に取得して確認しました。掲載は配布資料と録画データで、議事録は見当たりません。そのため本稿は資料3・資料4の内容を「事務局案」として扱っています。
  • 本記事は2026年7月31日の資料にもとづく記事で、2026年10月4日に内容を確認して更新しました。2026年10月1日の運用開始が実際に行われたかどうかは、本稿では確かめていません。
  • 4つの見直しを組み合わせた影響、標準工期の起算点が資料にないという指摘、0.1秒と検証結果の関係は、一次情報の事実にもとづく編集部の解釈です。確定的な見通しではありません。

数値照合表

本文に出した主要な数値と事実を、一次情報の該当箇所と1対1で対照した表である。

#本文の数値・事実一次情報の記載出典(該当箇所)
1第62回の開催日 2026年7月31日・第79回作業会と合同「日時 2026年7月31日(金曜日) 10時~12時」「第79回 調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会と合同開催」第62回 会合ページ
2オフライン枠の蓄電池は1MW以上10MW未満・特別高圧(一部22kV等)・高圧。第42回(2023年9月27日)で整理、2024年11月18日に取引ガイドとして公表「設備容量が1MW以上10MW未満、かつ電圧階級が特別高圧(一部の22kV等)・高圧の蓄電池に限り認めることが第42回本小委員会(2023年9月27日)で整理され、2024年11月18日に取引ガイドとして公表」資料3 p.21
3経過措置の対象 2023年9月27日以前に系統連系申込完了・1MW以上かつ特別高圧「オフライン枠に対する設備容量上限が議論された2023年9月27日以前に、系統連系申し込みを完了していた1MW以上かつ特別高圧の蓄電池」資料3 p.23
4判定日=工事費負担金契約等の締結日「工事費負担金契約およびそれに準ずる契約を締結した日としてはどうか」資料3 p.23
5期限=専用線敷設工事の標準工期(幅があれば最長)・例外2つ・10MW以上の上限設定後設置は対象外「原則として各エリアが提示している専用線敷設工事の標準工期」「標準工期が幅を持って設定されているエリアの場合には、その最長の期間」資料3 p.23
6フリッカ 九州エリア・2025年12月と2026年3月・2MW級(高圧)「2025年12月および2026年3月に九州エリアの配電系統(両者は異なる系統)において、一次オフライン枠として約定・調整力応動した蓄電池が起因」/設備概要の表資料3 p.26
7検証 設定なし・200/300/400msecで発生、500msec・1,000msecで消失表「移動平均計測時間幅/検証における測定結果」資料3 p.27
8移動平均計測時間幅 初期値0.1秒・TSO指定・既設は要件化から1年「移動平均計測時間幅は初期値を0.1秒とし、別途TSOから指定があればそれに従う」「要件化から1年間を経過措置として認める」資料3 p.30
9出力変化速度の設定のお願いの公表年月(東京2026年5月・中部2024年12月・関西2026年5月・中国2026年6月・九州2026年3月)表「エリア/公表年月」資料3 p.29
10負荷の周波数特性 北海道4.0・東京東北3.0・50Hzは3.0%MW/Hz「北海道エリア:4.0%MW/Hz、東京・東北エリア:3.0%MW/Hz」「50Hz系統では最小値3.0%MW/Hzを採用」資料4 p.12
11周波数低下幅 0.4Hz/0.2Hz「異常発生エリアの周波数低下幅は0.4Hz」「健全側エリアの周波数低下幅は0.2Hz(=-0.2Hz-(-0.4Hz))」資料4 p.16
12算出例 456MW・450MW・300MW低減「1,356-600-300=456MW」「600-150=450MW」「300MWの必要量低減が見込める」資料4 p.20〜22
13東エリア3社 見直し前756MW/600MW、見直し後383〜440MW、300MW程度の減少、60MW程度の差参考表と「3社合計で300MW程度の減少」「必要量の多い月と少ない月で60MW程度の差」資料4 p.32
14東エリア3社で2026年10月1日から運用開始・中西エリアは別途検討「2026年度下期(2026年10月1日)から運用開始としてはどうか」資料4 p.34
15調定率 5%以下・東京エリアのグリッドコード要件化 火力2016年4月・揚水2025年4月「5%以下と整理されている」/表「東京エリアにおけるグリッドコード要件化状況」資料3 p.11・p.14
16折れ線調定率の供出可能量(A)(B)・0.6Hz・1.0Hz・10秒以内「(A)もしくは(B)のいずれか大きいほう」「1.0Hzの周波数低下維持時に、実機の調定率に基づいて10秒以内で供出できる量」資料3 p.18
17資料3の要件変更はEPRX取引規程改定後から順次適用「これらの要件変更については、EPRXの取引規程改定後から順次適用となる」資料3 p.32

出典(一次情報)

  1. 電力広域的運営推進機関「第62回需給調整市場検討小委員会(第79回 調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会と合同開催)」(2026年7月31日 開催。2026年10月4日 取得)
  2. 需給調整市場検討小委員会 事務局ほか「資料3 一部商品要件等の見直しに関する検討について」(2026年7月31日 公表。本稿はp.2・p.9・p.11〜30・p.32を参照)
  3. 需給調整市場検討小委員会 事務局ほか「資料4 一次調整力(異常時必要量)の見直しについて」(2026年7月31日 公表。本稿はp.2・p.8・p.11〜34を参照)

※二次情報(業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信)は出典に用いていません。JEMAのガイドラインの記載は、資料3 p.27・p.28 の引用によります。出典1は随時更新されるページで、本稿は取得時点の掲載にもとづきます。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/proffessional/4623403102003/

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