櫻貿易株式会社
制度・政策・審議会上級

接続検討料(22万円/地点)の引き上げ案、まず系統用蓄電池を対象に全国一律で。デポジット・容量別加算・混雑加算の3手法を例示(次世代電力系統WG 第13回)

系統用蓄電池の接続検討を申し込むときにかかる接続検討料は、いまは最低限の実費相当として税込22万円/地点に設定されている。資源エネルギー庁は2026年10月6日の次世代電力系統ワーキンググループ(WG)第13回で、これを引き上げる方向で議論を深める案を示した。対象はまず系統用蓄電池、エリアは限定せず全国一律とする事務局案である。引き上げの手法としてデポジット(預託金)、容量別加算、混雑加算の3つを例に挙げたが、引き上げ幅も適用時期も、まだ示されていない。

読了目安:約7分対象読者:上級(複数エリアで接続検討を並行して申し込んでいる系統用蓄電池の開発事業者)種別:審議会資料の解説(事務局案)

要点まとめ

何が起きたか:次世代電力系統WG 第13回の資料2が、接続検討料(税込22万円/地点)を引き上げる方向で議論を深める案を示した(p.9)。対象設備はまず系統用蓄電池、対象エリアは全国一律とする事務局案(p.10)。

なぜ重要か:引き上げ部分は、実費の回収ではなく「事業化の蓋然性が低い案件を抑制するためのディスインセンティブ」と位置づける考え方が示された(p.11)。複数の地点に並行して接続検討を出す開発の進め方に、費用の面から効いてくる。

何をすべきか:接続検討を多く抱える開発事業者は、案件を絞り込む基準を見直しておく。引き上げ幅・時期・手法は、諸外国の事例やヒアリングを踏まえて次回以降のWGで議論される。

なぜ接続検討料が論点になったのか

資料2(資料2、24頁)によると、2026年6月末時点で、連系済みの系統用蓄電池は128万kWなのに対し、接続検討の受付済みは約21,100万kW、契約申込みの受付済みは約4,100万kWある(p.3、いずれも高圧以上)。2026年度第1四半期も、前年同期と同等以上のペースで申込みが続いている(p.2)。

接続検討は、事業者が事業性を判断するための手続きで、契約申込みや連系に至るとは限らない。それでも一般送配電事業者はすべての申込みを検討する必要があり、多くの時間と労力がかかる。資料はこの状況を「多数の接続検討申込が円滑な系統アクセス手続きを妨げている」と書いている(p.9)。

2026年8月には、1事業者あたりの接続検討申込件数に上限を設ける規律が入った。資料はその効果を確かめる必要があるとしつつ、申込みが旺盛な状況が続いているため、入口対策をさらに強めるとしている(p.9)。

事務局案:対象はまず系統用蓄電池、エリアは全国一律

資料は、接続検討料を引き上げることで事業化の蓋然性が低い案件を抑える効果が期待できるとして、「引き上げを実施すべく、以下の論点を中心に議論を深めていくこととしてはどうか」と提起した(p.9)。論点として挙がったのは次の6つである。

論点資料2の記載(p.9)
対象設備発電等設備一律か、申込みの多い系統用蓄電池のみか。「受付待ち」の案件も対象とするか
対象エリア申込みの少ないエリアを対象とするか
引き上げ措置の性質実費の水準を超えるにあたり、どのような性質の料金と位置付けるか
引き上げ幅見直し後の金額をいくらとするか
会計上の取り扱い収入増をどう扱うか、会計基準上の贈与(不当な取り扱い)にならないか
引き上げ措置の期限時限的な対策とするか

このうち対象設備と対象エリアについては、事務局の案が示された(p.10)。対象設備は、電源間の公平性からすべての電源種を対象にする考え方もあるとしつつ、規律の目的は適切な費用負担を求めることではなく、蓋然性の低い案件の抑制を通じた円滑な手続きにあるとして、接続検討数の上限設定と同じく、まずは系統用蓄電池を対象とする案である。他の電源は、今後の状況を見て必要なら検討する。

対象エリアは、東北・東京・中国・九州などで申込みが多いものの、ほかのエリアでも数百万〜数千万kW規模の接続検討が受け付けられているとして、限定せず全国一律とする案だ。いずれも「〜としてはどうか」という問いかけの形で、決まったものではない。

引き上げ部分の性質と、3つの手法

現行の22万円は実費ベースで決められている。資料は、今回検討する「引き上げ部分」を、円滑な接続検討業務に向けて事業化の蓋然性が低い案件を抑えるためのディスインセンティブと考えられるのではないか、としている(p.11)。そのうえで、考え得る手法を3つ例示した。

手法仕組み(資料2 p.11)資料が挙げた特徴・論点
デポジット(預託金)接続検討申込時にデポジットを求め、契約申込みに至らない場合と撤退時に費用負担を求める。契約申込みに至ったら工事費負担金に充当するなど、事業化に資するインセンティブとする事業化に至れば後の費用に充当されるので、蓋然性の高い案件への過度な負担を避けられる。返金規定を設けるか。ペナルティの位置づけではない
容量別加算案件の電力容量に応じて接続検討料を加算する(〇MWあたり●円、〇〜〇MWで●円など)小規模案件への過度な負担を避けられる。閾値次第で案件の低容量化(分割)を助長するか。デポジットとの組み合わせも可能か
混雑加算接続検討申込の件数に応じて加算する。受付済容量が系統容量の●%を超える場合に加算する申込みが急増する地域の業務負荷を減らす立地誘導の効果が期待できる。対象系統を都度判断すると事業者の予見性が下がり、一般送配電事業者の負荷も増えるか。デポジットとの組み合わせも可能か
接続検討料の引き上げ手法の例として資料2が示した、デポジット(預託金)・容量別加算・混雑加算の3つを並べた図。容量別加算の「〇MWあたり●円」と混雑加算の「●%」は資料でも伏せ字。どの手法を取るか、引き上げ幅、時期は未定。
図1:考え得る引き上げ手法の例(事務局案)。資料の伏せ字(〇MW・●円・●%)はそのまま載せた。出典=資源エネルギー庁 次世代電力系統WG 第13回 資料2 p.9〜11。作図=BESS NEWS編集部。

容量別加算の「〇MW」「●円」、混雑加算の「●%」は、資料でも伏せ字のままである。どの手法をとるか、引き上げ幅をどうするかは、次回以降のWGで、諸外国の事例や関係事業者へのヒアリング結果も踏まえて具体的な制度設計を議論するとされた(p.11)。

8月の「検討着手」から何が進んだか

BESS NEWSは2026年8月24日の記事で、再エネ主力電源化小委員会 第4回の資料2が接続検討料の見直しを検討事項に挙げたことを伝えた。そのときは「どのような場合に引き上げるか」「引き上げ幅はいくらが妥当か」といった想定論点が並ぶだけで、対象も手法も示されていなかった。第13回の資料2も、同じ想定論点を第12回WG(8月6日)の資料として再掲している(p.6)。

今回新しく示されたのは、次の点である。

  • 対象設備をまず系統用蓄電池とし、エリアは全国一律とする事務局案(p.10)
  • 引き上げ部分をディスインセンティブと位置づける考え方(p.11)
  • デポジット・容量別加算・混雑加算という3つの手法の例と、それぞれの論点(p.11)
  • 「受付待ち」の案件も引き上げの対象とするか、引き上げ措置を時限的な対策とするかという論点の追加(p.9)
  • 収入増の扱いは8月から想定論点にあり(p.6)、今回は「会計基準上贈与(不当な取り扱い)にならないか」という観点が加わった(p.9)

開発事業者が今確かめること

#確かめること根拠
1いま並行して出している接続検討の件数と地点。どの案件を契約申込みまで進める見込みか資料2 p.9〜10
2デポジット方式になった場合に、契約申込みに至らない案件・撤退する案件でどれだけ負担が残るか資料2 p.11
3容量別加算・混雑加算になった場合に、規模や地点の選び方がどう変わるか資料2 p.11
4「受付待ち」の案件が対象になるかどうか(次回以降のWG)資料2 p.9
投資判断の担当者へ

今回は事務局案と手法の例が出た段階で、引き上げ幅も適用時期も決まっていない。ただ、対象が系統用蓄電池に絞られる方向が示されたことで、接続検討を多く並行させる開発の進め方は、費用の面でも見直しを迫られうる。

よくある質問

Q1. 接続検討料はいくらに上がるのですか。
決まっていません。資料2は引き上げ幅を論点の1つに挙げており、次回以降のWGで諸外国の事例や関係事業者へのヒアリング結果も踏まえて議論するとしています。現行は最低限の実費相当として税込22万円/地点です。
Q2. 系統用蓄電池以外の電源も対象になりますか。
資料2の事務局案では、まずは系統用蓄電池を対象とし、その他の電源は今後の状況を踏まえて必要と判断される場合に検討するとしています。接続検討数の上限設定と同じ扱いです。
Q3. 特定のエリアだけが対象ですか。
事務局案は、対象エリアを限定せず全国一律とするものです。東北・東京・中国・九州などで申込みが多い一方、ほかのエリアでも数百万〜数千万kW規模の接続検討が受け付けられているためとされています。
Q4. デポジット方式とはどのような仕組みですか。
接続検討申込時に預託金を求め、契約申込みに至らない場合や撤退時に費用負担を求める仕組みです。契約申込みに至った場合は、その後の工事費負担金に充当するなどの案が示されています。資料は、接続検討したものの契約申込みに至らないことへのペナルティの位置づけではないとしています。
Q5. すでに申し込んで受付を待っている案件にもかかりますか。
決まっていません。資料2は「受付待ち」をしている案件も引き上げの対象とするかどうかを論点として挙げています。
Q6. いつから引き上げられますか。
時期は示されていません。資料2は、時限的な対策とするかどうかも論点に挙げており、具体的な制度設計は次回以降のWGで議論するとしています。

編集部の見立て

  1. 対象を系統用蓄電池に絞る理由として、資料は「適切な費用負担を求めること」ではなく「蓋然性の低い案件の抑制」を挙げた。引き上げ部分をディスインセンティブと位置づける考え方と合わせると、金額は実費の水準に縛られずに決まりうる、と編集部は読んでいる。
  2. 3つの手法は負担の出方がまったく違う。デポジットは事業化すれば戻る形、容量別加算は規模に比例、混雑加算は地点を選ぶ形だ。どれが採られるかで、案件の絞り込み方の正解が変わる。
  3. 容量別加算は「閾値次第で分割を助長するか」と資料自身が書いている。同じ資料の後半は低圧の敷地分割対策で、分割を封じる議論と並べて読む必要がある。

編集体制と事実確認プロセス

BESS NEWSの記事はこう作っています

  • BESS NEWSは一次情報主義を採ります。官公庁・電力広域的運営推進機関・一般送配電事業者などが自ら公表した文書とページのみを出典とし、業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信の二次情報は出典に用いません。
  • 本稿は、次世代電力系統WG 第13回の資料2(24頁)にもとづきます。2026年10月6日の監視で取得しました。
  • 資料2は原本PDF(Wayback Machine経由で取得)でテキストを取り出し、頁番号(原本に印刷された番号)を照合しました。
  • 接続検討料の引き上げは事務局案と論点の提示の段階で、引き上げ幅・適用時期・手法は決まっていません。
  • 「編集部の見立て」は一次情報の事実にもとづく編集部の解釈で、確定的な見通しではありません。

数値照合表

本文に出した主要な数値と記載を、一次情報の該当箇所と1対1で対照した表である。

#本文の数値・事実一次情報の記載出典(該当箇所)
1現行の接続検討料 税込22万円/地点「最低限の実費相当ベースとして設定されている接続検討料(22万円(税込)/地点)」資料2 p.9
2連系済み128万kW、接続検討受付約21,100万kW、契約申込み約4,100万kW(2026年6月末・高圧以上)「連系済みの系統用蓄電池は128万kWであるのに対し、接続検討受付済みのものは約21,100万kW、契約申込み受付済みのものは約4,100万kW」資料2 p.3
3接続検討申込件数の上限設定は2026年8月から「1事業者あたりの接続検討申込件数の上限設定を2026年8月より導入」資料2 p.9
4引き上げを実施すべく議論を深めることを提起「引き上げを実施すべく、以下の論点を中心に議論を深めていくこととしてはどうか」資料2 p.9
5対象設備はまず系統用蓄電池(事務局案)「まずは接続検討が引き続き増加している系統用蓄電池を対象とすることとしてはどうか」資料2 p.10
6対象エリアは全国一律(事務局案)「対象エリアは限定せず、全国一律で適用することとしてはどうか」資料2 p.10
7引き上げ部分はディスインセンティブ「事業化の蓋然性が低い案件を抑制するためのディスインセンティブと考えられるのではないか」資料2 p.11
83手法:デポジット・容量別加算・混雑加算「考え得る引き上げ手法の例」としてデポジット(預託金)、容量別加算、混雑加算資料2 p.11
9次回以降に諸外国の事例・ヒアリングを踏まえ具体設計「次回以降の本WGでは、諸外国の事例や関係事業者へのヒアリング結果も踏まえ、具体的な制度設計について御議論いただきたい」資料2 p.11
10「受付待ち」案件の扱い・会計上の扱い・期限が論点主な論点に「受付待ち」をしている案件の扱い、会計上の取り扱い、引き上げ措置の期限資料2 p.9

出典(一次情報)

  1. 資源エネルギー庁「系統用蓄電池をはじめとする発電等設備の迅速な系統連系に向けた対応について」次世代電力系統ワーキンググループ 第13回 資料2(PDF・24頁)(2026年10月6日 公表。本稿は p.2〜3・p.6・p.9〜11 を参照)
  2. 次世代電力系統ワーキンググループ 第13回(開催資料一覧)(2026年10月6日 開催)

※二次情報(業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信)は出典に用いていません。

出典: BESS media(株式会社エコ革)
https://bessnews.jp/institutional/proffessional/4630203102003/

本記事は BESS media の転載条件(出典明記のうえ全文転載可)にもとづき転載しています。 記事内容の著作権は転載元に帰属します。

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